最終日に訪れた「純喫茶プティ」の続きです。
私が訪れたのは11時半頃だったと思います。先におられたお客さんが勘定のときに最後の日と知って、「えっ?今日で閉店なん?」「そうやがな。お前知らんかったんかいな」。そしてお店の方の「これまでご贔屓にして頂いてありがとうございました」といった会話が聞こえてきました。ああ、やっぱり今日で閉店なんだなあ。。。
しばし、お客さんが途切れた時間帯があって、お店の方に話を伺ったり店内をあちこち移動しながら写真を撮らせて頂きました。私の愛機、と言っても(デジタル)一眼レフではなく、割と広角にも強いコンパクトデジカメですが、1・2階吹き抜けの広い空間はなかなか思ったように入りきらず、もどかしい思いもしました。
そして、お店の方のご好意で2階も見せて頂くことができました。「散らかっているんで」とのことでしたが、照明も点けて下さり、赤い絨毯を踏みしめて上がると、そこはまた1階とは違った雰囲気の空間でした。
アールのついた壁面にちょっと珍しいデザイン、雰囲気の照明がいい感じで灯っています。奥にある壁面装飾(木製)のデザインは2頭のライオンでしょうか。羽根があるようにも見えるので、想像上の動物なのかもしれません。
下で伺った通り2階からの眺めも素晴らしかったです。特に見下ろした眺め・情景に、しばしの間、ぼーっとしてしまいました。吹き抜け空間の広がり感は外で想像するよりも圧倒的に大きいのですね。これも建築の妙でしょうか。
2Fの絨毯に描かれた丸い模様も味わいがありました。
壁面の絨毯タペストリーの存在感は圧倒的ですね。入り口から見た店内の様子も額に入った一幅の絵のようだなと思いました。タペストリーの反対側の壁には大きな鏡が取り付けられているので、店全体が絵に囲まれたような感じになっているのかもしれません。あるいは、劇場の舞台でしょうか。これほど多彩な要素がドラマチックに、しかも美しく見事に配された店はそうそうないと思いました。
大阪だけでなくレトロな味わいのある純喫茶がどんどん減っています。
私がまち歩きや建築探訪をしていてお茶しようかなと考えるとき、まずは純喫茶やレトロな雰囲気の喫茶店などを探します。もちろん、あらかじめ調べておいてこの店に入ろうと決めていることもありますが、ふと風情のありそうな店が目にとまり、実際に入ってみてその内部空間の素晴らしさに驚いたりすることもあります。後者の方が感動度は大きいかもしれませんね。
ただ、純喫茶・レトロ喫茶といっても、単に建物や内装、家具などをレトロにするだけではダメで、そこに年月という要素が加わらないと実際の味わいは生まれません。長い年月を経た傷みなども逆に味わいになったりします。純喫茶プティでも、床の絨毯の一部がすり減ったりすり切れていたり、椅子が少しギシギシ鳴っていたりしましたが、私は長い間使われてきたことの証やなあと感じておりました。
今回、私にとってはまさに一期一会になってしまいました。このような風情のあるお店がなくなってしまうのは残念ですが、最後の日にお話しを伺い、点内を拝見させて頂くと共にこの素晴らしい空間や空気を味わえて良かったです。
丁度お昼どきとなって常連さんやら知り合いの方が次々と来られました。
最後は昔話に花を咲かせながらお店を閉じられたのでしょうね。
長い間お疲れさまでした。
そうそう、記念に持って帰ってくださいとのことで、お店のマッチも頂きました。