29Lib 分館

図書館・情報学関連の雑記、読書ノート、音楽ノート、日常生活の愚痴など。

友人・同僚のための出産祝いには何が良いか

2010-11-29 14:37:05 | チラシの裏
  同僚の夫婦に初めての子どもが産まれた。親族ではない者の立場が、それなりの額の出産祝いをする場合、何が良いのか考えてみたい。

  第一子ならば、実家の両親や親族などからさまざまなものが贈られるはずである。そのうち衣服やベビー用小物は、親の好みだとか赤ちゃんとの相性があって選ぶのが難しい。僕の子どもは哺乳瓶を好んだが、ピジョンのマグマグはうまく使えず、あまり使わないまま捨ててしまった。衣服だとさらに季節を考えなくてはいけない。

  大物はどうだろうか?子ども用の椅子や、ベビーカー、チャイルドシートは、それぞれの家庭が使い易いものを選ぶべき──机の高さや車のタイプがあるから──で、贈りものにすべきものではないと思う。ベビーバスは生まれて数か月しか使わないので、本人たちが中古品を買ってすぐ売り払うのがいい。個人的におまるを頂戴したことがあるが、そのおまるは数年間使うことができて大変役に立った。だが、デザインにこだわりがある家庭には向かないかもしれない。おもちゃはいろんな人がおふるをくれるので、敢えて選ぶ必要はないだろう。

  結局、赤ちゃんを持った家庭が嗜好に関係なく確実に必要としているものを考えると、紙おむつということになる。紙おむつは新品を買う他なく、その分の出費がかさむ。間違いなく大量に消費するものなので、たくさんもらって困るということはない(もちろんサイズの合うものに限る)。しかし、数個のおむつを直接手渡すというのも大変なことので、紙おむつを購入できる商品券またはギフトカードを贈るのというのが一番いいだろう。

  と思ってそんな商品券を探してみたが、赤ちゃん本舗かAmazon.co.jpのやつぐらいしかないみたいである。「子ども商品券」はけっこう使い難い。西松屋やドラッグストアで使える商品券があればいいのだが、あるのか無いのかよくわからない状態である。静岡市には赤ちゃん本舗が無いので、結局Amazonのを贈るということになる。しかし、同僚はこれを使って書籍を買ってしまわないだろうか?
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最強リズム隊を擁しながら温度の低いセッション

2010-11-26 17:42:38 | 音盤ノート
Peter Erskine Trio "As It Is" ECM, 1995.

  ピアノトリオ。アースキンはJaco Pastoriusと共に全盛期のWeatherReportを支えた名ドラマーだが、ECMでのこのトリオではその面影は微塵もない。スリルやグルーブを感じさせない、空間を重視した繊細なドラミングに徹している。

  音楽の印象を決めているのはJohn Taylorのピアノで、抒情的だが音数の少ない地味な演奏を聞かせる。ベースはキース・ジャレット北欧カルテットにも参加したPalle Danielsson。このリズム隊ならば、もっと弾きまくるタイプのピアニストを擁すればスリリングなインタープレイが聴けて面白かっただろうと思わせる。しかし、Taylorではおとなし過ぎる。それでも、同じ面子で他に3作"You Never Know"(ECM, 1992), "Time Being"(ECM, 1993), "Juni"(ECM, 1999)の録音があり、それなりに好評だったのだろう。

  トリオでの四つの録音のうち、"Juni"はフリー寄り、"Time Being"は明るくインタープレイ多めで、"You Never Know"とこの"As It Is"は楽曲重視のよく似た作品である。しかし、"As It Is"のほうがより陰鬱でよろしい。特に冒頭を飾るTaylor作"Glebe Ascending"は螺旋状にメロディが変化し、聴き手を金縛りかける。何度も聴きたくなる名曲である。
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豊富なデータが浮き彫りにする論争のくだらなさ

2010-11-24 08:01:47 | 読書ノート
小谷野敦『現代文学論争』筑摩選書, 筑摩書房, 2010.

