Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

バウンスバック(7節磐田戦)

2023-04-02 00:06:53 | マッチレポート23'
バウンスバックとはゴルフでボギー以下をたたいてしまった直後のホールでバーティー以上のスコアで上がること。悪い結果が出てしまった時にそこからズルズル下がっていってしまうのか、逆にそれを発奮材料にはね返せるのかでは最終的なスコアに大きな違いが出てくる。メンタル面の要素がとても強いゴルフにおいてバウンスバックが出来ることは一流選手の証と言ってもいいと思う。サッカー界においてもヨーロッパのトップ選手がしばしばバウンスバックという言葉を使うのを見かける。大宮戦で0-3の完敗を喫した直後の試合で結果はともかくとして球際で負けない、走り負けないというところを見せることが大事だったわけで、選手たちは満点回答のバウンスバックを見せてくれた。


第4節清水戦
第5節千葉戦
第6節大宮戦
第7節磐田戦

10年前なら「おいおいふざけた日程だな、日程くんよ」と愚痴の一つでもこぼしたくなるような試合の並びだけどここを2勝1分1敗で切り抜けたのは10年後の現在においてもデカいよね。時の流れとともにリーグ戦も変わっていくよね。栄枯盛衰。


この試合の勝敗を決めたポイントは55分頃から伊佐のゴールまでの数分間の攻防にあったと思う。ビハインドとなったスコアを追いつくために後半からギアを上げてプレッシャーをかける位置もグッと上げた磐田。55分に西川から野嶽へパスが渡ったところで引っかけることに成功した磐田はここからさらにプレッシャーの強度を上げてくる。直後の57分に同じボランチの将輝に猛然と3人でプレッシャーに来るも明らかに前がかり過ぎたため将輝のワンタッチパスで完全にプレッシャーラインを突破した。いわゆるひっくり返すという現象。この流れのまま伊佐が決めきれればベストだったけど、この完璧なまでの突破で磐田の「プレッシャーに行くぞ!」という気持ちはくじかれたはず。おそらく体力的にも厳しかったであろう磐田にとってわずかでも「行ったらかわされる」の気持ちが芽生えた時点で一体感を出すことは難しかったと思う。ビッグチャンスを逃した後は主導権が映りがちだけど、そこからわずか1分足らずで決勝ゴールが生まれたところからそんな微妙なメンタルの揺れ動きが垣間見えたような気がした。大分サイドから見ればあの突破がリアクションによるものなのか、相手の強度が上がったことを敏感に察知しての狙った上での突破なのかによって大きく変わるとは思うけど、ああいうプレーが本来狙っているやりたいプレーなんだろうなと思う。


ただやはりラッキーだった感は否めない。水曜日にリーグ戦を戦って中2日でアウェイ九州の地まで乗り込んできた磐田の選手たちの体は確実に重かった。ルヴァンカップの罰ゲームなら我々も昨年やったと言いたいところだけど、週末にルヴァンカップをやって週中にルヴァン組だけ未消化のリーグ戦をやらされる日程は去年はなかった。週中に組まれるルヴァンは捨てればいいだけだけど、週中にルヴァン組だけリーグ戦を組まれると捨てられる試合がなくてただ不利なだけだ。恩恵を受けたチームのサポーターが言うのも何だかおかしいけど、これはさすがにかわいそう。かわいそうに追い打ちをかけるようで申し訳ないが、7月1日の磐田ホームで対戦する時も3日前(中2日)にルヴァン組の未消化リーグ戦が組まれている。これはちょっとさすがに不公平すぎないか、というよりうちが恵まれすぎてないか。そもそもJ2クラブをルヴァンに入れるなというところが一番の問題点だと思うけど、週末にルヴァンをやらせるなというのは清水と磐田の関係者は文句言っていいと思うよ。さすがにこれはかわいそう。


伊佐のゴールは嬉しいねぇ。もう大分でのキャリアが10年になる伊佐。たくさんのゴールを決めてきたけど、その中でもキャリアベストゴール級に素晴らしいゴールだった。こぼれたボールに触りにいきたくなるところでしっかりと相手に体を当ててバランスを崩させてからボールを確保。2タッチ持ち出してコースを作ってここしかないコースにズドン。FWである以上、ゴール数が少ないことに忸怩たる思いもあるだろうけど、この10年の間ずっと大分が伊佐を必要としてきたのはゴール数だけでは分からない貢献をみんな分かってるから。だから伊佐がゴールを決めると嬉しい。今日の実況と解説だった永田さんと前田さんはずっと大分の試合を追っているわけではないだろうけど、そんな伊佐の良いところをしっかりと分かってくれていて聞いてて気持ちが良かった。スタッツに現れない部分にこそサッカーの深さがあると思う。




3試合連続スタメン、そしてここまでリーグ戦全試合出場の後藤啓介。大変なチーム事情があっての起用とは思うけどここまで3ゴールは本当に立派。昨年夏のSBSカップで見て一番気になった選手。おそらくこの大会を見た人ならみんな彼が気になったと思う。試合を見ていた時は3年生だと思っていたけど、帰宅してクラ選のプログラムでプロフィールを確認したらまだ2年生で本当に驚いたのをよく覚えている。SBSカップはU-18日本代表と静岡県選抜が出場するんだけど、日本代表の誰よりも静岡県選抜の先輩たちよりも一番インパクトを残していたからさすがにこんなに早くにプロ初ゴールを決めるとは思っていなかったけど、この活躍は納得なんだよね。あまりクラブを背負いすぎないように成長してほしいと思う。ただ今日は仕方ない部分があるとは言え、ほとんどボールに関われなかったね。


5勝1分1敗で勝ち点16。昨シーズンを思えば大成功のシーズン序盤。次は初対戦のいわき。ここも気になる選手が多く対戦が楽しみだ。
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