Colin Vallon Trio "Le Vent" ECM, 2014.
ジャズ。スイス出身のピアニストによるECMでの二作目。Patrice Moret(bass), Julian Sartorius(drums)によるトリオである。ゆったりめの反復パターンあるいは螺旋状のメロディに徐々に音を加えてゆくという構造の曲が多い。スローまたはミドルテンポの曲ばかりなので、ミニマル音楽的な感覚があるわけでもない。徐々に曲を盛り上げるのだが、かといって終盤にカタルシスがあるわけではないという、非常にツボをつかみにくい曲構造である。
全編を通じて美しいメロディが紡ぎ出されるももの、その感触は硬質で甘く流れたりしない。プリペアードピアノなど奏法上の実験なども行われているが、それでも音の表情にも乏しく、最初から最後までずっと渋面のままという感じである。しかも不遇なのに周囲には絶対弱さを覗かせないというような佇まいである。こうした孤独感はメロディ中心の単線的な演奏のためだろうか、耽美系でも独特の和音で聴き手を溺れさせるタイプがいるが、このトリオはそうではない。
うーん、好きなタイプの音ではあるのだが、とことんハマれないという印象である。曲のレベルは高く手抜きがない一方でアルバムのメリハリが無く、リスナーにも厳しさを要求してくるところがあって疲れる。個人的には浸るように聴ける和音系耽美派の方が好きだという事情もあるが。
ジャズ。スイス出身のピアニストによるECMでの二作目。Patrice Moret(bass), Julian Sartorius(drums)によるトリオである。ゆったりめの反復パターンあるいは螺旋状のメロディに徐々に音を加えてゆくという構造の曲が多い。スローまたはミドルテンポの曲ばかりなので、ミニマル音楽的な感覚があるわけでもない。徐々に曲を盛り上げるのだが、かといって終盤にカタルシスがあるわけではないという、非常にツボをつかみにくい曲構造である。
全編を通じて美しいメロディが紡ぎ出されるももの、その感触は硬質で甘く流れたりしない。プリペアードピアノなど奏法上の実験なども行われているが、それでも音の表情にも乏しく、最初から最後までずっと渋面のままという感じである。しかも不遇なのに周囲には絶対弱さを覗かせないというような佇まいである。こうした孤独感はメロディ中心の単線的な演奏のためだろうか、耽美系でも独特の和音で聴き手を溺れさせるタイプがいるが、このトリオはそうではない。
うーん、好きなタイプの音ではあるのだが、とことんハマれないという印象である。曲のレベルは高く手抜きがない一方でアルバムのメリハリが無く、リスナーにも厳しさを要求してくるところがあって疲れる。個人的には浸るように聴ける和音系耽美派の方が好きだという事情もあるが。