崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ソバ畑

2015年07月14日 04時43分37秒 | 旅行
 山村の温泉旅館では3人相部屋だった。私の生活リズムの早寝早起きが二人に迷惑になるのではないかと気になった。若い人に迷惑にならないように注意はしたが互いに不便さを感じなかったようである。それは若い人でも、生活リズムが私とそれほど変わっていなかったからである。私が4時からコンピューターを開く時既に林氏は作業中であった。伝統的な旅館式のホテルでは食事がメーインである。朝食にはソバの粒を汁にしたものが出た。信州の名物ともいう。古くは貧困層の食べ物が今では名物となっている。私は美味しさというより幼いころを思い出す。私は貧しきソバ畑の貧困の農家を思い出す。数人の家族を延命させたソバ畑に米軍がキャンプを張った。軍部隊は雑草地と思ったのかもしれない。主婦の怒りの抗議で軍からタバコや缶詰などがたくさん届けられて生き延びてきた女性、今はあの世の人になっている。私には懐かしさではなく、戒めの食事、節約を訴えているように感じた。
 後期高齢者になった通知を受けた。長く生きていることへの感謝と疎外感を持つような気分であった。ホテルに忘れ物、林氏に運転してもらい、取りに行った。彼に申し訳なくお礼を言うと、「崔先生とのドライブであり、記念すべき」だという。私は若い時には敬老思想を意識することなく、そのような言葉を使ったことはなかったことを反省した。昨夜鑑賞した山田洋次監督の「おとうと」の中に老婆が疎外されてつぶやいている画像が忘れられない。若い時から年寄りを多く見てきてもそれが自分の将来とは思わなかった。また老いていくことに感情などを表現していない。老いを語るのも老人の役目かもしれない。