ひろの東本西走!?

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博士の愛した数式(映画)

2006-02-21 22:57:00 | 映画

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★★★★☆’:85点

一般の映画ファンの間ではあまり評価は高くないようですが(CinemaScape:5点満点で平均3.3など)、私は高得点をつけました。小川洋子さんの原作あってこその映画なのですが、原作を読んだ後よりも映画を観た後の方が印象的でした。これは映像と文章の違いによるところが大かもしれませんが。原作を読んだときは、数学・数式の美しさ、素晴らしさ、奥深さが(元)理科系の人間には若干物足りない気がしたのですが、映像で見ると、これくらいでちょうど良かったかなという気がしました。数式が主役なのではなく、これらをキーとした人と人の心のふれあいや愛情が主題であると思われるので。

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<あらすじ> ~CinemaScape -映画批評空間- より~

「君の靴のサイズはいくつだね」博士(寺尾聰)は家政婦に問う。「24です」家政婦(深津絵里)は笑って答える。「ほう、実に潔い数字だ。4の階乗だ」…博士と新しい家政婦の挨拶は、毎日こうだった。数学博士は10年前の事故でそれ以前の記憶はともかく、新しい事柄を80分しか記憶にとどめておけなくなったのだ。彼の隣の本宅に暮らす彼の義姉(浅丘ルリ子)はそんな彼を恥じるように、また哀れむように博士と隣り合って10年を過ごしてきた。だが、彼女の不安を裏切るように家政婦は博士の生活にとけ込み、また自分の息子(齋藤隆成)を連れてきて友人そのものの交際をしてゆく。そして息子の野球好きを知ったタイガースファンの博士は…。

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映画では、吉岡秀隆演じるルート先生の授業風景や博士の家にある黒板での説明シーンが非常に効果的でした。数式の美しさなどが非常にわかり易くなっていて very good!特に授業のシーンは脚本の勝利かな。ルートの生徒達への説明の仕方、マグネットボードの使い方等がいかにも教師らしく上手い。特に、例えば「・・・・を無理数と言います。(少し間をおいて)、・・・・無理数」と、少しうなずいて確かめるように、自らも納得するように語るその間合いが絶妙。板書もなかなかきれいでした。

深津絵里は明るく元気、純粋かつ素直そうで家政婦役を生き生きと演じていました。良い女優さんです。寺尾聡、さすがにうまい。映画「半落ち」のときと同様、目の表情が素晴らしかったです。吉岡秀隆。「ALWAYS 三丁目の夕日」では、そのオーバーアクションの演技(演出が悪かったとも言えるかな)に注文をつけましたが、本作は素晴らしい。博士と数学・数式への愛情・畏敬の念といったものがよく表現されていました。ルートの子役を演じた齋藤隆成クン。いやー、「北の国から」の純クン(吉岡秀隆)の小さいときに顔立ちがソックリで驚きました。浅丘ルリ子はちょっと不満。岸恵子さんとかが良かったなあ。

美しい景色をバックに、あまり大きな物語の起伏もなく淡々とした描写が続く非常に静かな映画は、特に若い人には受け入れられにくいか。私もどちらかといえばテンポと活気のある映画が好みなのですが、原作の内容から考えて見事な映画化だと思います。ラストの余韻も味わいあり。

義姉がすむ母屋の撮影には、登録文化財「豊門会館」が使われたそうです。博士が住む離れはセットだったのですが、外観・内観ともに洋風建築ファン好みの佇まいでした。

”愛情”や”信頼”などの本質以外のことばかりを書いてしまいました。まあ、そちらがより印象に残ったのでやむなしですね。そのままにしておきます。

なお、原作を読んだときにも感じたのですが、博士の記憶が80分しかもたないという設定には疑問あり。翌朝には前日の記憶がなくなっているといった単純な設定で良かったのでは?

◎参考ブログ:

   そらさんの”日だまりで読書”(2007-5-23追加)
   juraさんの”jura'file+++movie”(2007-5-23追加)


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ひろ009さま (jura)
2007-05-24 00:27:21
ひろ009さま
ご無沙汰しております。
TB、そして、こちらへの紹介など、ありがとうございます。
ブレイブストーリーのエントリをした際に、もしや、ひろ009様は原作お読みになってらっしゃったのでは?と、こちらへお邪魔したものの・・・
博士~のエントリに気づけませんでした(汗)失礼致しました。
私は、数字がものすごく苦手で、ほんとに、大嫌いなんですけれども、この作品を観て、なんだか、好きになってしまいそうでした。
原作は読んでませんが、、、この映画は、とても好きな作品になりました。
ひろ009様が、おっしゃるように、私もルートの授業シーン。
とても、効果的だったと思います。数字キライな私でもあれをしてもらったら、きっと興味でたなぁ~と思いながら観ました。
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☆juraさんへ (ひろ009)
2007-05-24 21:09:13
☆juraさんへ

こんばんは。

「ブレイブストーリー」は読みたい本リストに入っており、家には文庫本も揃っているのですが、実際にはなかなか読み始められなくて・・・。

映画「博士~」は、原作ともまた違った良さがありました。映像の特色や利点をうまく生かしていたと思います。深津絵里・寺尾聡・吉岡秀隆のお三方は見事な演技でした。
ルートの授業シーンは本当に素晴らしかったですね。私は数字や数学は好きなのですが(一応、これでも理系・技術系なもんで)、数字や数学の美しさ・奥深さを伝えるような教え方は最高だと思います。
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ひろさん、こんばんはっ♪ (そら)
2007-05-29 22:11:13
ひろさん、こんばんはっ♪
今頃のコメントです(^^)

>博士の記憶が80分しかもたないという設定には疑問あり。
これ、ひろさんが考えている疑問とはちょっと違うかもしれないけど、私も疑問に思いました。
だってさ、「80分しかもたない」ってことは、どの記憶も80分もつってことなんだよね。
だけど、映画や原作を見てると、80分詰めのパックが1つずつ消える…みたいな印象があるんだわ。
1分前のことも同時に消える…みたいな。
本来連続している記憶の80分前のものが1分刻みに消えていく…って、それってとりあえず連続している行動のときには1分ずつ更新していけばいい話で、それほどポッカリ分からなくなるってこと、あるのか?とか、ヘンなこと、思っちゃった(^_^;)
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☆そらさんへ (ひろ009)
2007-05-30 21:39:02
☆そらさんへ

こんばんは。
先ほど博多方面出張から帰ってきたところです。

>本来連続している記憶の80分前のものが1分刻みに消えていく…って、
>それってとりあえず連続している行動のときには1分ずつ更新していけば
>いい話で、それほどポッカリ分からなくなるってこと、あるのか?

なーるほど。私が感じた疑問と少し違うけど、これも頷けますね。
小川洋子さんは何らかの意図があって80分に設定したのかな?
それであれば、また興味深いんですけど。

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