海老原嗣生『学歴の耐えられない軽さ:やばくないか、その大学、その会社、その常識』朝日新聞, 2009.
大学卒の雇用のミスマッチについて議論する著作。データに基づいた論証が大部分で、説得力がある。リクルートで人材マネジメントを行ってきた著者は、漫画の登場人物のモデルにもなった人らしく、そのスジでは有名らしい。だが、漫画を読まない僕には初めて知る人物。
全体の内容については多くの書評があるようなのでパス。気になった次の点だけにコメントしたい。
著者は、大学文系の教育に対して、社会人養成カリキュラムを採りいれることを提言している。「不況で企業側がOJTを出来なくなっているため、大学がそれに相当する訓練をすべきだ」というのは、最近の風潮のようであり、僕としてはそういうものだとして受けとめている。
ただ、著者の提言は“「地誌」「ビジネス英語」「簿記」「税務」「価格理論」「マーケティング」「労働法」「商法・会社法」「特許法」「給与・社会保険・年金計算」(以下略)”(p.76)と具体的な知識内容であることだ。現在いくつかの大学で行われている、一部のゼミ生による企画のマネごとのような「社会人教育」とも、マナーや会話方法を教えるようなコミュニケーション能力育成とも大きく異なっている。
尋ねたいのは、著者が挙げた教科の成績を、採用側企業は重視しているか、ということ 企業はそのような知識を求めているのか? 実際、学生のコミュニケーション能力を向上させるよりは、パッケージとしての知識を伝授する著者提言の方が大学にとって楽である。前者の訓練プログラムを作ることは難しいが、後者は講義の中におさまる。
教科内容が実務的だろうがそうでなかろうが、採用側は無関心であるように見えるのだが、違うのだろうか? それとも上記教科が文系学生を序列付けるシグナルとして機能すれば、ミスマッチが起こり難い、ということなのだろうか?
大学卒の雇用のミスマッチについて議論する著作。データに基づいた論証が大部分で、説得力がある。リクルートで人材マネジメントを行ってきた著者は、漫画の登場人物のモデルにもなった人らしく、そのスジでは有名らしい。だが、漫画を読まない僕には初めて知る人物。
全体の内容については多くの書評があるようなのでパス。気になった次の点だけにコメントしたい。
著者は、大学文系の教育に対して、社会人養成カリキュラムを採りいれることを提言している。「不況で企業側がOJTを出来なくなっているため、大学がそれに相当する訓練をすべきだ」というのは、最近の風潮のようであり、僕としてはそういうものだとして受けとめている。
ただ、著者の提言は“「地誌」「ビジネス英語」「簿記」「税務」「価格理論」「マーケティング」「労働法」「商法・会社法」「特許法」「給与・社会保険・年金計算」(以下略)”(p.76)と具体的な知識内容であることだ。現在いくつかの大学で行われている、一部のゼミ生による企画のマネごとのような「社会人教育」とも、マナーや会話方法を教えるようなコミュニケーション能力育成とも大きく異なっている。
尋ねたいのは、著者が挙げた教科の成績を、採用側企業は重視しているか、ということ 企業はそのような知識を求めているのか? 実際、学生のコミュニケーション能力を向上させるよりは、パッケージとしての知識を伝授する著者提言の方が大学にとって楽である。前者の訓練プログラムを作ることは難しいが、後者は講義の中におさまる。
教科内容が実務的だろうがそうでなかろうが、採用側は無関心であるように見えるのだが、違うのだろうか? それとも上記教科が文系学生を序列付けるシグナルとして機能すれば、ミスマッチが起こり難い、ということなのだろうか?