崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

日本帝国の軍票

2016年04月20日 05時55分49秒 | 旅行
下関在住の知人から連絡があって訪ねて行った。家族は誰もいないから気にしないでと繰り返した。掃除整頓されているので奥様には客が来ることくらいは言ってあるはずである。かなり秘密の話でもあるように、テーブルの上に骨董品がズラッと並べてある。以前絵葉書を寄贈してくれたのにまだ50点ほど持っておられる。奥さんからは骨董品趣味が認められていないようで、さきほどから奥さんが不在であることを強調する。高麗青磁意外には珍品は少ないが驚いたのは100枚ほどの日本帝国の軍票である。どうして私の趣味に合うように収集したのかと嬉しくなった。彼の表情はフィードバックした。今研究中の軍票に出会ったのは幸運であった。その資料を私に持って帰って自由に研究しなさいと勧められ、感謝して借用してきた。
 このように収集するためにはお金も使ったはずなのにどうしてこのような趣味をもったのだろうか。私の質問に、酒を飲まない、煙草を吸わないと答えた。私には十分な答えではないように感じたが、高齢の彼はそれがすべてのような表情であった。それはどんな意味があるだろう。飲み乱れた人生を否定的に見ているのか、世俗的に見ているようである。その分彼自身は文化に価値を持って絵を飾り文化生活を目指して生きた自分の人生を語らず主張するようである。彼はその骨董品趣味に奥さんは価値を認めないが隠かに楽しんでいるようである。奥さんは歌唱を趣味として外出中、それぞれの二人の人生観、価値観が共存しているようである。その夫婦をわが家に招くこととした。彼は快楽した。