速水健朗, 円堂都司昭, 栗原裕一郎, 大山くまお, 成松哲『バンド臨終図巻:ビートルズからSMAPまで』文春文庫, 文藝春秋, 2016.
洋楽邦楽問わず大衆音楽領域のグループやデュオの解散理由についてのアンソロジー。オリジナルは河出書房社から2010年に刊行されている。この文庫版では加筆およびSMAPなど項の追加とがなされ、一方でオリジナルにはあったコラムが削られている。中身は、各執筆者による憶測交じりのエッセイ的な内容かと思いきや、報道記事やインタビュー記事をきちんと検証しての論述であり、予想されるよりも手堅い。
副題は「ビートルズから」となっているが、冒頭はクレイジーキャッツである。前半は洋楽グループが多く、後半は邦楽グループが増える。邦楽グループの場合、「音楽性の違い」という紋切型の理由や、マンネリ化した(=飽きた)からという理由もけっこうあり、こういうケースは真相に迫り切れていない印象があって、あまり面白くない。この種の本ならもっとゴシップ的でもいいだろう、と下世話ながら思う。洋楽だが、二人の男性メンバーが女性メンバーを獲りあったと言われているGalaxie 500やThrobbing Gristleは入れるべきだった。フロントマンを追い出したら売れてしまったBauhaus / Love & Rocketsとかも。
全体としては、やはりメンバー間の感情のもつれが最大の原因のよう。その要因として、音楽性の違いや、対等だったメンバーの中で売れるうちに一人(たいていはボーカル)が目立つようになってしまったというケースもある。日本特有だが、事務所とグルーブの思惑のズレというのもある。金銭絡みだと、自殺者が二人も出たBadfingerが悲惨だった。これから何かユニットを組もうという若者にはたぶんタメになるだろう。
洋楽邦楽問わず大衆音楽領域のグループやデュオの解散理由についてのアンソロジー。オリジナルは河出書房社から2010年に刊行されている。この文庫版では加筆およびSMAPなど項の追加とがなされ、一方でオリジナルにはあったコラムが削られている。中身は、各執筆者による憶測交じりのエッセイ的な内容かと思いきや、報道記事やインタビュー記事をきちんと検証しての論述であり、予想されるよりも手堅い。
副題は「ビートルズから」となっているが、冒頭はクレイジーキャッツである。前半は洋楽グループが多く、後半は邦楽グループが増える。邦楽グループの場合、「音楽性の違い」という紋切型の理由や、マンネリ化した(=飽きた)からという理由もけっこうあり、こういうケースは真相に迫り切れていない印象があって、あまり面白くない。この種の本ならもっとゴシップ的でもいいだろう、と下世話ながら思う。洋楽だが、二人の男性メンバーが女性メンバーを獲りあったと言われているGalaxie 500やThrobbing Gristleは入れるべきだった。フロントマンを追い出したら売れてしまったBauhaus / Love & Rocketsとかも。
全体としては、やはりメンバー間の感情のもつれが最大の原因のよう。その要因として、音楽性の違いや、対等だったメンバーの中で売れるうちに一人(たいていはボーカル)が目立つようになってしまったというケースもある。日本特有だが、事務所とグルーブの思惑のズレというのもある。金銭絡みだと、自殺者が二人も出たBadfingerが悲惨だった。これから何かユニットを組もうという若者にはたぶんタメになるだろう。