ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

住之江区・浜口西の近代建築

2007-03-31 23:47:00 | まち歩き

ぷにょさんが「西住之江の洋風長屋めぐり」で書かれていた西住之江の洋風長屋群。先日私も○年ぶりに見に行きました。かなり建て替えられたり、塗り直されたりしていましたが、今でもあれだけまとまって残っているのは壮観です。

その記事をアップしようと思っていたのですが、昔、西住之江より更に西側でも似たような洋風長屋を見た記憶があったので、今日の午後ミニ探訪に出かけました。地名で言うと浜口西近辺で、今回は南海の住吉大社駅から歩きました。ちょっと記憶違いもあってウロウロしたのですが、御崎というところでは、濃い色と白っぽい色のスクラッチタイルを縞状に配したユニークな「自民党住之江支部」の建物を発見。古い建物だと思うのですが、うーん、どうなんでしょう。

P1140319_t_1 

その後、目指していた洋風長屋は浜口西2丁目の小さな流れ沿いにありました。西住之江のものとほぼ同じバルコニー付きのデザインで、辻栄の住宅でしょうね。玄関の回りに石の枠が使われていたりがちょっと珍しいかもです。

P1140322_t P1140391_t P1140392_t P1140342_t

その後、3丁目の方に移動したのですが、途中でヴォーリズチックの特徴的な煙突を持つ大きなお宅(I原邸)に目が留まる。樹木が茂って全景が分かりにくいのですが、丸窓や台座(?)のついたアーチ窓ももあるし、スパニッシュ風かなあ。北面の勝手口もいい感じです。

P1140368_t P1140345_t P1140364_t

3丁目の住之江通りに面したところにはM原邸があります。ここも久々のご対面。特に左手の赤い屋根の建物がビューティフルでした。

P1140369_t P1140385_t

このあたり、何が出てくるか分からない雰囲気があるので、もうちょっと探訪したかったのですが、歯医者の予約があったので断念しました。今度行くときは機動力重視で自転車を使おうかな?自宅からはちょっと遠いけど。


誰か(宮部みゆき)

2007-03-30 23:59:00 | インポート

Dareka1 誰か(光文社・カッパノベルス)
★★★★:80点

面白かったですが、90点といったような感銘度というかインパクトはなかったです。ただ、作者自身も元々そういったところを狙ったりはしていないし、ささやかな生活の中のささやかな秘密、ささやかな事件の描き方は印象的で、静かな余韻が残りました。
インパクトに欠ける分、印象に残りにくい作品であるとは思いますが、全編を通じて心の動き、揺れ、迷いなどが実によく描かれていたと思います。これは宮部さんの手腕の確かさですね。

  妻が席を動いたのは、隣に座ってほしいという意味なのだ。
  だから私はそうした。
  妻はにっこりして、リモコンをフロアテーブルの上に置いた。
  「実はね、あなたにちょっと相談したいことがあるの」
  私はとっさに、離婚を切り出されるのだと思った。
  信じられないような幸運のなかにあって、それがいつ自分から取り上げ
  られてしまうかとビクビクせずにいられるには、どのくらいの度量が必要
  なのだろう。

ここのザワザワ、ゾクゾクッとする感じが見事。
自分には不釣り合いと思える幸せの中にいるそこはかとない不安感、いつも何となく感じている違和感や疎外感。もちろん、妻が主人公を愛しているのは間違いないのですが、これらの感覚・気持ちが無くなることはない。
さすがは宮部みゆきさんです。

聡美と梨子の姉妹。
二人は亡くなった父についての本作りでもしばしば対立する。性格が異なるゆえのちょっとした喧嘩・対立のように見えていたが・・・。

「わたしにもわたしの意地があります」
姉妹はたった二人の家族なのに、そのねじれた関係は哀しい。

~ノベルスカバーより作者の言葉~

  人生に不足がない、あるいは、幸せな人生をおくっている探偵役というのは、
  ミステリーの世界ではなかなか珍しいような気がする----と、常々考えていました。
  平凡でこれと言う取り得もなく、でも日常生活は安定していて、ほのぼのと幸せ。
  この作品はそういう人物が主人公です。その結果、彼が追いかける事件は、
  とてもささやかなものになりました。そのささやかさのなかに、読者の皆様の心に
  残るものがあればいいなと願っています。

