横山秀夫の力作の映画化です。原作(感想はこちら。※かなりネタバレあり)と比べると、非常に印象的な幾つかのエピソードがカットされたりで、山田洋次が脚本に加わったにしてはこなれていないというか、時間配分などにもやや疑問が残り、感動度はかなり減退気味でした。映画なのだから「回天」そのものの映像ももう少し増やしてほしかった気がしました。戦争の狂気(誰もが正常な人格でなくなってしまう・・・)の描き方も不足気味でしたが、これは映画では暗さをあえて抑えたのかもしれません。日本映画で戦争を題材にすると、ともすれば暗くなりがちなので、光基地のシーンの明るさも”あり”かなとは思います。
主演の市川海老蔵は表情豊かで、主人公・並木の明るさ、爽やかさ、人の良さ、真面目さがよく出ていてなかなかの適役でした。整備兵の伊藤を相手に魔球を投げたときの笑顔と叫びが非常に素晴らしかったです。
原作をお読みでない方はぜひご一読を!
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市川海老蔵が映画初出演にして主役を務め、歌舞伎界のスターがスクリーンでも映えることを証明した1作。第二次大戦が集結しようとしていた1945年、日本軍が最後の秘密兵器として開発した「回天」に乗り、敵艦に突っ込んでいった若き兵士たちの物語だ。直径1mの回天は1名が乗り込むスペースしかなく、映像からは内部の息苦しさや孤独感が伝わってくる。死を覚悟した兵士たちの悲壮感がその閉塞した空間と重なり、ここでも海老蔵の鋭い眼力が効果を上げることになる。
原作の横山秀夫と監督の佐々部清は『半落ち』のコンビだが、脚本に山田洋次が加わったせいか、キャラクターに親しみを感じさせる展開になった。この手の映画では、時としてしつこく描かれる家族や恋人との別れが、意外にサラリとしており、かえって感動的。そして主人公が甲子園の優勝投手だったという設定がスパイスとなっている。ボールやグローブが物語を彩る小道具として使われるほか、キャッチボールのシーンがじつに爽やかで、その分、戦争の虚しさが伝わってくるのだ。結末の受け入れ方も、観る人それぞれによって変わってくる作品である。(斉藤博昭)
メーカー/レーベルより
海軍が最後に賭けた、究極の極秘作戦―
二度と帰れぬ作戦に、身を投じた若者がいた
市川海老蔵が映画初主演、『半落ち』の原作・監督が再び贈る感動大作がDVDで登場!
■『半落ち』の原作・監督が贈る感動大作『出口のない海』。生きる意味を問いかけた感動大作!
『半落ち』の原作・横山秀夫、監督・佐々部清のコンビが再びタッグを組んで贈る感動大作『出口のない海』。脚本には、『たそがれ清兵衛』『武士の一文』も話題の巨匠・山田洋次と、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『うなぎ』を手掛けた冨川元文を迎え、戦争時代に身を置いた若者の姿を見事描き出した。
■若手俳優、ベテラン俳優による豪華キャスト陣も話題に!
主演は映画初出演となる市川海老蔵。数々の話題作に出演の伊勢谷友介、「のだめカンタービレ」が好評の上野樹里、『パッチギ!』の塩谷瞬など、期待の若手俳優らが共演。若き才能と熟練の演技で、心に残る名場面の数々を生み出した。
[内容解説]
甲子園の優勝投手・並木浩二は、大学進学後に肩を痛めて自慢の速球が投げられなくなり、エースの座を失う。それでも野球への情熱を燃やし続ける並木だったが、世界は戦いの時代を迎えようとしていた。ついに日米開戦、太平洋戦争は日ごとに激しさを増していく中、愛する家族や友、そして恋人とも別れて海軍に志願する並木。そこには彼と同じく、大切な人たちを守るために戦うことを決意した若者たちがいた。日本の敗戦が日に日に濃厚になっていくなか、海軍は最後の秘密兵器"回天"を開発。やがて脱出装置のない定員1名の回天に乗って敵艦に激突するという究極の任務についた若者たちは、自らの進む道をを迷い、怒り、悲しみながらも、明日への希望、愛する者への思いを胸に秘め、そして遂に出撃の時が訪れる・・・。
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