先日、滋賀県大津市にある重要文化財・住友活機園の特別公開に行ってきました。住友活機園についてはこちらのサイトをご覧ください。
http://www.sumitomokakkien.com/
そちらの案内文から少し抜粋転記すると、活機園は住友2代総理事伊庭貞剛翁(幽翁)の別墅(べっしょ)として明治37年(1904年)に建築されたものです。
建物は和館と洋館からなり、平成14年(2002年)に「明治後期の大邸宅の姿を完全に伝える稀有な例」として重要文化財に指定されました。指定範囲は建物および庭園です。設計は、洋館が住友の建築技師・野口孫市(大阪府立図書館ほか)、和館が近代数寄屋の第一人者・八木甚兵衛です。
まずは坂の上にある門に至るまでの石の階段が素晴らしいです。
この日は見学にはあいにくの雨でしたが、石の迫力と新緑の美しさを感じることができました。
![P1510412_t P1510412_t](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/59/a8963e4b111a9a072832fe8d4ab360b6.jpg)
そして、門をくぐってからも道をふさぐように広がっている紅葉の枝ぶりにビックリ!新緑も美しいですが、秋の紅葉シーズンにはさぞかし見事な景色でしょうね。
![P1510426_t P1510426_t](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/07/e541c52a58cbc0cdccdc0156c933b2ac.jpg)
敷地が元の5分の1(11,000坪→2,200坪)になってしまったとはいえ、凄いアプローチ兼お庭です。ここだけでも見る価値あり。
斜面に生えている苔の美しさも特筆ものです。洋館の屋根などが木陰からチラチラ見えるものの、なかなか全景は姿を現しません。しかし、それもまた風情あり。
やがて玄関が見えてきて、遂に芝生の奥に洋館が姿を現しました。
大屋根やスレートのうろこ壁を模したような木の外壁が味わいあり。洋館だけでもかなりの規模ですが、敷地の広さもあってか威圧感などはなく、景色にとけ込んでいます。晴れた日に芝生の奥に青空をバックにして建つ姿はさぞかし素晴らしいことと思います。新緑は美しかったのですが、やはり雨がうらめしい。。。
![P1510497_t P1510497_t](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/14/dc92e7edbaa0e194624ec2fbdd2ef2df.jpg)
2階のテラスなど内部も素晴らしそうです。
内部の見学は、玄関からまずは右手の洋館部分へ。但し、内部の写真撮影は不可でしたので、ホームページの写真などを見ながら想像をたくましくしてお読みください(笑)。
一番最初に目をひかれたのは白木の階段でした。洋館では玄関ホールから階段まわりが見どころの1つであることが多いのですが、大きな邸宅で白木のままの階段は初めて見ました。良い木を使ってきっちりと丁寧に作られていることが分かります。また、よく見るとかなり細かい装飾も施されていて見事です。施主のただ一つの要望だったという「清楚に」をこの階段だけでも実現しています。
食堂(来賓室)の暖炉上部には花模様でしょうか、漆喰の見事な装飾があり、アール・ヌーヴォーという点ではこれが一番それらしく感じました。ここには内線電話のBOXが残っていたり、ドアを開けずに(来客との談笑の邪魔をしないように)食事が運べるように別途に小窓があったりも面白かったです。天井高は3500mmで、すごいゆとりを感じます。
二階の客間は吹き寄せ格天井(組木(格縁(ごうぶち)を二重にしたもの)が立派です。ただし、洋室であり、格間(ごうま 格縁の間)に余計な装飾などはありません。寄せ木細工の床も素晴らしいです。その他、見どころいっぱいで、とても書ききれません。写真があれば素晴らしさを伝えやすいのですが。
各室にある暖炉もデザインがそれぞれ異なって味わいありですが、使われているタイルなどはいずれも淡い色合いで、これも「清楚に」との要望にマッチしています。絢爛豪華な洋館も大好きですが、それとは対極的に「清楚」な贅沢を感じさせる住友活機園は凄いです。
続いて和館へ。
![P1510492_t P1510492_t](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/2c/482957c9208051ad6e892c3c8e118626.jpg)
こちらも素晴らしい木がふんだんに使われていますが、派手派手しさは一切無く、「清楚」な美しさを感じます。
開け放った座敷から見えるお庭(紅葉主体)はまるで一幅の絵画でした。四季折々の景色の素晴らしさを想像すると、ため息のみです。ここで1時間くらいボーッとしたいものですね。
*写真は内部から外を撮るのであればOKとのことで、何枚か撮らせて頂きました。
![P1510490_t P1510490_t](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/62/8e51fb9de3acc1600648e640d06b0c41.jpg)
新座敷の奥にあった和室の暖炉は、御影石から削り出したそれはそれは珍しく貴重なものでした。新居浜にある初代住友総理事であった広瀬宰平の邸宅にも似たような暖炉があると伺い、ネットで調べてみたら確かにその通りでした。ただ、活機園の方がグレードが高そうです。
http://www2.dokidoki.ne.jp/tomura/hirose2.htm
![P1510513_t P1510513_t](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/77/88e28aca83bfdeb8819c02e97a31015f.jpg)
和館はもちろんですが、洋館も含めて木部は全て白木でした。見学の最後の方で白木のことについてお聞きしたら、狂いもなく、ノーメンテに近くて殆ど手がかからないとのことでした。きちんと設計し、良い材料を使い、腕の確かな人が施工したら、塗装などは不要とのことですね。
さすがは住友活機園。
約2時間の見学でしたが、清楚な美しさ・素晴らしさを堪能した一日でした。