4月24日(日)、ザ・シンフォニーホールで開催された、京都市交響楽団の大阪特別公演に行ってきました。
~ピアノの魔術師リスト&交響曲の革命児マーラー! メモリアルイヤーに下野竜也が挑む!~
下野竜也 (指揮)
金子三勇士(ピアノ)
リスト :ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
コンサートは朝比奈さん時代から地元の大フィルに行くことが多く(最近ではコバケンさん)、京都市交響楽団のコンサートはまだ3回目くらいでしょうか。下野さんの指揮は初めてです。
プロの演奏について善し悪しは殆ど分からず、基本的にどんなコンサートでも素晴らしいと感じる私(汗)。もちろんテンポが良かったとか自分の好きな箇所が自分の好み通りに演奏されてにんまり等といった感想はありますが、この日のコンサートはこれまでに聴いた中でもベスト級に入る感動度でした。特にマーラーでの、ひそやかなひそやかな&しっとりとした最弱音とホール全体を音の渦に包み込んだド迫力の最強音の対比、指揮者とオケが一体となっての熱演、そして聴衆の熱狂ぶりが素晴らしかったです。
まずは1曲目のリストのピアノ協奏曲。ソリスト・金子三勇士さん(1989年生まれ。若い!)の演奏スタイルが予想以上に激しく、超絶技巧のめまぐるしい手の動き・身体の揺れが印象的でした。また、オケの編成も予想していたよりも大きくて、若きソリストとオケがガップリ四つに組んだ迫力あるコンチェルトだったと思います。座席は2Fの2列目ほぼ中央(BB-28)で、ピアニストの手の動きが見えるか少し懸念していたのですが、問題なし。
いつものごとくCDによる事前の予習は少なめでしたが、この協奏曲は全曲を通しても後半のマ-ラーの各楽章と変わらない短さなので、集中して聴くことができました。ピアノによる激しく情熱的な部分はもちろん、ピアノと木管や弦の静かな音のやりとりも素晴らしかったです。特に、ピアノ+クラリネット(ソロ)→ピアノ+第一ヴァイオリン(第一プルト)の部分やピアノ+フルート(ソロ)→ピアノ+クラリネット→ピアノ+オーボエ→ピアノ+チェロ など。
アンコールはリストの「愛の夢 第3番」で、極上の調べを聴かせて頂きました。
さて、後半のマーラーです。実は私、コンサートでマーラーはこの5番しか聴いたことがありません(汗)。しかも、過去に一度だけでしょうか。
第1楽章冒頭のトランペット・ソロの音色が実に素晴らしく、ああ良いなあと感じて、その後は下野さんと京響がつむぎ出す豊饒のサウンドにひたりきりました。
下野氏の指揮ぶりは凄かったです。腕の振りは大きくしなやかで、しかも力強い。小柄でちょっと太め(失礼)ですが、身体全体を使ったキビキビとしたエネルギッシュな指揮ぶりでした。約90名の大きな編成のオケ相手に、見事にコントロールしたというか、緩急・強弱自在で見事にオケをドライブしてもの凄い演奏を引き出したのでは?強奏の直前のほんの一瞬の静寂や”ため”にはゾクゾクしました。大フィルとも縁の深い下野氏、これからも楽しみです。
大感動のマーラーでしたが、約70分の大曲なので、細かい部分まではよく覚えていません。
感銘度は第1楽章>第2楽章、第4楽章>第3楽章、第5楽章(第4楽章から休みなしで突入。コーダは迫力あり)といった感じだったでしょうか。第3楽章のスケルツォはコミカルで(クラリネット3人など)ちょっとホッとする感じも良かったのですが、この感銘度の差は事前の予習時間の差にもよるかと思います。長大なこのシンフォニーを夜寝るときなどに細切れに聴いたのですが、第3楽章と第5楽章は他の楽章に比べて聴いた回数・時間が少なく、まだメロディそのものがきちんと頭に入っていませんでした。この点が惜しまれます。
演奏後は大興奮のもの凄い拍手の中、下野さんはまずトランペットのトップの方を、次にホルンのトップの方を指名して讃えられました。トランペットのトップの方は文句なしのMVPでしょうね。終始安定した美しい音色、豊かな音量が素晴らしかったです。冒頭のトランペットソロと直後の総奏の響きがこの日の演奏を生み出した1つのポイントかなとも思いました。隣の席のトロンボーントップの方が肩を叩いて熱演を讃えておられたのも印象的でした。また、その次に指名されたティンパニーも迫力と音のキレ(?)が凄かったです(会場からも大拍手)。ソロの方にも聴衆からブラボーの声がかかり、京響ファンの方がたくさんおられたのでしょうね。また、オケメンバーが拍手と足踏みで下野氏をたたえていたのも素晴らしかったです。
弦と木管も終始美しい音色だったと思いますが、個人的にとても印象に残ったのは、トランペット(ソロ)、ティンパニー、コントラバス(重低音がピチカートも含めて実に良かったです)です。
上の方でも書きましたが、ひそやかなひそやかな最弱音からホール全体を音の渦に包み込む最強音まで、リアルなコンサートはやはりCDなどと比べて音のダイナミックレンジが遙かに大きく、また視覚によるものとも相まって音の分離感・明瞭感などの素晴らしさにも感動しました。こんな経験が続くと、もっともっとコンサートに行かねば!と思います。きちんとしたオーディオルームでグレードの高いシステムで聴けば、かなりの臨場感は得られるのでしょうけれど。また、ひそやかな個所でのホール全体の緊張感をはらんだ静寂さも素晴らしかったです。その意味では聴衆も最高だったのでは?
最後列中央にコントラバス(8人)が横に並び、その前には金管群(左からホルン(7)、トランペット(4)、トロンボーン(3)、チューバ(1))が横一列でズラッと並ぶオケの配置も壮観で興味深かったです。これについてはもう少し加筆するかもしれません。
◎参考ブログ:
雅哉さんの”エンターテイメント日記”
散歩道さんの”ブログ散歩道”