★★★★(☆’):80(~85)点
~Amazonより~
八幡様に朝日がのぼり、大川端に夕陽が沈む。明暦、元禄、天明、文化、時代は移るもそれは変わらず、お天道様が見守る下で、様々な人生が織り成されていく。江戸は深川、辰巳に花咲く、八つの人情物語。
一力さんの最近作(とくに長編)には辛目の評価をすることが多かったのですが、短編集である本作は人物や人情がよく描けているし”しみじみ感”もあって、今年の読了本第1作目にふさわしい出来映えでした。一気に数十年が経過する話もあり、5編くらいで1つ1つをもうちょっと書き込んでくれた方が嬉しかったような気もしますが、まずは文句なし。 時の経過も効果的ではありました。
◎ :永代橋晩鐘、やぐら下の夕照
○ :佃町の晴嵐
○’:永代橋帰帆、仲町の夜雨、木場の落雁、洲崎の秋月、石場の暮雪
実らぬ恋(実らなかった恋)を描いた「永代橋晩鐘」「やぐら下の夕照」がベストでしょうか。悲しさと明るさのブレンドが絶妙。まるで「料理の鉄人」のナレーションみたいやな・・・。