ささやかな秘密とは・・・それは結構ディープなものでした。
さすがにここまでは想像できませんでしたが、とある2人の関係は薄々感じていました。このあたりの微妙な描き方も宮部さんならではでしたね。

********************************* Amazonnより *********************************

著者からの内容紹介
財閥会長の運転手・梶田が事故死した。遺された娘の相談役に指名され、彼の過去を探ることになった会長の婿・三郎は、梶田の人生をたどり直し、真相を探るが……!? 著者会心の現代ミステリー。

内容(「BOOK」データベースより)

事故死した運転手には、二人の愛する娘と、ささやかな秘密があった。今多コンツェルンの広報室に勤める杉村三郎は、義父でありコンツェルンの会長でもある今多義親からある依頼を受けた。それは、会長の専属運転手だった梶田信夫の娘たちが、父についての本を書きたいらしいから、相談にのってほしいというものだった。梶田は、石川町のマンション前で自転車に撥ねられ、頭を強く打って亡くなった。犯人はまだ捕まっていない。依頼を受けて、梶田の過去を辿りはじめた杉村が知った事実とは…。


読書の腕前(岡崎武志)

2007-03-29 23:20:00 | 本と雑誌

Dokusyoudemae1 読書の腕前(光文社新書)
★★★★☆:90(~85)点

同年代の著者のことを全く知らず、書名から、よくある読書関連本・読書啓蒙本の1つだろうなとあまり期待せずに読み始めてビックリ!素晴らしい本ですよ、これは。

特に第一章「本は積んで、破って、歩きながら読むもの」が秀逸。他の人の言葉や他の本からの引用が多いのですが、読書の本質、それが持つ底力のようなものがいっぱい綴られており、本を読むことに誇りを持つ勇気すら与えてくれます。

【以下、引用部が多く、かなり内容に触れています】

  北上次郎  「本というのは即効性がない。”非常に効き目が遅い”メディア」
          「本というものはもともと不便なもの。”読む”という意志も必要」
  佐野眞一  「僕は本というものは、時間の流れを一瞬で止めてみせることが
           できるメディアだと思うんです」
  色川武大  「書物を読むことで得る大切な収穫のひとつは、他者を知ること
           だと思います」
  遠藤周作  「読書の楽しみのひとつは、私にとってこの他人の人生を生きる
           こと、他人になれる悦びかもしれない」
  谷川俊太郎 「楽しむことのできぬ精神はひよわだ。楽しむことを許さない文化は
           未熟だ。詩や文学を楽しめぬところに、今の私たちの現実生活の
           楽しみ方の底の浅さも表れていると思う」
          「楽しみはもっと孤独なものであろう」
  中島らも  「”教養”とはつまるところ”自分ひとりでも時間をつぶせる”という
          ことだ。それは一朝一夕にできることではない。働き蜂たちの
          最後の闘いは、膨大な時間との孤独な闘いである」

孤独なんかこわくない。「読書の楽しみ」を知っている者なら、いつだって胸を張って言えるはずだ。

本を読む時間がない、と言う人は多いが、ウソだね。その気になれば、ちょっとした時間のすき間を利用して、いくらでも読めるものなのである。・・・要は、ほんとうに本が読みたいかどうか、なのだ。

まともに本とつきあって、コクのある読書生活を送ろうと思ったら、「ツン読」は避けられない。と、いうより、それしかありえないのだ。読んでいないのなら、それは「死蔵」である。持っていないのと同じ、と思う人もいるかもしれない。ところが、現物があるとないとでは、月と地球ほどの距離の開きがあるのだ。
買っておくと、不思議なもので、やがて読むようになるものである。気にかかる本が新しく身辺に置かれるのは、環境に新しい要素が現れることである。私たちの心に新しい刺激が加えられるということである。

井上ひさし「買ってすぐに読まないでも、机の横に置いておけばいいんです。不思議なことに、ツンドクをしておくと、自然にわかってくるんです。「これ読まなくていいや」とか、「これは急いで読まなきゃいけないな」とか・・・。

**************************************************************************

いやはや、素晴らしい&凄いのひとことです。
本を読みたい人は、忙しくても読みます。というか、忙しいときほど細切れの少ない時間を利用してむさぼるように本を読みますね。私もそうです。地下鉄・御堂筋線の電車待ちの時間なんて1、2分なのですが、その時でも文庫や新書を開いてしまいます。

