偏った沖縄基地・経済論 5


宮田氏は、北部の人口が減少している経済的な原因を追求しないで、「北部の中核都市を創出し、人の移動と産業の配置を北部に向ける」施策をすれば北部の人口減少を解決できると考えている。北部の人口減少には原因があるのだ。原因を追究し解明もしないで強引に「北部の中核都市を創出」すれば中核都市そのものが破綻するだろう。経済は経済の法則があり、北部の経済をうまく発展させるには北部にあった経済政策を実施しなければならない。
社会主義国家ソ連が倒れたのは、ソ連に合わない経済政策をして経済が破綻したからだ。エジプトの市民革命によってムバラク独裁政権が崩壊した原因も、エジプトにあった経済を守らないで多くの貧困者を出していったからだ。

宮田氏の「北部の中核都市を創出し、人の移動と産業の配置を北部に向ける」やり方は独裁者のやり方だ。宮田氏はなにがなんでもアメリカ軍基地を沖縄から撤去しなければならないという脅迫観念に襲われている。だから嘘でもいいから、沖縄の全ての地域が基地のない状態になっても基地があった以上に豊かでなければならないという絶対条件を経済論に強引に導入しているのだ。ここまでくると経済論者ではなく政治屋のへ理屈だ。宮田氏はアメリカ軍事基地撤去思想に支配された政治屋経済学者だ。

那覇市には那覇空港があり、那覇港もある。沖縄に入る人も物も那覇に入り、沖縄から出る人も物も那覇から出て行く。それに県庁も那覇にある。沖縄の経済は那覇を中心に栄え、それが中南部へと広がっていくのは経済の法則である。北部を中南部のように栄えさせるには空港、港、県庁を北部に引っ越すことでしか実現できない。
宮田氏は「北部の中核都市を創出し」と述べているが中核都市は名護市であり、すでに存在している。しかし、人は自由であり「人の移動」を政治力で強引にすることは民主主義社会の沖縄ではできないから、宮田氏が考えるような「人の移動」はできない。
産業が成り立つのは需要があって成り立つのだ。需要がない北部に「産業を移動」しても製品が売れなくて倒産する。中南部に製品を売るなら工場は中南部に造るのが常識だ。もし、県外に製品を出荷するなら空港や港への交通が便利な中南部に工場を造る。経営に利便な条件を満たしていない北部に「産業の配置を北部に向ける」なんてことは横暴である。
うるま市でさえ特区を作って工場の誘致をしているのに空き地が多いのだ。北部に産業の配置をするという甘い考えでは北部経済発展の計画は確実に頓挫する。

宮田氏は北部の自治体が基地依存を高めていることを、「このように基地に依存して自治体の長が、アメとムチの急所を握られたまま『地元の意向』の代弁者として、返還や負担軽減、あるいは新たな基地建設拒否という基地政策の矢面に立たねばならない」から深刻であると述べている。
基地があるから戦争に巻き込まれるわけではない。たとえ基地があっても、基地とは関係のない経済を発展させることができるし、自治体は基地から得る金で新しい企業への援助もできる。
島田懇や北部振興事業の交付を効果的に利用して自立経済を発展させることができる。島田懇や北部振興事業はそういう目的で設置したのだ。自治体がそれをうまく活用することができるかできないかだ。

アメリカ軍基地=悪という思い込みが強い宮田氏は基地依存を極端に恐れているが、中南部の戦後経済は基地依存経済であったのであり、それから出発して現在に至っている。中南部は基地から出てきた金を資本にして新しい企業が生まれ、経済が発展してきた。基地経済が基地経済依存から脱出する基盤であったのだ。

宮田氏は「政治の役割は、なによりも沖縄から米軍基地撤去の形を示すことに尽きる」と締めくくっている。宮田氏の経済論は沖縄からの米軍基地撤去を目的にした経済論である。
「北部の中核都市を創出し、人の移動と産業の配置を北部に向ける」と宮田氏は提案しているが、宮田氏の提案は実現できる根拠が全然ない。実現できる根拠のない提案をしたのは、北部の米軍基地撤去は北部の経済にはマイナスであると宮田氏は認めているから、そのマイナスを補う目的の提案であり、北部のアメリカ軍基地の撤去を正当化するための方便なのだ。

北部の米軍基地撤去は北部の経済にはマイナスであると宮田氏は認めながら、アメリカ軍基地撤去を主張するということは、宮田氏は北部の経済が下がってもアメリカ軍基地を撤去するべきだと考えているということだ。宮田氏にとって第一は北部の米軍基地撤去であり、北部の人々の生活は二の次なのだ。

宮田氏は沖縄の経済を研究している経済論者ではなく、アメリカ軍基地撤去を主張する政治思想家だったのだ。だから、沖縄からアメリカ軍基地を撤去すれば沖縄の中南部の経済は数倍もよくなるというまやかしの経済論を展開したのである。
彼に沖縄の経済を語る資格はない。
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孤高を・・・アートはいく



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