  タイトル通りで、1970年代以降の日本の文学者による論争をまとめたもの。ペンクラブによる反核アピール、筒井康隆の断筆宣言、宮沢賢治の評価、柳美里『石に泳ぐ魚』裁判ほか、全部で17の論争を扱っている。そのデータ量は圧倒的で、名の知られた小説家・批評家による議論だけでなく、文壇とは無縁の文学研究者による専門論文や、さらにプロフィールのよくわからない人物による紀要論文まで拾って言及する徹底さである。永く参照される書籍になるだろうから、筑摩書房は人物索引を付すべきだったと思う。

  それにしても、こうやって検証されてみると、日本の文壇はくだらない論争を実にたくさんやっていたのだなという感慨を持つ。著者自身も各論争を冷ややかに眺めているようなので、おかげで読者も当事者を馬鹿にしながら読めるという、ある意味「性質の悪い」楽しみ方ができるようになっている。そのせいか、残念ながら、ここで挙げられた作品を敢えて読んでみようという気にならないのも確かである。著者は、現在では論争数が減っておりもっと論争が必要だと言うのだが、文壇がこのレベルならNHKによる討論を見たほうが教養を深めるだろう。そのことを知る上でも読む価値があるかもしれない。  

  
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パンクあがりによる打込みボサノバ

2010-11-22 16:02:28 | 音盤ノート
Arto Lindsay "Mundo Civiliazdo" Güt/For Life, 1996.

  ブラジル風打込みリズムの上に、アコースティック・ギターと軟弱男性ボーカルを載せるボサノバ風音楽。基本ブラジリアン・ポップなのだが、本人がアメリカ人の上に出自がNo New Yorkのためか、ニューウェーブ系の実験ロック好きばかりに注目され、MPBとはジャンルされず、かといってAOR扱いもされず、アクセスしにくい状況にあるようである。

  Arto Lindsayのボサノバ路線はこの前作"Subtle Body"(Güt/For Life, 1995)からだが、このアルバムはリズム面でエレクトロニクスを大胆に取り入れたのが特徴。担当はDJ SpookyとMutamassik。後年の、打込みボサの名盤として有名なBebel Gilbertoのデビュー作"Tanto Tempo"(Ziriguiboom, 2000)と比べると、打楽器音は大きめでかなりスイング感がある。しかし、同じく1996年のVerveによるコンピレーション"Red Hot + Rio"に比べれば、打楽器音は控え目で洗練されており、よりMPBに近いように聴こえる。あとは、上手いとは言えないボーカルに味を感じるかどうかで好き嫌いが分かれるだろう。

  なお日本盤は坂本龍一によるレーベルGütから先行発売されている。なので、海外のディスコグラフィーを見ると、発行時期が一年ずれている。
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邦訳において二番手扱いされる不遇

2010-11-19 13:20:15 | 読書ノート
ティム・ハーフォード『人は意外に合理的:新しい経済学で日常生活を読み解く』遠藤真美訳, ランダムハウス講談社, 2008.

  行動経済学と言っていいのだろうか? 経済以外の領域でも人はインセンティヴに反応して行動するという、ゲイリー・ベッカー系の主張がベースにある書籍である。カーネマンとトヴェルスキー系(こちらが本流?)の、「価格や価値に対する人の反応は経済学が想定するほど合理的ではない」とする議論でないことは確かである。

  トピックは以下のとおり。オーラルセックスの普及はエイズへの反応であること、ゲーム理論を適用したギャンブル、男女の人数の差で婚姻市場がどう変化するか、経営者をコントロールする報酬体系、繁栄する都市とそうでない都市の差、統計的な差別が差別を再生産すること、などなど。知識を効果的に伝播するインフラとして人が集住すること──すなわち「都市」──が重要だという指摘は非常に面白かった。東京から地方都市にすむようになった人には容易に首肯できる主張だろう。

  日本におけるこの著者の扱いはやや不遇の感がある。前著『まっとうな経済学』(ランダムハウス講談社, 2006)は、先行して出版されていた話題作『ヤバい経済学』(参考)の二匹目のどじょう的な扱われ方だったように記憶する。そもそも原題の"The Undercover Economist"が『まっとうな経済学』という面白みのないタイトルに変えられてしまっているのが不遇だ。たぶん出版社は『ヤバい経済学』の逆を狙ったのだろうが。今作もダン・アリエリーのベストセラー『予想どおりに不合理』の翻訳(参考)と出版時期が重なっている。原題"The Logic of Life"が邦題『人は意外に合理的』になってしまっているは、そういうことなんだろう。
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今年の主流は女子高生

2010-11-17 12:04:04 | チラシの裏
  昨年のわが短大学園祭で一世を風靡したファッション、つなぎ(参照)。今年は、一部のグループが採用していたものの、すでに少数派になっており主流ではなかった。流行り廃りの物悲しさを垣間見た気分である。

  変わって今年の流行は女子高生ファッション。わざわざ昔通った高校の制服を着ている学生が目立った。彼女たちにとって、高校時代というのは早く脱したい時代ではないのだろうか? また、女性が思っているほど、多くの男性が制服姿に「萌える」ものでもないと思うが、どうなんだろう? これも何かの影響か?
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資料共有のための学生サークル

2010-11-12 16:33:34 | チラシの裏
  学生に頼まれて「マンガ・アニメ研究会」の顧問になった。会員は漫画を描くのかと思いきや、「読み」専門。活動は会員の間で漫画を交換しているだけの様子。「同人誌でも作ってみたら」と提案してみたのだが、学生曰く「絵が描けなーい」ということでボツ。どうも僕が予想していたものと違っていたようだ。それにしても、サークルにする必要はあるのだろうか? 公共図書館以前のブッククラブみたいなものか。
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アンビエントには成りきれず

2010-11-10 10:41:47 | 音盤ノート
Harold Budd, Simon Raymonde, Robin Guthrie & Elizabeth Fraser "Moon & Melodies" 4AD, 1986.

