ひろの東本西走!?

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同潤会上野下アパート

2009-10-29 22:05:34 | 近代建築

関東大震災後に同潤会が建てた鉄筋コンクリート造の集合住宅としては唯一のものとなった上野下アパートです(1929(S4)年築)。47戸の家族用と24戸の単身者用の部屋をそなえていたそうですが、現在はどのように使われているのでしょうね。

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スクラッチタイルが貼られた門は最頂部の貼り方を変えたり、段差をつけたりと変化をもたせて味わいあり。

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様々な直方体を組み合わせたような建物もオーバーハングあり、裏手に回ってみると上の写真のようなへこみありと、外観に変化を持たせていると共に陰影の面白さも感じます。下の2枚の写真に写っている小部屋は「受付」と書かれたプレートが貼られており、かつては(?)そのような役割を果たしていたのでしょうね。窓の桟は変化を持たせていますし、袖壁をくりぬいた部分などのちょっとしたデザインも心にくいです。階段室の雰囲気なども少しだけ拝見させて頂きましたが、こちらもなかなか趣がありました。

但し、全体的には傷みが見受けられ、上野下アパートは今後どうなっていくのでしょうね。ちょっと心配です。

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比留間歯科医院

2009-10-25 22:37:02 | 近代建築

先週、とある全国大会に参加するため上野駅の近くのホテルをとり、当日の朝食前に1時間ほど近所を探訪しました。目的の建物は、前回見たときには天気が悪くて素晴らしさが写真に表れなかった「比留間歯科医院」と「上野下アパート」です。

まずは「比留間歯科医院」(台東区東上野4-1-5)です。
1929(S4)年築のハーフチンバー&三角屋根が優美な建物は、早川某氏の自家設計だそうです。外壁は下見板張り風のトタン張り(?)でしょうか。現地できちんと確認しなかったのですが、写真で見る限り”木”ではないようです。

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自家設計ながら実に美しく素晴らしい建物で、小建築としては逸品だと思います。
右書きで毛筆調の比留間歯科医院の文字も立派で、黒い外壁に上げ下げ式の白い窓枠が映えます。赤い外灯が交番みたいなのも面白いですね。

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鼓阪小学校

2009-10-17 21:44:48 | 近代建築

10月度の「関西 洋風建築めぐり」講座は、奈良の鼓阪(つざか)小学校でした。東大寺転害門(てがいもん)のすぐそばにある鼓阪小学校(旧奈良第三尋常高等小学校)の前身は明治時代に遡るそうです。今回見学させて頂いた建物は、昭和9年の室戸台風で倒壊した木造校舎に代わって昭和11(1936)年に鉄筋コンクリート造で建てられたものです。しかし、当時の学校様式は洋風コンクリート建築がもっぱらであったのに対し、ここでは東大寺という歴史的景観に配慮してコンクリート破風造り(寺院建築様式)としたそうです。コンクリート造で日本風の建物というと、以前に見学した旧・琵琶湖ホテルなどがありますね。

私はこれまで何度か転害門の前を通ったことがありますが、まさかその奥に小学校があるとは露知らず。転害門の向こうにはちらっと講堂が見えるのですが、誰でもお寺と思いますよねえ。

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鼓阪小学校の建築の特徴は、第一に”コンクリート破風造り(寺院建築様式)”ということで、見せ場である屋根にここまで直裁に仏教寺院の屋根形を用いたケースは少ないとのこと。また、内部に大空間を持つ講堂と職員室・校長室などの管理スペース部分からなる本館が一体化していることも大きな特徴です。

さて内部です。なお、この日は、わざわざ校長先生が案内して下さいました。
高い天井の大空間である講堂は地域の公会堂的な役割も持っていた(現在も持っている)ようで、かつては正面奥に映写室があったそうです。また、一部の窓がバスケット・ゴールなどのためにふさがれたりで、昔の佇まいはあまり残っていないようです。しかし、縦長の大きな窓はとても印象的でした。

玄関脇の下足室は、ゆるやかなカーブを描いた曲面にアールのついた出入り口が優美ですね。応接室の天井は2段になっており(折り上げ天井?)、木製の扉や腰壁などは昔のままで落ち着いた雰囲気です。腰壁に取り付けられていたのはかつての呼び出しベルのスイッチでしょうか、可愛らしかったです。講堂部分と本館部分をつなぐ廊下部はトップライトになっており明るくて、それを支えるアーチが美しい。古い建物、しかも外観は和を基調とした建物内部で、このような構造は初めて見た気がします。

