人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

「桜を見る会」に新事実 「税金乱費パーティー」は非正規公務労働者にも犠牲をしわ寄せ!?

2019-12-07 11:50:33 | その他社会・時事
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に発表した記事をそのまま掲載しています。)

 連日、メディアを賑わせている「桜を見る会」問題。安倍首相はこんな時期でもメディア各社「メシ友」との懇談を通じた口封じに余念がない。だがピークこそ過ぎたものの未だメディアでは追及が続く。今まで安倍官邸のメディア封じに屈してきた各社が今回、報道を続けているのは不思議だと思っていたが、その理由がちらりと見える場面があった。NHKが平日夜11時から放送している「ニュースきょう一日」でその日、話題になったニュースがランキングで示されるコーナーがある。そこで桜を見る会関連ニュースが1位を占める日があった。どうやらメディア各社にとって桜を見る会ネタは「数字が取れる」ようなのだ。

 さて、その「桜を見る会」に関連し、ネットメディア「ダイヤモンド・オンライン」が12月2日付で記事を配信している。当初はあまり目新しさもなさそうなので、読み飛ばそうと思った瞬間、見過ごせない記述を記事中に見つけた。その一節を引用する。

----------------------------------------------------------
●「桜を見る会」は疑惑だらけ、長期政権の病は想像以上に深刻だ(ダイヤモンド・オンライン)

 桜を見る会の参加者数は、安倍政権になって年々増え続け、14年の1万3700人から19年は1万8200人。支出額も14年の3005万円が5519万円に増えてきた。

 だが内閣府は予算要求の際、参加者数を8000人と実態より大幅に少なく見積もり、15年度以降の予算計上額は1767万円とずっと同じだ。

 予算を超えた分は、「庁費」と呼ぶ、さまざまな事務費をまかなう会計課所管の一般共通経費から融通してきており、「毎年の桜を見る会の参加人数が読めない状況で、最低限の人数を前提にして予算要求をしてきた結果」という。
----------------------------------------------------------

 驚くべきことに、内閣府は、「桜を見る会」が予算面でも参加人数で見ても膨張する一方なのがわかっているのに、予算要求額を前年と同額にずっと据え置いてきたのだという。増額要求をすれば財務省にその理由を問われるからだ。ただでさえ「アベ友大お花見会」と化したイベントについて、財務省に増額要求の根拠など説明はできないだろう。頭を抱える内閣府官僚の姿が目に浮かぶようだ。結局、内閣府は増額要求をせず、予算を超えた分は「庁費」と呼ばれる予算費目から支払っていた、とこの記事は指摘している。

 長年、筆者は霞ヶ関ウォッチャーとしてその取材・観察を続けてきたが、「庁費」とは簡単に言えば中央省庁や国の機関の生活費予算である。各省庁やその出先機関で文房具などの事務用品を購入したり、また光熱費の支払いに充てたりする予算だ。清掃業者、警備業者、設備保守業者などへの委託費、また修繕費に該当しない簡単な機械などの修理費も基本的にはここから支払う。

 庁費の中には「会議費」という費目もある。会議開催に伴って発生する会場使用料や参加者への弁当代といった経費に宛てるものだ。「桜を見る会」の資金不足分に充てる経費として、「この費目なら後々に問題とならないですむ」と官僚が考えたとしても不思議ではない。

 だが、この庁費には隠された問題がある。非常勤職員と呼ばれる、いわゆる非正規公務労働者の賃金もここから支払われているのだ。非正規労働者問題、官製ワーキングプア問題を長年、追いかけてきた方々には周知の事実かも知れないが、正規職公務員の給与は職員基本給の費目で支払われる一方、非正規公務労働者の賃金は「庁費」の中の「賃金」という費目から支払われているのである。公務関係の労働組合を中心に、日本の労働運動は一貫してこれを非正規公務労働者に対する重大な差別と捉え、正規職公務員同様に職員基本給の費目から支払うこと、同一労働同一賃金とすることなどを求めてきた。

 今回、「桜を見る会」の参加者も経費も膨れあがるままに放置され、その穴埋めが庁費の費目を使って行われていたことが何を意味するか、ここまで明らかにすればおわかりいただけるだろう。内閣府の庁費予算全体が増えていれば別だが、そうでない限り、この穴埋めによって庁費の費目から支払われる予定だった他の支出がその分削られることを意味する。内閣府が文房具購入費や光熱費を節約したり、他の会議を中止するなどであれば無駄な経費や仕事の見直しという面もあるから一概に否定するものでもないだろう。しかし、光熱費や事務費を削るといってもおのずから限界がある。「桜を見る会」の無駄遣いが、本来なら引き上げられるはずだった内閣府非正規公務労働者の賃金に影響を与えているかもしれないのだ。

 非正規公務労働者の賃金が人件費ではなく「物品購入費」と同じ予算費目から支払われているという事実だけでも重大な差別なのに、しかもその経費さえ「アベ友大お花見会」のドンチャン騒ぎのせいで圧迫されているというのだ。こんなことをしでかしておいて「働き方改革」などといったいどの口が言っているのか。非正規公務労働者はもちろん、他の労働者も含めた全体でこの問題に対する怒りを叩きつけるべきだろう。

 自分たちのお仲間や取り巻き連中だけを優遇、「インナーサークル」だけを利し、他の市民には負担だけが押しつけられるような極端な側近政治が安倍政権の特徴だ。多くの日本人が先進国と信じて疑うこともなかったこの国は、安倍長期政権で堕落・腐敗の極致となり、筆者の目にはかつてのフィリピン・マルコス政権やインドネシア・スハルト政権の末期とさほど変わらないレベルに見える。確かにトランプ大統領だって娘のイヴァンカさんに政務をさせているし、朝鮮民主主義人民共和国の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長も妹である金与正(キム・ヨジョン)氏を政治にタッチさせている。「だから安倍昭恵夫人が桜を見る会の参加者選定に関与しているくらい問題ないではないか」という安倍首相支持者の寝言にだまされてはならない。イヴァンカさんは正式に大統領補佐官に任命されているし、金与正氏も対外宣伝担当の朝鮮労働党第一副部長という役職にきちんと就いているからだ。政府の公職にも自民党の役職にも就いていない完全なる「私人」(政府閣議決定)が何らの法的根拠もないまま、恣意的に国家権力を行使している。その意味では、もはや日本は朝鮮民主主義人民共和国にも劣るような反法治主義、側近政治状態になっているのだ。

 すべての日本人がこのことが持つ重大な意味を理解しなければならない。今度こそ安倍政権を追い詰め、退陣させ、二度と復活することのないよう徹底的に再生の芽も摘んでしまわなければ取り返しのつかない事態になる。桜を見る会への追及も「新しい年になれば終わる」などと考えているなら政治的に重大な結果を招くと、筆者は安倍政権に警告しておく。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« メーリングリストの管理業務... | トップ | 【安倍風刺お遊びネタ】桜を... »

その他社会・時事」カテゴリの最新記事