★キューブラー・ロスの言葉
・「河合隼雄全対話 Ⅴ」から
大人で、50歳、60歳、70歳の人々というのは、し残したことがいっぱいあるんです。そのために、死が近づくにつれ、憤り、怒り、憎しみ、罪悪感、恐れが募ります。そして、自分たちの人生を生きなかった。お金はためたけれども、生きてこなかったと言うんです。「生きていないって、どういうこと?」というふうに私のほうで聞いてあげます。
とても悲しい話をしてくれます。たとえば、木が好きで大工になりたかった。彫刻家になりたかったんだ。歌手になりたかったんだ。ダンサーになりたかったんだ。でも、お父さんが、医者になってくれれば嬉しいなっていったんで、医者になったんだ。お金は得たけれども、自分のしたいことをやることができなかった。こんな人々なんです。
愛を買ってしまったのです。こんな人は他人を満足させるためだけに生きてしまったのです。そして、死ぬときにはもう悲しみでいっぱいなのです。全人生を売り渡して、愛を求めてきたのです。愛を買ってしまったのです。こういった人々は無条件の愛、無償の愛とは何かということを知りません。そして、無条件の愛というのを知らない人は、本当に不幸せな人だと思います。そして、死ぬまで愛をお金で買おうとするのです。でも、愛は買えません。
(このあとに、だからこそ自分たちの仕事は無償の愛を体験させることであるということが述べられています)
・「宇宙意識への接近」(河合隼雄+吉福伸逸=共編)から
(死が間近な5歳の男の子からの質問への返事)
ほしいものは手に入らなくても、必要なものは手に入るとその子にいったのです。
もし本当に必要ならば、ちゃんと頼めばそこにいる、と私はいいました。
(……その子は2,3日してまた臨死体験をして、自分の質問への答えを見つけました。必要なものが自分を待っていることを知ったのです。)
★遠藤周作と河合隼雄の対話(「河合隼雄全対話 Ⅴ」から)
遠藤……最近はひとつの結論に達したんだけど、その人を生かしてたのは罪であったと。罪というのはキリスト教の表面的なところからいうとマイナスですが、もっと大きな考え方からいうと、その人にとってはプラスであったという場合がある。
心の奥へ押さえつけているものとか、それからユング派の方たちがいう影というものがエネルギーの源になっとるんじゃないかなという。
河合……だから、難しいのは、それをなくするんじゃなくて、それを生かすということだと思いますけど。私がずっと話を聞いてるということは、それをなくそうとしてるんじゃなくて、それをどう生かせるか。生かせるところまで付き合おうとしてると思うんですけど。
ある方が来られましてね。いつもいつも愚痴をこぼしていかれるわけですね。その方が、「どうも先生をごみ箱がわりにして申しわけない」嫌なことばっかり言ってと。私がそのときに「いやあ、ごみ拾いしておったら、ときどきダイヤが混じっておるので、この商売やめられません」と言ったんですけど、つまり人はごみだと思ってるんですけど、ダイヤモンドが入っておるわけですね。それが見えるから仕事をしていると。
・「河合隼雄全対話 Ⅴ」から
大人で、50歳、60歳、70歳の人々というのは、し残したことがいっぱいあるんです。そのために、死が近づくにつれ、憤り、怒り、憎しみ、罪悪感、恐れが募ります。そして、自分たちの人生を生きなかった。お金はためたけれども、生きてこなかったと言うんです。「生きていないって、どういうこと?」というふうに私のほうで聞いてあげます。
とても悲しい話をしてくれます。たとえば、木が好きで大工になりたかった。彫刻家になりたかったんだ。歌手になりたかったんだ。ダンサーになりたかったんだ。でも、お父さんが、医者になってくれれば嬉しいなっていったんで、医者になったんだ。お金は得たけれども、自分のしたいことをやることができなかった。こんな人々なんです。
愛を買ってしまったのです。こんな人は他人を満足させるためだけに生きてしまったのです。そして、死ぬときにはもう悲しみでいっぱいなのです。全人生を売り渡して、愛を求めてきたのです。愛を買ってしまったのです。こういった人々は無条件の愛、無償の愛とは何かということを知りません。そして、無条件の愛というのを知らない人は、本当に不幸せな人だと思います。そして、死ぬまで愛をお金で買おうとするのです。でも、愛は買えません。
(このあとに、だからこそ自分たちの仕事は無償の愛を体験させることであるということが述べられています)
・「宇宙意識への接近」(河合隼雄+吉福伸逸=共編)から
(死が間近な5歳の男の子からの質問への返事)
ほしいものは手に入らなくても、必要なものは手に入るとその子にいったのです。
もし本当に必要ならば、ちゃんと頼めばそこにいる、と私はいいました。
(……その子は2,3日してまた臨死体験をして、自分の質問への答えを見つけました。必要なものが自分を待っていることを知ったのです。)
★遠藤周作と河合隼雄の対話(「河合隼雄全対話 Ⅴ」から)
遠藤……最近はひとつの結論に達したんだけど、その人を生かしてたのは罪であったと。罪というのはキリスト教の表面的なところからいうとマイナスですが、もっと大きな考え方からいうと、その人にとってはプラスであったという場合がある。
心の奥へ押さえつけているものとか、それからユング派の方たちがいう影というものがエネルギーの源になっとるんじゃないかなという。
河合……だから、難しいのは、それをなくするんじゃなくて、それを生かすということだと思いますけど。私がずっと話を聞いてるということは、それをなくそうとしてるんじゃなくて、それをどう生かせるか。生かせるところまで付き合おうとしてると思うんですけど。
ある方が来られましてね。いつもいつも愚痴をこぼしていかれるわけですね。その方が、「どうも先生をごみ箱がわりにして申しわけない」嫌なことばっかり言ってと。私がそのときに「いやあ、ごみ拾いしておったら、ときどきダイヤが混じっておるので、この商売やめられません」と言ったんですけど、つまり人はごみだと思ってるんですけど、ダイヤモンドが入っておるわけですね。それが見えるから仕事をしていると。
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