読了してから3週間経ってしまったので、走り読みではありますが再読しました。最初読み終えたときは、ちょっと短かすぎる&静かすぎるのがあまり私好みではなく、70点くらいかなと思ったのですが、再読してようやくしみじみとした素晴らしさに気付き10点アップです。
斜に構えて世間に背を向けたような暮らしをし、生きているのか死んでいるのかもよく分からない老人。そんな老人が少年たちと出会うことによって、人生の最後に束の間きらめいた日々を過ごす。
ゴミ捨て、洗濯物干し、草抜き、ペンキ塗り、庭作り、花火、スイカ・・・。最初は不自然な形で始まった老人と少年達の奇妙な交流だが、次第に互いに心を開くようになり、笑いや心地良さも生まれてくる。子供なりに色んなことを考え、行動するが・・・。そして、3人の男の子達にとってそのような夏休みの日々は少年時代への訣別を告げるものであった。このあたりの微妙な空気・感覚の描き方が本作の最大の魅力でしょうか。
3人のおばあちゃんがこれまた素晴らしい。まもなく店を閉じるという種屋のおばあちゃん、老人の妻だった(と思われる)おばあちゃん、サッカーコーチのお母さん(子供たちを怪談で怖がらせる傑作な人物)。共に北海道の生まれだと分かった老人と種屋のおばあちゃんが夢中になって語り合うシーンは最高でした。「もしかしたら、歳をとるのは楽しいことなのかも知れない」ほんとにね。
戦争の話は短いのですが、悲惨さ・残酷さ・虚しさを伝えていて鮮烈な印象。殆ど食事をとらずワインばかり飲んでいる木山君のお母さんも不思議な存在感でした。夫婦の間に何か起こっていることを想像させるうまい描き方です。
映画は未見ですが、いかにも日本映画らしいんでしょうね。
********** Amazonより **********
ひとり暮らしの老人と子どもたちとの奇妙な交流を描いた中編小説。世界各国でも翻訳出版され、映画や舞台にもなった児童文学の名作である。アパートの大家のおばあさんと少女のふれあいをつづった『ポプラの秋』や、「てこじい」という異形の老人が印象的な『西日の町』など、死に直面した老人と子どもというモチーフは、著者が一貫して描きつづけているテーマである。子どもだけではなく、幅広い年齢層に支持されている本書は、その原点となる作品だ。
出版社/著者からの内容紹介
児童文学者協会新人賞 児童文芸新人賞 ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞他受賞多数 12歳の夏、ぼくたちは「死」について知りたいと思った。そして、もうすぐ死ぬんじゃないかと噂される、一人暮らしのおじいさんを見張り始めて…? 三人の少年と孤独な老人のかけがえのない夏を描き、世界十数ヵ国で出版され、映画化もされた話題作。
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◎参考ブログ:
SIXさんの”スパイってどう?”
大葉もみじさんの”もみじの本屋”
mino_rinさんの”泣いたり笑ったり”
漫画少女さんの☆漫画倶楽部☆
そらさんの”日だまりで読書”(2007.8.28追加)
こちらからもさせていただきました。
3人のおばあちゃんについて書かれていることを読んで、なるほどと思いました。
確かに存在感がありますよね。
一番印象的だったのが、山下が包丁を研ぐシーン。
おじいさんに褒められて、得意げな山下が浮かんでくるようでした。
静かないい作品ですよね♪
コメント&リンクありがとうございました。
山下が包丁を研ぐシーン良かったです。
魚屋の息子として父を誇りに思う気持ちもよく表れていました。
ほんと、静かでいい作品でした♪
ひろさんも再読組なのね。私も、感想書くまでに時間がかかって、ついつい再読してしまいました。(薄い本だから、再読しやすかった*^_^*)
なので、1度目よりも2度目のほうが点数が高くなってるって、うんうん、分かるな~なのでした。
サッカーコーチのばあちゃん、ホント傑作の人でしたね~。
奥さんらしきおばあさんも、あんなふうににこにこしながらぼけられたらいいなぁなんて思ったりして。
3人のおばあさん、私も印象的でした。
一度読んだだけなら素晴らしさに気づかず70点どまりに終わるところでしたが、再読して良かったー。
3人の婆さま。実に素晴らしいバイ・プレーヤーぶりでした。
にこにこしながらボケるって難しいんでしょうね。
昨日読み終わった小説でも素晴らしい婆さまが出てきて嬉しい限りでした。