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そして、昔からある床タイルを眺めたりしながら隣接する校舎へ移動しました。その3階から見ると講堂+本館の屋根の様子がよく分かります。なかなか複雑な構造になっており、軒先の反りも味わいがあります。中央に廊下部のトップライトがチラッと見えていますね。

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各教室の室名表示のプレートは生徒さんの手作りでしょうか。素晴らしいです。世界遺産の中で学ぶ子供たちは幸せですね。でもそれを強く感じるのは卒業してからなのかなあ。。。
なお、この日の講座はまだもうちょっと続きがあります。

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シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代(梅田望夫)

2009-10-14 23:31:02 | 10:あ行の作家

Umedahabu_2 シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代(中央公論新社)
★★★★☆:90点

ウェブ界の稀代の書き手・伝道師として「ウェブ進化論」などの素晴らしい著作があり、私も絶対の信頼を置く梅田望夫氏待望の近著は題材が「将棋」でした。前著でも羽生名人のことが書かれたりしていましたが、あらまー!「将棋」が題材とは!

恥ずかしながら羽生さんの名前は知っていても将棋のことは殆ど知らず&分からず(小学生の頃に駒の動きをちょこっと教えてもらったくらいで、未だかつてきちんと一局を指したことも見たこともなく、今となっては駒の動きすらよく覚えていません・・・)のため、理解できないかもと恐れを抱いて、とりあえず図書館で借りたのですが・・・何とまあ抜群に面白く、ほぼ一気読みで読了しました。さすがは梅田望夫さんです。

「指さない将棋ファン」宣言がありましたが、将棋ファン以前である私でも将棋の素晴らしさ、奥深さ、凄さ、美しさ、タイトル戦の緊迫した空気と想像を絶するギリギリの戦い、棋士たちのもの凄さ(天才たちの絶え間ない研究・研鑽と努力の日々)、高潔さ、人間的な魅力などがひしひしと伝わってきました。細かい指し手のことは分からなくても十分楽しめる傑作で、そのこと自体が凄いです。梅田望夫さんはタイトル戦のリアルタイム観戦記(byネット)と合わせて、また凄い仕事をやってのけたもんだ!

****************************** Amazonより ******************************

「本物の情熱」と「際立った個性」が新しい時代を創っていく

有限の盤上で無限に進化する世界から、我々は何を学び得るか。
トップ棋士と共に真理を探究した一年間の記録!

好きなものがありますか? 極めたいことは何ですか?
――ベストセラー『ウェブ進化論』の著者が「思考(アイディア)の触媒」として見つめ続けてきたものは、将棋における進化の物語だった。
天才の中の天才が集う現代将棋の世界は「社会現象を先取りした実験場」でもある。
羽生善治、佐藤康光、深浦康市、渡辺明ら、超一流プロ棋士との深い対話を軸に、来るべき時代を生き抜く「知のすがた」を探る。

たとえルールがわからなくても、「観る」面白さを知っている、すべての人に。
「私が本当に書きたかったのは、この本でした」――梅田望夫

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野球ファンやクラシック音楽ファンは自分にはできないことについても感想を述べたり語ったりできるのに、なぜ将棋ファンは「上手くないので(強くないので)」とか「最近は指さないので」といった理由で好きなように語れないのかという疑問からスタートし、見事にその壁をうち破った梅田氏の面目躍如といった感じですね。羽生善治4冠、佐藤康光棋聖、深浦康市王位、渡辺明竜王とガップリ四つに組んでの観戦記と対話・対談がとにもかくにも素晴らしいです。超一流の棋士たちには熱い想いと冷めた&冴えた頭脳が同居しているのでしょうか?もちろん、梅田氏ならではのコンピュータやネットについての洞察も怠りなく、書名にふさわしい内容になっていると思います。

そして、羽生善治のもの凄さ。「盤上に自由がなかった」現代将棋に風穴をあけ、あらゆる戦型に精通したオールラウンドプレイヤーを指向する羽生。この人は将棋の天才であると共に、知情意をそなえた知の巨人でもありますね。既に「ウェブ進化論」で、羽生が語った学習の「高速道路論」とその先にある大渋滞、「けものみち」なども紹介されていたが、羽生は若き日に完成させた(?)「羽生の頭脳」で「情報(IT)革命」の思想を先取りしていた!----”その段階で持っている知識はすべてオープンにする”という「知のオープン化」と「勝つこと」の両立----七冠制覇!「知のオープン化」が成し遂げる凄さは私にも何となく実感できます。現代では、もはや「知」はそれを閉ざしていては「知」ではないということか。「Win-Win」などの考え方とも関係しますね。

