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煩悩の業火に身を焼かれるメタル系ギターインスト作品

2015-07-24 16:29:46 | 音盤ノート
Steve Tibbetts "Exploded View" ECM, 1986.

  スティーヴ・ティベッツの五作目。前作は硬軟バランスの取れた作品だったが、このアルバムは祝祭的に打ちなられされる打楽器とメタル系ギターが暴走するというハードな内容となっている。ECMというレーベル・イメージから想像される静かで上品な音世界とかけ離れた珍品で、異教徒に囲まれて火あぶりの刑の処されているような印象だ。

  ディストーションの効いたギターがとにかく邪悪。打楽器二台とベースのほか、絶叫気味にヴォカリーズする女性コーラスも曲によっては加わり、音を祝祭的に盛り上げる。一応、アコギもカリンバも鳴っているのだが、エレキの歪んだ音にその印象をかき消されてしまう。アンビエントな雰囲気で始まった曲でも途中からメタリックなギターが登場してすべてを破壊し、静かに瞑想する機会を与えない。

  "Northern Song"の恨みはらさでおくべきか、というわけか。個人的にはティベッツの攻撃的な一面を堪能できて面白かったが、パーカッシブな仏教系メタルギターインスト作品と言われても戸惑う人が多いだろう。ファン向け。
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