Hermeto Paschoal "A Musica Livre De Hermeto Paschoal" Sinter, 1973.
ブラジル産ジャズ。エルメート・パスコアルはブラジルのマルチ楽器奏者。見た目は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に出てくるイモータン・ジョーみたいである。個人的には1992年発表の『神々の祭り(Festa Dos Deuses)』が初めて聴いた彼のアルバムだが、そのフュージョン的なサウンドが気に入らなくて、長らく食わず嫌いになっていた。本作は彼の二作目のリーダー作で、当時の米国産ジャズにはあまり似ておらず、サンバ系打楽器とエレピが加わった即興の要素もある国籍不明のインスト音楽という趣きである。
冒頭の'Bebe'はオーケストラをバックにパスコアルがフルートとピアノを弾くというオリジナル曲。収録曲の中では特にわかりやすく美しいメロディを持ち、まるでフランス映画の主題曲のよう。2曲目は'Carinhoso'(カリニョーゾ)というショーロの曲で、ブラジルではよく知られているらしい。この演奏だけがジャズっぽい。3曲目~5曲目は3分から4分程度の短い曲が続くが、一曲の中で歌唱あり、虫や動物の鳴き声を真似る演奏あり、不協和を使った合奏あり、フリー演奏ありで、たびたび表情を変える。最後の14分に及ぶ'Gaio Da Roseira'も本人歌唱で始まり、中盤はビリンバウ、フルート、ドラムのソロが入って、最後は男声のささやき声がテーマを繰り返して終わる。まったく展開が読めない。全体として、細かい仕掛けがあって凝ってはいるが、聴いていて疲れるほどではない。たぶん、フルートによる演奏が中心のため、その音色から軽快な印象がもたらされるからだろう。
たびたびの脱線を遊び心として楽しめるならばそれなりに親しみやすい作品である。きちんと整理された部分が中心であり、決して混沌一辺倒ではない。でもまあ、遊びすぎというところも無きにしもあらずで、好みが分かれるだろう。なお、このアルバムだけ表記が'Paschoal’で、他の作品では'Pascoal'となっている。誤記なのだろうか(Googleはこの表記のゆれに対応していた)。
ブラジル産ジャズ。エルメート・パスコアルはブラジルのマルチ楽器奏者。見た目は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に出てくるイモータン・ジョーみたいである。個人的には1992年発表の『神々の祭り(Festa Dos Deuses)』が初めて聴いた彼のアルバムだが、そのフュージョン的なサウンドが気に入らなくて、長らく食わず嫌いになっていた。本作は彼の二作目のリーダー作で、当時の米国産ジャズにはあまり似ておらず、サンバ系打楽器とエレピが加わった即興の要素もある国籍不明のインスト音楽という趣きである。
冒頭の'Bebe'はオーケストラをバックにパスコアルがフルートとピアノを弾くというオリジナル曲。収録曲の中では特にわかりやすく美しいメロディを持ち、まるでフランス映画の主題曲のよう。2曲目は'Carinhoso'(カリニョーゾ)というショーロの曲で、ブラジルではよく知られているらしい。この演奏だけがジャズっぽい。3曲目~5曲目は3分から4分程度の短い曲が続くが、一曲の中で歌唱あり、虫や動物の鳴き声を真似る演奏あり、不協和を使った合奏あり、フリー演奏ありで、たびたび表情を変える。最後の14分に及ぶ'Gaio Da Roseira'も本人歌唱で始まり、中盤はビリンバウ、フルート、ドラムのソロが入って、最後は男声のささやき声がテーマを繰り返して終わる。まったく展開が読めない。全体として、細かい仕掛けがあって凝ってはいるが、聴いていて疲れるほどではない。たぶん、フルートによる演奏が中心のため、その音色から軽快な印象がもたらされるからだろう。
たびたびの脱線を遊び心として楽しめるならばそれなりに親しみやすい作品である。きちんと整理された部分が中心であり、決して混沌一辺倒ではない。でもまあ、遊びすぎというところも無きにしもあらずで、好みが分かれるだろう。なお、このアルバムだけ表記が'Paschoal’で、他の作品では'Pascoal'となっている。誤記なのだろうか(Googleはこの表記のゆれに対応していた)。