多根清史『教養としてのゲーム史』(ちくま新書), 筑摩書房, 2011.
さわやか『僕たちのゲーム史』(星海社新書), 星海社, 2012.
コンピュータゲーム史。僕は普段からゲームをしないので知識もほとんどないのだが、学生の指導のために必要になって読んでみた。とはいえ、団塊ジュニア世代の人間なので、書籍で挙げられている初期のゲームタイトルはそこそこわかる。スペースインベーダー、ギャラガ、ドンキーコング、ゼビウス、スーパーマリオブラザーズなど、子どもの頃にプレイした記憶がある。ゲームセンターの雰囲気や、家庭用ゲーム機が普及したために遊び方が変わってしまったことも覚えている。むしろ、今世紀以降の作品のほうがわからず、名前は聞いたことがあるがプレイしたことがないということがしばしばだった。
『教養としてのゲーム史』は1970年代の「ブロックくずし」前後から1990年代半ばまでをカバーしている。ソフトウェアとしてのゲームの発展に焦点を当てており、特にどのような部分がそのゲームを面白くしているかについて論じている。例えば、スーパーマリオブラザーズにおいては多彩なジャンプ操作であり、ゼビウスにおいては地上と空中を分離して対処しなければならない点だという。ゲームの発展を制約する技術についても言及がある。ただし、記述の精粗があって、ゲーム&ウォッチ(ファミコン以前の任天堂ゲーム端末)やゲームボーイなどの携帯ゲーム機や、格闘ゲームやテトリスのような落ち物パズルは扱われていない。また、1990年代半ば以降の展開も知りたいところである。
『僕たちのゲーム史』は、ファミコン以前のゲームについて言及しつつも記述を短く抑え、2000年代半ばのオンラインゲームの普及直前あたりまでをカバーしている。個々のゲームについては、発表当時の批評や開発者の意図によって解説されることが多い。家庭用ゲーム機がカセット式からCD-ROM式に変わることの意義や、海外の主流のゲームと日本のそれとの比較、ゲームセンターの変化──昔の暗い雰囲気(「不良少年のたまり場で小学生がカツアゲされる」というような)が一掃されて家族向けの「アミューズメントパーク」となったこと──などは、興味深い指摘だった。トピック選択のバランスで言えばこちらのほうが優れているだろう。
以上。読む前は「自分はこの種のゲームをしない人間だ」と思い込んでいたが、読んでみて子どもの頃はわりと身近にゲームがあったのだなあという感慨をえた。思い返してみても、ゲームから遠ざかっていたのは大学に出てきてから以降である。とはいえ、この新書二冊だけでわかったつもりになってもいけないので、もう少し最近のゲーム論を読むつもりだ。あとはゲームを実際やってみるかどうかだが、時間をとられるし、そこまでする気はない。
さわやか『僕たちのゲーム史』(星海社新書), 星海社, 2012.
コンピュータゲーム史。僕は普段からゲームをしないので知識もほとんどないのだが、学生の指導のために必要になって読んでみた。とはいえ、団塊ジュニア世代の人間なので、書籍で挙げられている初期のゲームタイトルはそこそこわかる。スペースインベーダー、ギャラガ、ドンキーコング、ゼビウス、スーパーマリオブラザーズなど、子どもの頃にプレイした記憶がある。ゲームセンターの雰囲気や、家庭用ゲーム機が普及したために遊び方が変わってしまったことも覚えている。むしろ、今世紀以降の作品のほうがわからず、名前は聞いたことがあるがプレイしたことがないということがしばしばだった。
『教養としてのゲーム史』は1970年代の「ブロックくずし」前後から1990年代半ばまでをカバーしている。ソフトウェアとしてのゲームの発展に焦点を当てており、特にどのような部分がそのゲームを面白くしているかについて論じている。例えば、スーパーマリオブラザーズにおいては多彩なジャンプ操作であり、ゼビウスにおいては地上と空中を分離して対処しなければならない点だという。ゲームの発展を制約する技術についても言及がある。ただし、記述の精粗があって、ゲーム&ウォッチ(ファミコン以前の任天堂ゲーム端末)やゲームボーイなどの携帯ゲーム機や、格闘ゲームやテトリスのような落ち物パズルは扱われていない。また、1990年代半ば以降の展開も知りたいところである。
『僕たちのゲーム史』は、ファミコン以前のゲームについて言及しつつも記述を短く抑え、2000年代半ばのオンラインゲームの普及直前あたりまでをカバーしている。個々のゲームについては、発表当時の批評や開発者の意図によって解説されることが多い。家庭用ゲーム機がカセット式からCD-ROM式に変わることの意義や、海外の主流のゲームと日本のそれとの比較、ゲームセンターの変化──昔の暗い雰囲気(「不良少年のたまり場で小学生がカツアゲされる」というような)が一掃されて家族向けの「アミューズメントパーク」となったこと──などは、興味深い指摘だった。トピック選択のバランスで言えばこちらのほうが優れているだろう。
以上。読む前は「自分はこの種のゲームをしない人間だ」と思い込んでいたが、読んでみて子どもの頃はわりと身近にゲームがあったのだなあという感慨をえた。思い返してみても、ゲームから遠ざかっていたのは大学に出てきてから以降である。とはいえ、この新書二冊だけでわかったつもりになってもいけないので、もう少し最近のゲーム論を読むつもりだ。あとはゲームを実際やってみるかどうかだが、時間をとられるし、そこまでする気はない。