本田由紀編『文系大学教育は仕事の役に立つのか:職業的レリバンスの検討』ナカニシヤ出版, 2018.
社会学。文系学部卒業者に対してアンケートし、大学時代に受けた教育と職業との関係を分析する内容である。手堅い実証研究であり、内容がインタビューである7章を除いて各章で統計分析満載の学術書である。アンケートはインターネットでの回答を元にしている。
タイトルの疑問の答えは3章に記されている。およそ7割の回答者が大学教育は仕事に活用されていないと答えている。やっぱり役に立たないわけだ。その他は、回答からわかる教育スタイルや、大学時代の授業への意欲、資格、出身地、就いた職業を検討することで、大学教育が役に立つケースを浮き彫りにしようとしている。
大学教育が職業に活かされる文系領域は?答えは「教育学部」です、ってまあそうだよね。また大学時代のディスカッションやプレゼンの経験は役に立っている感を高めるらしい。奨学金を扱った章では、大学時代の勉学に熱心に取り組んでも就職には役に立たないことも知らされる。また、大学時代に遊んでいた層ではなく、大学への期待が高い層ほど文系教育に不満を感じているとも。
全体のトーンは、文系大学教育批判は不当であり、文系教育にも少なからず職業的なメリットがあるかのように記述されている。本書が示す通り、確かに役に立つ局面もあるようだ。しかし、そうした部分的な成功が文系大学教育全体を肯定するようには思えず、やはり批判は妥当だろうという気がする。あと、理系と比べてどうなんだろう、比較がなされていない。
社会学。文系学部卒業者に対してアンケートし、大学時代に受けた教育と職業との関係を分析する内容である。手堅い実証研究であり、内容がインタビューである7章を除いて各章で統計分析満載の学術書である。アンケートはインターネットでの回答を元にしている。
タイトルの疑問の答えは3章に記されている。およそ7割の回答者が大学教育は仕事に活用されていないと答えている。やっぱり役に立たないわけだ。その他は、回答からわかる教育スタイルや、大学時代の授業への意欲、資格、出身地、就いた職業を検討することで、大学教育が役に立つケースを浮き彫りにしようとしている。
大学教育が職業に活かされる文系領域は?答えは「教育学部」です、ってまあそうだよね。また大学時代のディスカッションやプレゼンの経験は役に立っている感を高めるらしい。奨学金を扱った章では、大学時代の勉学に熱心に取り組んでも就職には役に立たないことも知らされる。また、大学時代に遊んでいた層ではなく、大学への期待が高い層ほど文系教育に不満を感じているとも。
全体のトーンは、文系大学教育批判は不当であり、文系教育にも少なからず職業的なメリットがあるかのように記述されている。本書が示す通り、確かに役に立つ局面もあるようだ。しかし、そうした部分的な成功が文系大学教育全体を肯定するようには思えず、やはり批判は妥当だろうという気がする。あと、理系と比べてどうなんだろう、比較がなされていない。