小塩真司 編著『非認知能力:概念・測定と教育の可能性』北大路書房, 2021.
心理学。いわゆる「非認知能力」の下位概念のうち、教育おいて活かせそうなものをピックアップして解説する書籍。取り上げられるのは、誠実性、グリット、自己制御・自己コントロール、好奇心、批判的思考、楽観性、時間的展望、情動知能、感情調整、共感性、自尊感情、セルフ・コンパッション、マインドフルネス、レジリエンス、エゴ・レジリエンス、これらは「認知能力」に良い影響を与えると予想される15種である。各章を総勢16人の研究者が執筆している。
序章と終章を除いたすべての章が、1)概念定義、2)基礎研究、3)その非認知能力を伸ばすための介入研究、4)教育の可能性という節の構成となっている。乱立気味に見える諸概念の微妙な違いの解説、その概念を実際に観測した研究の紹介、効果的なトレーニング法の紹介、子どもへの適用というわけである。それぞれの能力は、それなりに効果はあるらしい。ただし、編者による序章と終章は解釈の際の注意書きになっていて、必ず読んでおいたほうがよい。それは、これらの能力の一部は生得的である(トレーニングによる改善は大きなものではないかもしれない)、またそれぞれの効果量は高いものではない(獲得のための時間と労力に見合わないかもしれない)、などと釘を刺している。
以上。認知能力を高めるために非認知能力を高める。そのトレーニング法は、紹介されているのは考え方を少々を変えるようなものにすぎないが、本気で追求すると人格改造のようなものとなる。読んでみた印象では、目的に対して迂回的でかつコストが高い、と感じたのだがどうだろうか。認知能力だけではなく、人生全体が改善されるはずなので、そのメリットは大きいという考えもあるだろう。ならば15あるうちのどれがもっとも重要なんだろうか。
心理学。いわゆる「非認知能力」の下位概念のうち、教育おいて活かせそうなものをピックアップして解説する書籍。取り上げられるのは、誠実性、グリット、自己制御・自己コントロール、好奇心、批判的思考、楽観性、時間的展望、情動知能、感情調整、共感性、自尊感情、セルフ・コンパッション、マインドフルネス、レジリエンス、エゴ・レジリエンス、これらは「認知能力」に良い影響を与えると予想される15種である。各章を総勢16人の研究者が執筆している。
序章と終章を除いたすべての章が、1)概念定義、2)基礎研究、3)その非認知能力を伸ばすための介入研究、4)教育の可能性という節の構成となっている。乱立気味に見える諸概念の微妙な違いの解説、その概念を実際に観測した研究の紹介、効果的なトレーニング法の紹介、子どもへの適用というわけである。それぞれの能力は、それなりに効果はあるらしい。ただし、編者による序章と終章は解釈の際の注意書きになっていて、必ず読んでおいたほうがよい。それは、これらの能力の一部は生得的である(トレーニングによる改善は大きなものではないかもしれない)、またそれぞれの効果量は高いものではない(獲得のための時間と労力に見合わないかもしれない)、などと釘を刺している。
以上。認知能力を高めるために非認知能力を高める。そのトレーニング法は、紹介されているのは考え方を少々を変えるようなものにすぎないが、本気で追求すると人格改造のようなものとなる。読んでみた印象では、目的に対して迂回的でかつコストが高い、と感じたのだがどうだろうか。認知能力だけではなく、人生全体が改善されるはずなので、そのメリットは大きいという考えもあるだろう。ならば15あるうちのどれがもっとも重要なんだろうか。