以下、今年読んでおきながらこれまでブログで言及しなかった本のうちいくつか。
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮社, 2019.
英国地方都市における移民と労働者階級の中学生たちについてのエッセイ。異なる文化的背景を持つ子供たちが、軋轢をうみながらそれなりにうまくやっていることが生き生きと描かれており、「多様性万歳!!」と叫びたくなる読後感だ。だが、マレー著を読んだ後では、英国移民社会でもっとも議論を呼ぶところを伝えてはいないという印象となる。いやまあ、いい本だとは思います。
バリントン・ムーア 『独裁と民主政治の社会的起源』宮崎隆次, 森山茂徳訳, 高橋直樹訳, 岩波書店, 2019.
比較政治史。英国、フランス、米国、中国、日本、インドの六か国が採りあげられ、農業中心の社会から資本主義形成に至る過程での、政治に参加する社会層の変化について論じている。原書初版は1966年で、邦訳が1987年に発行されている。僕が読んだのは2019年発行の岩波文庫版である。政治の担い手層が、土地所有や商業の発達に合わせて変化してゆく過程の描写は細かくて面白い。けれども、あまりにも革命の意義を強調しすぎていて、マルクス主義を十分克服できていないという古臭さも強く感じた。名著ということで復刊されたのだろうけれども、個人的には「使える」本だとは感じなかった。
稲葉振一郎 『社会学入門中級』有斐閣, 2019.
これからの社会学は、フィールドワークなど質的調査によって仮説や新しい概念をもたらすことが中心作業となるぞ、量的調査やっても分析スキルで経済学に負けるからあんまり頑張ってもしようがないぞ、と告げる内容(超訳)。そう言われても、コミュ障気味なので人の中に入ってうまく情報を引き出す能力がないんだよなあ、と自分のキャリアを悲観することになった次第。
パトリック・J.デニーン 『リベラリズムはなぜ失敗したのか』角敦子, 原書房, 2019.
米国発のリベラリズム批判本。保守もリベラルも個人主義でコミュニティ軽視で根っこは同じだ、もっと学校で自己抑制とリベラル古典への敬意を教えろ、という内容だったと思う(うろ覚え)。どこかで聞いた話の域を超えていないし、これ以上の議論の展開がほしいところ。
岡嶋裕史 『ブロックチェーン:相互不信が実現する新しいセキュリティ』ブルーバックス, 講談社, 2019.
読んでみてわかったようなわからないような。たぶん分かっていないのだろうけれども、読者をなんとなく分かったような気にさせる。サイモン・シンの本みたいだ。
安彦忠彦 『私教育再生:すべの大人にできること』放送大学叢書, 左右社, 2019.
教育ビジネスに焦点を充てる内容かと思いきや、教育における地域や家庭の役割を訴える書籍だった。期待していたものとは違った。今でも教育ビジネスを視野に収めた骨太な私教育論を読んでみたいと考えている。
飯田隆 『日本語と論理:哲学者、その謎に挑む』NHK出版新書, NHK出版, 2019.
恥ずかしいことに、僕の頭ではよくわからなかった。いや、読み始めたのち、論理を丁寧に追いたくなるほど興味が湧かなかったというべきか。
原英史 『岩盤規制:誰が成長を阻むのか』新潮新書, 新潮社, 2019.
規制緩和論者による官僚とマスコミに対する批判。学校設立の規制と、放送・電波関連の規制が遡上に載せられている。ごく一部の部分に関する感想「おっと前川喜平先生への悪口はそこまでだ」(日大の教育学科で非常勤をやってもらってます)。
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮社, 2019.
英国地方都市における移民と労働者階級の中学生たちについてのエッセイ。異なる文化的背景を持つ子供たちが、軋轢をうみながらそれなりにうまくやっていることが生き生きと描かれており、「多様性万歳!!」と叫びたくなる読後感だ。だが、マレー著を読んだ後では、英国移民社会でもっとも議論を呼ぶところを伝えてはいないという印象となる。いやまあ、いい本だとは思います。
バリントン・ムーア 『独裁と民主政治の社会的起源』宮崎隆次, 森山茂徳訳, 高橋直樹訳, 岩波書店, 2019.
比較政治史。英国、フランス、米国、中国、日本、インドの六か国が採りあげられ、農業中心の社会から資本主義形成に至る過程での、政治に参加する社会層の変化について論じている。原書初版は1966年で、邦訳が1987年に発行されている。僕が読んだのは2019年発行の岩波文庫版である。政治の担い手層が、土地所有や商業の発達に合わせて変化してゆく過程の描写は細かくて面白い。けれども、あまりにも革命の意義を強調しすぎていて、マルクス主義を十分克服できていないという古臭さも強く感じた。名著ということで復刊されたのだろうけれども、個人的には「使える」本だとは感じなかった。
稲葉振一郎 『社会学入門中級』有斐閣, 2019.
これからの社会学は、フィールドワークなど質的調査によって仮説や新しい概念をもたらすことが中心作業となるぞ、量的調査やっても分析スキルで経済学に負けるからあんまり頑張ってもしようがないぞ、と告げる内容(超訳)。そう言われても、コミュ障気味なので人の中に入ってうまく情報を引き出す能力がないんだよなあ、と自分のキャリアを悲観することになった次第。
パトリック・J.デニーン 『リベラリズムはなぜ失敗したのか』角敦子, 原書房, 2019.
米国発のリベラリズム批判本。保守もリベラルも個人主義でコミュニティ軽視で根っこは同じだ、もっと学校で自己抑制とリベラル古典への敬意を教えろ、という内容だったと思う(うろ覚え)。どこかで聞いた話の域を超えていないし、これ以上の議論の展開がほしいところ。
岡嶋裕史 『ブロックチェーン:相互不信が実現する新しいセキュリティ』ブルーバックス, 講談社, 2019.
読んでみてわかったようなわからないような。たぶん分かっていないのだろうけれども、読者をなんとなく分かったような気にさせる。サイモン・シンの本みたいだ。
安彦忠彦 『私教育再生:すべの大人にできること』放送大学叢書, 左右社, 2019.
教育ビジネスに焦点を充てる内容かと思いきや、教育における地域や家庭の役割を訴える書籍だった。期待していたものとは違った。今でも教育ビジネスを視野に収めた骨太な私教育論を読んでみたいと考えている。
飯田隆 『日本語と論理:哲学者、その謎に挑む』NHK出版新書, NHK出版, 2019.
恥ずかしいことに、僕の頭ではよくわからなかった。いや、読み始めたのち、論理を丁寧に追いたくなるほど興味が湧かなかったというべきか。
原英史 『岩盤規制:誰が成長を阻むのか』新潮新書, 新潮社, 2019.
規制緩和論者による官僚とマスコミに対する批判。学校設立の規制と、放送・電波関連の規制が遡上に載せられている。ごく一部の部分に関する感想「おっと前川喜平先生への悪口はそこまでだ」(日大の教育学科で非常勤をやってもらってます)。