貴田庄『西洋の書物工房:ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで』朝日選書, 朝日新聞社, 2014.
フランスおよびベルギーで製本や装丁を学んだという著者による、職人的観点からの書物史。本の綴じ方から、羊皮紙の材料、カバーに使う革、ウィリアム・モリス、マーブル紙のあれこれ、小口への金箔の貼り付けなど、安い日本国内の本に慣れた人間ならば普通目を向けない事柄についてあれこれ書かれていてる。初版は2000年に芳賀書店から発行されていたが、この朝日選書版はそれを少々修正を加えただけのものらしい。
基本的に豪華に装飾された工芸的な価値のある本の話で、ヨーロッパでもまた特殊な部類の本だろう。羊皮紙といっても必ずしも羊の皮ではないとか、表紙に使う革にも種類があって、モロッコ革が主流らしいのだけれど、モロッコ産ではないモロッコ革がいろいろあるとか、表紙の模様の入れ方に「ファンファール様式」だとか「ロマンチック様式」だとかそんな分類名称があることだとか、いろいろ教えてくれる。「花切れ」「しぼ」なるよく知らない日本語もこの本で知った。
茅場町にある日本図書館協会の建物の近くの古本屋で購入したのだが、これを売ったのは協会の関係者だろうな。著者は「図書館員に知っておいてほしい知識だ」として本書の意義を説いているのだが、ちとマニアックかもしれない。読み物としては図版も多くて楽しい本である。
フランスおよびベルギーで製本や装丁を学んだという著者による、職人的観点からの書物史。本の綴じ方から、羊皮紙の材料、カバーに使う革、ウィリアム・モリス、マーブル紙のあれこれ、小口への金箔の貼り付けなど、安い日本国内の本に慣れた人間ならば普通目を向けない事柄についてあれこれ書かれていてる。初版は2000年に芳賀書店から発行されていたが、この朝日選書版はそれを少々修正を加えただけのものらしい。
基本的に豪華に装飾された工芸的な価値のある本の話で、ヨーロッパでもまた特殊な部類の本だろう。羊皮紙といっても必ずしも羊の皮ではないとか、表紙に使う革にも種類があって、モロッコ革が主流らしいのだけれど、モロッコ産ではないモロッコ革がいろいろあるとか、表紙の模様の入れ方に「ファンファール様式」だとか「ロマンチック様式」だとかそんな分類名称があることだとか、いろいろ教えてくれる。「花切れ」「しぼ」なるよく知らない日本語もこの本で知った。
茅場町にある日本図書館協会の建物の近くの古本屋で購入したのだが、これを売ったのは協会の関係者だろうな。著者は「図書館員に知っておいてほしい知識だ」として本書の意義を説いているのだが、ちとマニアックかもしれない。読み物としては図版も多くて楽しい本である。