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渋谷を舞台にした西遊記風登場人物によるスターウォーズ

2015-07-27 09:38:32 | 映像ノート
映画『バケモノの子』スタジオ地図, 2015.

  昨日「お父さんは『北斗の拳』を読んで育った人間なので義理がある」という理由で『マッドマックス:怒りのデス・ロード』を目当て映画館に向かったのだが、最終的に家族の間で折り合いがつかず『バケモノの子』を観ることになった。

  事前情報を何も仕入れておらず、細田守についても流行りのアニメ映画の監督であるということ以外何も知らなかったので、「けっ、どうせ山犬に育てられたもののけ姫が成人してエスパー能力を身につけ、その力を使って小学校時代のいじめっ子たちに残酷な復讐をしたあげく、日本全土を焼野原にするんだけど、アシタカの愛にほだされて海か月に帰っていくんだろ。楽しみだなあ」と勝手にストーリーを想像していたのだが、全然違った。

  ストーリーを『スターウォーズ』シリーズを使って簡単に説明すると、千と千尋の湯屋街で無頼派の剣豪三船敏郎に育てられた孤児ルーク・スカイウォーカー(ただしその性格は『Zガンダム』のカミーユ・ビダンのごとく無礼で面倒くさい)と、きちんとオビ=ワン・ケノービから英才教育を受けたのにもかかわらずフォースの暗黒面に落ちてしまったアナキン・スカイウォーカーが、三船vs.ケノービの決闘の遺恨を巡って渋谷の街を舞台に激突するというものである。

  基本は主人公ルークの成長物語であるが、青春ラブストーリー的な側面もあり、図書館においてルークが女子高生にメルヴィル『白鯨』の中の「鯨」という漢字の読みを尋ねるところからその交流が始まる。こんなことを現実にやったら気持ち悪がられるだけなので、若い男性は絶対真似をするなと言いたい。

  そうしたストーリー以上に、舞台となる渋谷の街の再現ぶりには驚かされた。かなり忠実である。Qフロントが出来る以前の渋谷の交差点が再現されているシーンもあり、まだ渋谷に「小奇麗な格好をした若者の街」というカラーがあった1990年代前半が思い出された。その後、渋谷はチーマーやらガングロやらで頭が悪くて野蛮な雰囲気に変わり、街の面白さの面では秋葉原に敗れて凋落した。今でも渋谷は人が多いけれども、かつての色を失い、ごちゃごちゃしているだけになった。などなど、映像を見ながら年寄りの感慨にふけってしまった。

  個人的には、ここ数年映画館で観たのはジブリと『ドラえもん』か『クレヨンしんちゃん』のシリーズ映画だけなので、久々に新しい作家の作品に接することができることが少々喜ばしかった。『マッドマックス』は一人で見るか。
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