石田浩, 佐藤博樹編『出会いと結婚 』 (格差の連鎖と若者 ; 2), 勁草書房, 2019.
日本の恋愛と結婚の動向について分析した、執筆者9名による研究書籍。2007年から現在まで東大が収集している、働き方と生活に関するパネルデータを基にした分析である。全三巻のシリーズ本で、この本は2巻目。なお1巻は若者の価値観や現状認識を、3巻は教育と就職を扱っている。
一章では結婚に対する意識が検討される。30歳前後で結婚するというのが年齢規範になっているものの、年齢のピークが微妙に男女でズレており、これがミスマッチを生んでいるという。結婚するには20代のうちに交際相手を見つけておくことと、相手のスペックにあまり条件をつけないことが重要だとのこと。二章では、出会い・交際・結婚に至るステップについて検討されている。出会いの段階がクリアできるかどうかは男女ともに本人の本気度で決まる(他の要因はあまり関係ない)。しかし、その後結婚できるかどうかは話が別で、男性に限れば結婚に至るには雇用状態と学歴が影響するという。三章は結婚観の分析で、近年は性別役割分業を支持する層が増えているとのこと。
四章はワークライフバランスの話で、相変わらず日本の男性は家事時間が少ない、なぜなら家事のピーク時間となる夜7時までに帰宅できないからだ、と分析されている。五章は、子どもをつくる意欲を扱っており、意欲低下を食い止めるためには男性だけでなく女性の雇用の安定化も重要だとする。六章は、結婚に対する満足感の男女差を取り上げている。男性はおおむね満足度が高くて一定だが、女性のほうはイベント(例えば子どもの出産)などによって満足度に変化があり、満足しているグループと不満を感じているグループの二つに分かれてゆくとのこと。終章はまとめとなっている。
以上。男性側が正規雇用であるか否かが結婚の決め手になるということと、昭和から21世紀に至るまであまり大きく変化していない結婚観の残存という話は、同じテーマの他の書籍と変わらない。交際や結婚、出産などの妨げになりうる細かい事柄を取り上げてより精緻に分析してみせたということと、たぶんそうだろうと考えられてきたことが数値で裏付けられたということ、これらが本書の意義ということになるだろう。
日本の恋愛と結婚の動向について分析した、執筆者9名による研究書籍。2007年から現在まで東大が収集している、働き方と生活に関するパネルデータを基にした分析である。全三巻のシリーズ本で、この本は2巻目。なお1巻は若者の価値観や現状認識を、3巻は教育と就職を扱っている。
一章では結婚に対する意識が検討される。30歳前後で結婚するというのが年齢規範になっているものの、年齢のピークが微妙に男女でズレており、これがミスマッチを生んでいるという。結婚するには20代のうちに交際相手を見つけておくことと、相手のスペックにあまり条件をつけないことが重要だとのこと。二章では、出会い・交際・結婚に至るステップについて検討されている。出会いの段階がクリアできるかどうかは男女ともに本人の本気度で決まる(他の要因はあまり関係ない)。しかし、その後結婚できるかどうかは話が別で、男性に限れば結婚に至るには雇用状態と学歴が影響するという。三章は結婚観の分析で、近年は性別役割分業を支持する層が増えているとのこと。
四章はワークライフバランスの話で、相変わらず日本の男性は家事時間が少ない、なぜなら家事のピーク時間となる夜7時までに帰宅できないからだ、と分析されている。五章は、子どもをつくる意欲を扱っており、意欲低下を食い止めるためには男性だけでなく女性の雇用の安定化も重要だとする。六章は、結婚に対する満足感の男女差を取り上げている。男性はおおむね満足度が高くて一定だが、女性のほうはイベント(例えば子どもの出産)などによって満足度に変化があり、満足しているグループと不満を感じているグループの二つに分かれてゆくとのこと。終章はまとめとなっている。
以上。男性側が正規雇用であるか否かが結婚の決め手になるということと、昭和から21世紀に至るまであまり大きく変化していない結婚観の残存という話は、同じテーマの他の書籍と変わらない。交際や結婚、出産などの妨げになりうる細かい事柄を取り上げてより精緻に分析してみせたということと、たぶんそうだろうと考えられてきたことが数値で裏付けられたということ、これらが本書の意義ということになるだろう。