ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

容疑者Xの献身(東野圭吾)

2006-01-29 20:25:00 | 15:は行の作家

Yougisyax1容疑者Xの献身(文藝春秋)
★★★★☆’:85点

ご存じ、直木賞受賞作。東野さん、おめでとう!

ですが・・・、驚き、ぞくぞく感・ざわざわ感、重量感、感銘度といった点では、TVドラマが始まって話題となっている「白夜行」の方が上だったような気がします。それにしても、ほんと「白夜行」の原作は凄かった(直木賞の選評では、意外に評価が低めでしたが)。本作品は非常に読みやすかったのですが、その分ちょっと迫力不足や物足りなさも感じました。ただし、読みやすいことは長所とも言え、単に好みの問題でしょうね。

実は最後の30ページほどを飲み会帰りのほろ酔い状態で読んでしまい、これは痛恨のミス。余韻が多少損なわれてしまいました。東野さん、スミマセン。また、TVドラマで白夜行が始まり、原作のことを色々と思い出していたこともあって、評価としては少し損をしたかもしれません。

東野さんの作品は超メジャー級しか読んでいないのですが、順位をつけるとしたら、

  ①白夜行  ②容疑者Xの献身  ③秘密

といったところでしょうか。東野さんの熱心なファンは別としても、この3作をベストスリーにあげる一般読者は多いような気もします(順位はともかく)。各々が異なった味わいなのは見事のひとことに尽きます。

***************** Amazonより *****************

数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリ
天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか

************** ハードカバー帯より **************

運命の数式。命がけの純愛が生んだ世界。これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。いやそもそも、この世に存在することさえ知らなかった。男がどこまで深く女を愛せるのか。どれほど大きな犠牲を払えるのか・・・。

************** 【以下、ネタバレあり 注意】 **************

石神が放ったトリック(もうひとつの○○、盗まれた自転車が新品だった理由 etc.)には全然考えが及ばず、これは見事!警察が花岡母娘のアリバイを崩せないのは不思議な気がしていましたが、そういうことだったのか・・・。うまいよなあ。

石神は警察との知恵比べでは勝利をほぼ手中におさめていたものの、学生時代に実力を認め合った友人・湯川の鋭い洞察力にその鉄壁の論理を崩されていく。石神が自分に生きる希望を与えてくれた存在である花岡靖子へ抱いた純愛は、ちょっと単純かなというか、そんなタイミングがあり得るのかなとも思ったのですが、これは酷な感想でしょうか。靖子の娘・美里の方が母よりも石神の感情をよく理解していたようなのは好感が持てました。彼女がちょっと可哀想だったな。

私は本作品では、純愛の部分よりも石神と湯川のちょっと不思議な友情というか関係の方に大いに興味を持ちました。数学と物理学という専門分野の違いを超えてお互いの学問に対する実力を認め合った二人。そんな二人が結果的に対決せざるを得なくなった皮肉。驚きと苦悩。この事件がなければ、立場・環境は違っても永遠の友でいることができたかもしれないのに・・・。

石神が自首したとき、私は最初、次のような理由なのかなと考えていました。生活のためとはいえ、数学の素晴らしさ・大事さなどを全く理解していない高校生に教える虚しさ、絶望感。いっそ、働くことをやめて、刑務所の中で(一応、最低限の衣食住の環境が保障されている・・・)数学のことだけを考えて生きていくことを決断すると。でも、これでは全然別の物語になっちゃいますね。

留置場内でのシーンに少しこれらの描写がありましたが、(元)理数系の人間として個人的には数学の奥深さや美しさをもう少し深く書き込んでほしかったです。推理小説の本質には無関係なのでしょうが、それによってまた別の余韻が生まれたような気がします。私にとっては”傑作”一歩手前の作品でした。

参考ブログ:

”ざれこさん” 本を読む女。改訂版
”ゆきうさぎさん” ♪ウサギ・動物・花・写真・絵・本・・・・♪


不調気味だけど25km

2006-01-28 18:48:24 | ランニング

平日はとても走る時間がとれないので練習は土日のみ。それなのに、寒いのが大嫌いなこともあってなかなか走る気が起こらずです。左ヒザ回りも違和感や軽い痛み(?)があってスカッとせず(部分的にせよ切除したから当たり前ですね)、ふくらはぎは肉離れの兆候ありで調子も上がりません。

と言いながらも3月5日の篠山フルにエントリーしているので、そろそろ練習ペースをあげないといけません。今日は天気も良しで、自宅から淀屋橋~桜宮~毛馬~淀川河川敷~城北大橋往復の約25km走にトライ。とにかくバテないように気をつけながらスローペースで淡々と&トコトコと走りました。往路に比べて復路のタイムは4分ダウンでかなり疲れましたが、2時間23分で何とか帰還。結局ペースはキロ6分弱でした。走りには大いに不満ありですが、晴天の中を風を切って(なーんてことはないのですが・・・)走るのは気持ち良かったです。

