崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「中国のアメリカ政策」

2015年07月19日 03時46分47秒 | 旅行
本欄でも度々指摘したように今安保法案が上程中問題になったのは中国の脅威によって日本国民の不安から起きたものである。その状況を忘れて憲法論になっているが日本の首相の靖国参拝による中国の反発、また石原慎太郎の尖閣列島に関する発言対応と中国の挑戦などが繰り返され、雪だるまのようになった経緯がある。また一方では米中関係とも関わる。日米安保も中国への脅威にならざるを得ない。昨日私が所長を務めている東亜大学東アジア研究所主催の講演会が行われた。大学関係者以外にも市民を含めて20余人参加した。中国の大連理工大学外国語学部 副教授崔戈博士により「中国のアメリカ政策」について中国語の講演を現東亜大学大学院博士(後期)課程の林楽青氏が通訳をした。司会は本学の礒永准教授が務めた。
 アメリカは旧ソ連の崩壊後中国と対置してきて、中国を牽制するため、アメリカの戦略重点を東アジアに移転した。そして東アジア米軍基地の拡大化と軍事体制を維持しながら貿易と投資などを拡大した。それは中国の地域経済圏への主導権を阻害することである。中国側が「アジア投資銀行」などを提唱してもアメリカは常に消極的な反応である。崔氏は米中関係はいつか中東のような紛争や戦争が起kるかも知れないと述べた。彼は平和を保つための政策を提案した。米中の両国は最低限の存在を認めあうことである。それは核心的な利益には触れないことであり、それを侵さないことである。つまりアメリカは中国の共産党政治体制を維持しながらの経済発展を見守ること、中国は東アジアにおけるアメリカの軍事基地を認めることである。両国はお互いに守るべきであろう。しかしアメリカは時々中国の民主化や人権を問題にしており、中国の体制には脅威になっており、中国は東アジアにおける米軍への脅威になるようなことをしている。このようなことは危険だと思っているようである。米中関係は当然日本や韓国にも影響が及ぶだろう。アメリカの中国への政策は基本的に北朝鮮にも同様な感があり、東アジア全体と繋がっている。
 私は中国はいつも高慢な大国主義と思っていたが彼は中国を大国とは言わず「新興国」と言った 。彼は英語を流暢に話す。彼と長く話をした。彼は欧米の古典文学の作家をはじめカント哲学、マキアベリの君主論など多くの西洋文化についても博識が高い。私は中国の学者と西洋文学の話をしたのは初めであった。まだ30代の若い青年の彼と大連市認定の通訳者である林氏のコラボレーションがとても良かった。台風で中止になるのではないかと心配であったが無事に終えて何よりであった。