アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

SUPER SIZE ME

2005-07-20 09:23:02 | 映画
『SUPER SIZE ME』 Morgan Spurlock監督   ☆☆☆

 ケーブルテレビで鑑賞。どんな映画か知らないままぼんやりと見始めたが、始まってから噂を聞いたことを思い出した。要するに、マイケル・ムーア監督のような社会派のノンフィクション映画である。情報の正確さより、明確な主張をもって何事かを声高に叫ぶタイプの映画である。
 本作の攻撃対象はマクドナルドを始めとするファーストフード・チェーン、ソーダやスナックの供給者達である。アメリカが肥満大国である説明から始まり、マクドナルドの訴訟に話が移り、そして実際にマクドナルドのハンバーガーを食べ続けるとどうなるかの実験につながっていく。はっきり言って掴みはうまい。テンポが良く、明快なテーマにあっという間に引き込まれる。

 しかし、よくまあこんなことをやったもんだ。30日間マクドナルドで買えるものしか食べない。アホの所業である。体に良いわけがない。しかし本人もここまでえらいことになるとは思っていなかったのではないか。21日目でドクターストップがかかる。とにかく今やってることをすぐ止めろと言われる。しかし結局30日まで続ける。良い子のみなさんは絶対にマネしてはいけない。

 しかしアメリカに住んでいると、とにかく信じられないぐらい太っている奴が多いのに驚くのは事実だ。もうバケモノの域に入っている奴もいて、そういうのは駅の階段を登れない。ここまで行くともう病気であってかわいそうなのだが、しかしそこまで太る前に何とかできなかったのかと思わずにはいられない。
 そして実際、アメリカ人はとにかくスナックを良く食う。バスに乗るとスーツ着たビジネスマンがスナックの袋をバリバリと開けて食い始める。まして子供や学生や主婦は食いまくりだ。肥満するのも無理はない。
 アメリカでは食事の40%が外食になっているそうだが、子供を連れていつもマクドナルドに行く、なんて親もたくさんいると思う。日本人には信じられないだろうが、アメリカ人は行くのである。やたら食事に気を使う連中もいるが、何も考えていない連中はまったく何も考えていない。そしてブクブク太っていく。

 面白かったのはマクドナルドに電話をかけるところだ。インタビューを申し込むのだが、コールバックをするといいながら全然かけてこない。一両日中には、とかいいながらそのままばっくれてしまう。まずいことがあった時の典型的なアメリカ人の対応なのだが、あれじゃイメージ下げっぱなしである。いやならいやとはっきり断ればいいのに。あるいはインタビューに応じて、詭弁強弁駆使してごまかしてくれれば随分面白くなっただろうが、まあそれは無理だろうな。舌先三寸でそれができる奴はいそうだが、カメラに撮られることに耐えられないに違いない。
 しかし、あの実名出されていたマクドナルドのマネージャーはどうしたんだろうな。こんな映画が公開されて、友人知人に合わせる顔がないんじゃないか。

 アメリカに住んでいる身として、食生活はアメリカナイズされないよう気をつけようとあらためて心に誓った。

 

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