明日は大阪国際女子マラソン。ゆっくり観戦(byTVの予定)してから15~20km走るつもりです。20km走れたら、1月はかろうじて6日間で100kmクリアです。フルを走ろうとしているランナーとは思えない練習量ですが、まあ良しとしようっと。目指せサブ・フォー!----5年前くらいまでは3時間20分切りを狙っていたのになあ・・・。


赤絵の桜 損料屋喜八郎始末控え(山本一力)

2006-01-22 21:45:00 | 17:や行の作家

Akaenosakura1 赤絵の桜 損料屋喜八郎始末控え(文藝春秋)
★★★★:80点

序盤、喜八郎と秀弥(四代目)がいる作品にしてはもうひとつという感じがして65点。伊勢屋(実は私の”お気に入り”サブキャラ)が存在感を示して75点。前作で喜八郎にこてんぱんにやられた笠倉屋が生きているあかしを見せて80点。

ラストは残りページが少なくなってきて、最近の一力作品では時々ある”時間切れ”or”パタパタとした事件解決”かと危惧したら、あらー、予想外のオチでした。良い意味でだまされたこと&喜八郎と秀弥がようやく良い感じになってきたことを祝して85点。しかし、喜八郎と秀弥、伊勢屋、笠倉屋、清次郎とおゆき、秋山といった素晴らしい素材(人材)揃いの割には彼らが十分に生かされたとはいえないこと、焼き物をめぐる謀りごとのスケールが大きそうに見えて今ひとつだったことでマイナス5点。で、結局80点に落ち着きました。

初登場のおまき坊はgood!

5編の中では「赤絵の桜」「逃げ水」「初雪だるま」が良かったですが、もうちょっと中身のどっしりとした骨太の物語を読みたかったところです。


連ドラ・短評

2006-01-22 12:25:13 | テレビ番組

本や映画の感想が何本かたまっていますが・・・juraさんのブログ:jura'file+++movie で書かれていた「連ドラ 覚書き<初回>」が面白かったので、少し寄り道です。ちらっと見ただけのものもあるので、多分に感覚的な評価ですが。

■「西遊記」 → △?

子供たちにはバカ受けでした。 ケラケラ笑って見ていたようです。

■「アンフェア」 → △?

最近絶好調の篠原涼子。ほんといい女優さんになりましたね。でも、私は、ちょっとコミカルな感じやシリアスさの中に”はかなさ”や”切なさ”のある感じの役どころが好きなので、多少違和感あり。

■「白夜行」 → ◎’

原作とは全く違った描き方で、原作を知っている人の間では大いに物議をかもしていますね。でも、別の物語と考えれば、なかなかよく出来ていると思います。子役の女の子は表情が素晴らしく、出色の出来。

■「神はサイコロを振らない」 → ○

新聞のTV欄を見るまで全然知りませんでした。似たようなシチュエーションは過去のドラマや映画でもあり、そう珍しいものではありませんが、タイムスリップものはそれだけで情感が出ますね。小林聡美の表情なども相まって、全体的に不思議なムードも漂っています。

■「小早川伸木の恋」 → ○

私は結構、面白がって見ました。医師役の唐沢寿明、「白い巨塔」の財前五郎とは全然違った雰囲気が妙にハマッていました。うまい!奥さん、ちょっと変わってるなー。原作を読んでいないのですが、あまり柴門ふみらしさは感じなかったです。


TVドラマ「白夜行」第2話

2006-01-21 12:45:00 | テレビ番組

Byakuyakoutv TVドラマ「白夜行」第2話を見ました。

原作で秘されていた内容の1つの解釈編を見ているといったところでしょうか。原作では全く語られることがなかった雪穂と亮司の内面が描かれていますが、確かに純愛ドラマになってしまっている・・・。直木賞候補になったときの選評では、「主人公二人が大人になっても精神的に成長していない」といった指摘があったのですが、ドラマでの描き方は全然違うみたいですね。うーーーむ。

参考ブログ:”アイリスさん”のブログ To be continued.

■アイリスさん<
>この小説の中では、主人公ふたりの内面はほとんど描かれていません。
>お互いにどんな気持ちを抱いていたのか、私たちは二人の行動で推し量る
>しかありません。二人が顔を合わせたり、話をしたり、連絡を取り合ったり
>する場面は無かったですよね。

これが原作の最大の特徴・魅力だったのですが、TVではさすがにそのような描き方は難しかったようです。でも、チャレンジしてほしかったなあ。。。

次から次へ起こる事件や不可解な出来事の真実は?このドラマでは、それを提示してくれるようですが、その意味では原作とは別の物語と言えるかもしれません。原作の深み・迫力・不気味さには到底かないませんが、解釈編と思えば結構よくできていると思いました。そう割り切って楽しもうっと。

前回、大阪弁に注文をつけた武田鉄矢ですが、7年ぶりに亮司の前に姿を現したシーンはその表情と存在感が素晴らしかったです。

それにしても、これは小さな子供達がまだ起きている家も多い9時から放送するドラマではないですね。初回なんか、事件が起こるシーンを子供に見せないようにと、チャンネルを変えたりボリュームを絞ったりしてきちんと見れなかったし・・・(レコーダーでは他の番組を録画中だったもので)。