24日(水)加古川西部土地改良区、26日(金)東播土地改良区の通常総代会が開催された。
土地改良区は農業用水や農地の整備、維持管理を行っている団体である。東播土地改良区の総代会では、来賓として祝辞を述べさせていただいたが、その内容のあらましは次の通り。
農業を取り巻く情勢は多くの課題に直面してるが、中でも22年度予算において、農業農村整備予算の大幅な削減という事態は、農業生産の持続的な発展に絶対に欠かせない「水」と「土」、すなわち農業用水と農地の整備に重大な問題を引き起こしている。
農業をめぐって今、世界各地で何が起こっているのかというと、それは人口増加と食糧不足に備えて海外、アフリカなどにに農地を確保するという争奪戦が起きている。また、水不足に備えて水資源の確保についても同様の動きがある。一方、翻ってわが国の農業は食糧自給率が4割、耕作放棄地は増え続け、担い手の高齢化、不足など深刻な状況にある。
これに対して新政権は農家への戸別所得補償を農業政策の中心に据えて食糧自給率を向上させようとしている。しかし、これを実行するには、すなわち、コメをつくれ、大豆や麦をつくれ、その他作物をつくれといっても、そのためには、水と土、すなわち農業用水と農地が崩壊してしまってはすべて、画に描いた餅にすぎなくなってしまう。
安定的な食糧供給を担い、環境や伝統文化を守っている農村を存続させ、活力あるものにしていく為には、そのもっとも基盤にある「水」と「土」の整備は絶対に欠かせない条件である。しかも、これらは、長年にわたって計画的に実行していかなければできないことである。先人が刻苦辛苦して、営々とつくりあげてきた農地、水路、その事業の先端に立って次の世代につないでいくためにも絶対に欠かせない事業が土地改良事業である。
最早これは、自民党や民主党といった政党の選挙対策などという小事ではなく、まさにこれは国家国民のいのち、存続に関わる一大事であるという認識に立って進められなければならない。これは現場のまさに悲痛な声である。
かつて、大正末年の大干ばつを教訓に造られたのが昭和池、そして、敗戦直後の食糧難に対して食糧増産のために造られた東条ダム、これらの池と水路が日本を代表する豊かな農業地帯の基盤になってきた。まさに農の血管であります。水を送り続ける長大なこれら施設をしっかりと保全しこれからも使い続けることができるようにすることこそ、喫緊の課題である。
農は国の大本にして 水利は農の命脈なり
これは二位所長(加古川流域土地改良事務所長)に教えていただいた言葉であるが、この言葉を胆に銘じて土地改良事業の意義をこれからも県政に反映、推進していく決意である。