6月27日(金)、陸上自衛隊青野原駐屯地で新隊員教育前期課程の修了式が行われた。今年の4月に入隊し、3ヶ月間のきびしい訓練にたえてきた34名が修了証を授与された。式場にはご父兄ご家族、駐屯地の先輩隊員、関係者らが出席し祝福した。
私は式場に入ってから式が始まるまでの間、中央に着席したままで待つ新隊員の姿を見つめていた。両手を膝に置き、背筋を伸ばし、微動だにせず正面をじっと見て待つその凛々しい姿に感動さえ覚えた。そこには、きびしい訓練の成果について、言葉による説明は必要なかった。
しかし、困惑したこともあった。開式となり、国歌「君が代」斉唱の際、私はいつものように大きな声で歌えなかった。その理由は新隊員らの「野蛮」(失礼!)ともいうべき歌声であった。初めて経験する蛮声による国歌斉唱で音程も整えられないままに終わってしまった。しかし、気持ちは嬉しかった。あとで聞いたところによれば、3ヶ月前は声は出ないし、歌詞さえきちんと知らない者もあったとか。よくぞここまで仕込んで下さったことか。
式後の会食の席で新隊員の代表謝辞の中で印象に残ったことばがあった。10㎞行軍、25㎞行軍、戦闘訓練等生まれてはじめてのきびしい訓練。あまりのきつさに「死ぬんじゃないか」と本当に思ったこともあったと。銃を持つのも撃つのも勿論初めてのこと。この銃が戦闘では自分のいのちを守り、かつ国を守ることになるんだという実感をその重さに感じたという。若い新隊員のその決意、使命感から発せられる言葉こそ重く感じられた。そんなきつい訓練の中で国歌の練習もあったようだ。
自衛隊員は日々祖国防衛、災害出動、国際貢献(PKO活動など)の最前線でその使命遂行のために黙々と任務を果たしている。自分の生命や財産を守ろうとするのは誰でも当然だが、自衛隊員は、自己をなげうってでも国民の生命と財産を守るという崇高な使命をもつ。生半可な訓練ではこの自覚はできるはずがない。新隊員の姿を見ていると、この若さでこの道に進むことを選択した彼らに心から敬意をおくりたい、そして、感謝と応援をしていきたいと思った。
新隊員はこれから後期課程に進み各地でより専門的な訓練を受けることになっているようだ。元気で立派な自衛官になってくれることを祈っている。