竜王戦の第一局で放った渡辺明の心臓をえぐるような一手。「将棋観が根底から覆された・・・」(渡辺)。しかし、渡辺も3連敗の後に巻き返し、遂にタイトル戦では初めての3連敗後の4連勝で初の永世竜王の座を獲得する。その第七局では140手の伝説的な名局を羽生と共に作り出したという。また、渡辺も若くして自分の考えなどをブログ等を通じて伝える、発信するということを行っている。彼が羽生の後継者となるのか・・・。

えー、この本は(この本も)素晴らしいと感じた箇所や印象に残った箇所が非常に多く、以下、それらを少し抜き出してみますと(梅田氏の言葉でないものも含まれています)、

・10年に一度の割合で天才が生まれるという将棋界
   加藤一二三、米長邦雄と中原誠、谷川浩司、羽生善治。そして、渡辺明。
・「均衡の美」、終局後の感想戦が「至福の時間」
・人生における「機会の窓」(Windows of opportunity)を生かせるかどうか
・人は、人にこそ、魅せられる
・先駆者・升田幸三の孤独
・量が質に転化する瞬間があるはず----ウェブでは量の制約がない!
・棋士は勝負師と芸術家と研究者の三つの側面を併せ持つ(谷川浩司)
・「超一流」=「才能」X「対象への深い愛情ゆえの没頭」X「際だった個性」

などなど。

よし、遅まきながらちょっと将棋を勉強するか!

◎参考ブログ:

   Tetsuro Muranagaさんの”村永: Tetsuro Muranaga’s View”
   ----支離滅裂な私の感想とは大違いで、もっと高所から語っておられます。


37kmマラニック

2009-10-12 20:31:00 | ランニング
昨日は福知山マラソン(フル)にそなえてランニング仲間が企画してくれたマラニックに参加してきました。参加者は8名(男:8、女:2)で、若干のコース短縮はあったものの、京橋~南千里?~京橋を激走してきました。スタートは10時過ぎで、千里近辺はどこをどう走ったのかよく分かりませんでしたが、京橋に戻ってきたのが予定通りの15時過ぎでした。約5時間のマラニックで、途中のミニ昼食やトイレ休憩、小休止などの時間を除くと、走っていた(一部歩行も含む)時間は大体3時間35分くらいだった模様です。Aさん所有の携帯のGPSによる計測では走行距離は約37kmで、平均すると大体キロ6分ペースでした。練習にしてはなかなかのペースですね。序盤は日陰ではちょっと肌寒いくらいだったのですが、終盤は一転して強い日射しで疲労感が増大。信号で止まるたびに皆、日影を探していました。
注)以下の写真は別の日に撮ったものが殆どです。
・大川沿いに毛馬の閘門を目指す
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・毛馬に到着(9/25の記事にも使ったもの)
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途中の細かなルートは私には定かでないのですが、淀川では赤川鉄橋(木製の歩道)を渡ったり、アサヒビール吹田工場の赤レンガ倉庫や千里山では古い小学校の木造校舎を利用したレトロな図書館の前を通ったり、終盤には柴島の水道記念館(これも赤レンガ建築)を横目に走ったりで、建築ファン・街歩きファンとしても風景を楽しむことができました。
・赤川鉄橋を渡る(日曜日はこの写真と逆方向に渡りました)
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・アサヒビール吹田工場
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・水道記念館(日が当たると、もっと美しいのです)
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RUNの後は、銭湯とスポーツクラブに分かれて汗を流し、17時前から京橋の「天狗」で打ち上げ。いつものごとく大いに飲み食いしてランニング談義などで盛り上がりました。全体に年配メンバーが多かったこともあって、年金の話なども出てきましたね(汗)。
今回は37kmを走りましたが、実際のレースではプラス5kmで、かつ人によってはこれよりも速いペースとなるので、やっぱりフルは大変やなあという思いが強いです。私は練習不足で距離に対する不安がありましたが、何とか最後までくっついて走りきることができました。京橋に近づいてからのラスト1kmはかなりきつく、ペースアップする余力はありませんでしたけどね。ですが、千里のあたりは結構アップダウンが多くてかなり脚が鍛えられた気がしますし、福知山フルに向けてちょこっと自信がつきました。
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千里第二小学校の旧木造校舎を利用した吹田千里山・佐井寺図書館の写真は、風の谷さんのブログ”風の谷便り”のものを勝手に使わせて頂きました。ありがとうございました。