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生物学者としての知見が減って歴史ドキュメンタリーに

2012-09-21 11:31:24 | 映像ノート
DVD『銃・病原菌・鉄』日経ナショナルジオグラフィックック, 2007.

  ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』を映像化した内容。同著は、南北問題の原因を究極的には地理的条件にさかのぼる内容だった。ユーラシア大陸は東西に延びているため、同緯度にある地域に農作物を伝えやすく、おかげで人口が増加し、文化も伝播してゆく。一方、アメリカやアフリカは南北に長く、赤道をまたいで植生が変わるため、農業や文化の面で他地域との交流が少なく、発展があまりない。そのためにヨーロッパは、全世界を征服できたのだ、と。タイトルにある銃・病原菌・鉄は、植民地時代の幕開け時点でヨーロッパ人側に有利にはたらいたアイテムを示している。

  このDVD三枚組はダイアモンドがナビゲーターとなり、パプアニューギニア、スペイン、南アフリカに取材するというもの。映像で見ると、彼の仮説はかなり大雑把なものに感じられる。書籍にあった、生物学者としての視点や、人類の移動や文化の伝播などについての細かい検証が後景に退いてしまったせいだろう。その分、歴史ドキュメンタリーとしての性格が濃くしているようで、ピサロによるインカ帝国の征服と、ボーア人によるグレート・トレックを再現したドラマ部分をクライマックスにした構成となっている。まあ、ドラマ部分はそれなりに楽しめるけど、このDVDはあくまでも同書籍への導入というレベルの内容である。読んだ人は見なくてもいい。
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