  アンビエント系ピアニストのHarold Buddと英国ロックバンドのCocteau Twinsの共作。すべての曲でバッドのピアノを聴けるものの、残念ながら共作はうまくいっていない。バッド系の曲(track 2,3,6,7)とコクトーズ系の曲(track 1,4,5,8)がはっきりわかれてしまっている。

  バッド系の曲は良い。ピアノにかぶせられる荘厳なシンセサイザーと、霞のようなリヴァーブ・ギターはコクトーツインズらしい響きで、Enoとの共作(参考)には無かった面白味がある。バッド、ガスリー、レイモンドの共同作業がうまく機能したことがうかがえる。

  問題はフレイザーのボーカルが入る4曲である。コクトーツインズの曲にピアノが加わっただけのような風情で、バッドの印象が薄い。彼女のボーカルが強烈すぎるせいだろうか? そういう面もあるが、それよりもドラムを使ってしまっているからだろう。ドカドカ鳴る打込みドラムのおかげでずいぶん非アンビエント的な響きになってしまっている。

  以上のような難点があるが、僕のようにどちらも聴く人間にはそこそこ満足できる内容である。しかし、どちらかのみを好む者なら、物足りないかもしれない。
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増補版についてのノート

2010-11-08 13:39:26 | 読書ノート
ダン・アリエリー『予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」/ 増補版』熊谷淳子訳, 早川書房, 2010.

  行動経済学の一般向け解説書。原書初版は2008年で、邦訳初版も同年に発行されている。この増補版は、新たに二つの章を設け、さらにいくつかの章に数ページ分のネタとコメントを加えたもの。早いサイクルでわざわざ増補版にした理由の説明はない。

  新たに加えられた二章は次のようなもの。一つは信用に関するもの(12章)で、非協力的でさらには詐欺をするようなプレイヤーが社会に含まれると、社会の信用さらには協力関係自体が破壊されるということを訴えている。

  もう一つ(5章)は、「無料」による提供が、市場の領域にではなく、社会規範の領域にあるということを主張したもの。実験で、キャラメル一個を一セントで売った場合と、無料で提供した場合を比較すると、受け取った人数は後者のほうが多かったのに、一人ひとりが得た個数は前者の方が多かった。合計してみると無料の場合には消費量が減ったという。著者はこの現象について、無料の場合、受け取る者は他の人々のことを考えて、わずかな分量だけ取ろうとする、一方、有料の場合、他者のことなど考えずに欲しいだけ消費する、と解釈している。

  本書全体としては、タイトル通り「人間の判断の不合理さの規則性」について説いた内容になっている。ただ、そうなっている理由についても知りたいところだが、それについては書かれていない。

  
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電子音室内楽の習作集

2010-11-06 15:19:04 | 音盤ノート
Oval "O" Thrill Jockey, 2010.

  エレクトロニカ。最初、このCDを僕のCDプレイヤーに挿入した際、認識されなかった。しようがないのでパソコンで聴いている。Ovalの場合、そんなことがあっても「これが新機軸か?」と思わせてしまうところがある(いや、思わないか)。

  二枚組で、一枚目は5分から1分程度の曲が26曲続く(うち6曲は日本盤のみのボーナストラックの模様)。音数は少ないが、独特な響きを持つ電子音は相変わらず。ただし、1990年代の頃の型破りな音使いとはちがい、耳に心地よいと思える範囲に収まっている。また、曲がミニマルに展開する中でときどき生ドラムが加わる。そのせいで、音響系ロックバンドのような印象を残す曲もある。エレクトリックギターも鳴らされるが、音はかなり加工されている。二枚目は、一枚目に収録された曲になる以前の段階のような、一分前後の短い電子音が50トラック入っている。

  全体としては、個々の音──特に高音で鳴らされるギター──が美しく、メロディもあり、情緒的な聴取のできる音楽となっている。とはいえ、どうせここまでやるのならもう少し曲を構築してもいいという気もする。良い曲でもすぐ終わってしまうのがやや不満なところ。
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