スポーツも勉強も苦手で気が弱く、なにごとにも自信のなかった著者。しかし、小学校と中学校で先生の言葉に大いに勇気づけられ、「文章を読む」ことに関しては人より長けていることを意識するようになり、更には書くことを職業に選ぶようになったそうです。

  中村先生:「このクラスに作文の天才がいます」
  山田先生:「この子が岡崎くん。この子がこの作文を書いたの」
         「あんた、絶対に文章の書ける人やから、絶対新聞部に入り」
  上野先生:「岡崎くん、あんたが班ノートに書いたあの詩(萩原朔太郎)、
          タイトルは何やったけかな?」(先生から自宅にかかってきた電話)

みんな、ええ先生やなあ。子供のことをよく見つめ、長所を伸ばしてやるのが教師の最大の務めだと思います。

それにしても、世間一般で読書人・知識人・教養人と言われる人たちの読書のレベル・量・ジャンルの広さはとてつもなく、小説や建築関連本、趣味・実用書主体の私など足下にも及びませんね。
が、本好きなことは自信ありです。そして、読書が好きなことはもっと自信を持っていいですね。

第七章「蔵書の中から”蔵出し”おすすめ本」も絶品です。

 ※ところが何と、目次では第七章が第六章と誤って大きく印字されています。
   こんなミスはちょっと珍しいですね。

ここで紹介されていた「旅の終わりは個室寝台車」(宮脇俊三)を図書館で早速借りて読んでいますが、とてつもなく面白いです。

さあ、「書を捨てよ、町へ出よう」 じゃなくて、「書を持って、町へ出よう!」


近代化遺産探訪―知られざる明治・大正・昭和(清水慶一)

2007-03-27 23:13:01 | 本と雑誌

Kindaikaisan1 近代化遺産探訪―知られざる明治・大正・昭和(エクスナレッジ)
★★★★☆:90点

文・清水慶一、写真・清水襄

古い建築・集落・遺構を探して北へ、南へ。
机上の研究だけでは分からない地元の声を聞きながら、建物をめぐる社会背景から地域性、時代性まで独自の視点で探る新しい”多角的近代建築入門”(帯から)

雑誌『建築知識』連載の単行本化だそうです。
近代化遺産となっていますが、産業遺産や土木遺産は比較的少な目で建築の比重が多いように思います。また、カラー写真満載なのですが、文章も多めで結構ズッシリです。私はまだ写真をざっと見ただけですが(これはいつものこと)、近代建築関係の本などであまり採り上げられない建物も多いですね。写真のアングルもなかなか新鮮に感じました。

そうそう、大阪関係では綿業会館や大阪倶楽部、旧阪急梅田駅コンコース、浜寺公園駅舎も出てきます。

2800円は多少高めの値段設定ですが、その価値はあると思います。

■文化・娯楽関連
 近代洋式温泉考
 もう一つの殖産興業 ド・ロ神父と鉄川与助の建築
 幻のリブート・ホテル時代
 繚乱たる産業の館 綿業会館と大阪倶楽部
 アール・デコの温泉 下呂温泉湯之島館を訪ねる

■産業・交通関連
 木曾川電源開発事情(前編) 桃介と貞奴の夢
 木曾川電源開発事情(後編) 桃介と貞奴の夢
 産業施設としての駅舎
 「飛騨の匠の文明開化」 八代阪下甚書の建築
 海と鉄の建物 北九州市の近代建築
 海を臨む洋館 秋田商会と四階楼
 山と海の洋館 尾鷲山林王の邸宅
 閉ぎきれた山の向こうに 空知の産炭地を巡る
 シルクカントリーを巡る

■教育・厚生関連
 山形県洋館めぐり 東北に咲いた近代建築の華
 測候所に咲いた建築家の夢 鹿児島と松山の気象台をめぐつて
 象徴としてのキャンパスと校舎(前編) 古都に咲いたミッションの華
 象徴としてのキャンパスと校舎(後編) 古き良き時代の学校建築

■町並み・民家・集落関連
 「唐桑御殿」探訪記
 「京は遠ても十八里」 鯖街道とその建築
 北前船と西洋館 北前船の集落・湖北の港
 銀山の再生 石見銀山・大森の新しい動き
 対馬国建築紀行
 忘れられた西洋舘 四阪島住友別邸と別子銅山の遺構
 二つの諸戸邸 桑名の山林王を訪ねる
 北上川スレート紀行 登米・雄勝を訪ねる
 軽井沢のリゾート建築 宍戸實先生のことなど
 参考文苧建牡データ


出口のない海(DVD)

2007-03-26 23:55:00 | 17:や行の作家

Deguchi2_3 出口のない海(DVD)
★★★☆:70点

横山秀夫の力作の映画化です。原作(感想はこちら。※かなりネタバレあり)と比べると、非常に印象的な幾つかのエピソードがカットされたりで、山田洋次が脚本に加わったにしてはこなれていないというか、時間配分などにもやや疑問が残り、感動度はかなり減退気味でした。映画なのだから「回天」そのものの映像ももう少し増やしてほしかった気がしました。戦争の狂気(誰もが正常な人格でなくなってしまう・・・)の描き方も不足気味でしたが、これは映画では暗さをあえて抑えたのかもしれません。日本映画で戦争を題材にすると、ともすれば暗くなりがちなので、光基地のシーンの明るさも”あり”かなとは思います。

主演の市川海老蔵は表情豊かで、主人公・並木の明るさ、爽やかさ、人の良さ、真面目さがよく出ていてなかなかの適役でした。整備兵の伊藤を相手に魔球を投げたときの笑顔と叫びが非常に素晴らしかったです。

原作をお読みでない方はぜひご一読を!

********************* Amazonより *********************

 市川海老蔵が映画初出演にして主役を務め、歌舞伎界のスターがスクリーンでも映えることを証明した1作。第二次大戦が集結しようとしていた1945年、日本軍が最後の秘密兵器として開発した「回天」に乗り、敵艦に突っ込んでいった若き兵士たちの物語だ。直径1mの回天は1名が乗り込むスペースしかなく、映像からは内部の息苦しさや孤独感が伝わってくる。死を覚悟した兵士たちの悲壮感がその閉塞した空間と重なり、ここでも海老蔵の鋭い眼力が効果を上げることになる。
   原作の横山秀夫と監督の佐々部清は『半落ち』のコンビだが、脚本に山田洋次が加わったせいか、キャラクターに親しみを感じさせる展開になった。この手の映画では、時としてしつこく描かれる家族や恋人との別れが、意外にサラリとしており、かえって感動的。そして主人公が甲子園の優勝投手だったという設定がスパイスとなっている。ボールやグローブが物語を彩る小道具として使われるほか、キャッチボールのシーンがじつに爽やかで、その分、戦争の虚しさが伝わってくるのだ。結末の受け入れ方も、観る人それぞれによって変わってくる作品である。(斉藤博昭)

メーカー/レーベルより
海軍が最後に賭けた、究極の極秘作戦―
二度と帰れぬ作戦に、身を投じた若者がいた
市川海老蔵が映画初主演、『半落ち』の原作・監督が再び贈る感動大作がDVDで登場!

■『半落ち』の原作・監督が贈る感動大作『出口のない海』。生きる意味を問いかけた感動大作!
『半落ち』の原作・横山秀夫、監督・佐々部清のコンビが再びタッグを組んで贈る感動大作『出口のない海』。脚本には、『たそがれ清兵衛』『武士の一文』も話題の巨匠・山田洋次と、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『うなぎ』を手掛けた冨川元文を迎え、戦争時代に身を置いた若者の姿を見事描き出した。
■若手俳優、ベテラン俳優による豪華キャスト陣も話題に!
主演は映画初出演となる市川海老蔵。数々の話題作に出演の伊勢谷友介、「のだめカンタービレ」が好評の上野樹里、『パッチギ!』の塩谷瞬など、期待の若手俳優らが共演。若き才能と熟練の演技で、心に残る名場面の数々を生み出した。

[内容解説]
甲子園の優勝投手・並木浩二は、大学進学後に肩を痛めて自慢の速球が投げられなくなり、エースの座を失う。それでも野球への情熱を燃やし続ける並木だったが、世界は戦いの時代を迎えようとしていた。ついに日米開戦、太平洋戦争は日ごとに激しさを増していく中、愛する家族や友、そして恋人とも別れて海軍に志願する並木。そこには彼と同じく、大切な人たちを守るために戦うことを決意した若者たちがいた。日本の敗戦が日に日に濃厚になっていくなか、海軍は最後の秘密兵器"回天"を開発。やがて脱出装置のない定員1名の回天に乗って敵艦に激突するという究極の任務についた若者たちは、自らの進む道をを迷い、怒り、悲しみながらも、明日への希望、愛する者への思いを胸に秘め、そして遂に出撃の時が訪れる・・・。