崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

私の臆病

2015年07月13日 06時06分40秒 | 旅行
長野県伊那市「満蒙開拓平和記念館」は長い「野」ではなく山とトンネルばかりであった。この地から満蒙開拓団として移住した人は日本一多かった。日本人は全員が帰還した。朝鮮半島からも開拓移住した人がいたが基本的は一人も帰らず残って中国人になっている。私はその朝鮮人開拓村の営口に行ってみたことがある。日本は植民したができず朝鮮人が成し遂げたような形になった。記念館で証言の映像を長く視聴した。大きい、本当に大きい夢を以て満洲へ行って広い土地の新しい地主になって喜んでいた最中敗戦、ソ連軍の侵入、略奪され、性暴行され、殺される話が延々と続く。それは個人的な話に終わらない。日本帝国の運命であった。アジア、太平洋、アメリカまで帝国を拡大していこうという幻の夢が敗れ、敗戦の悲惨さを味わった。日本の夢は終わった。しかし、まだ終わっていない大国主義国家がある。帝国主義、大国主義は辞めるべき教訓を考えてほしい。
 ソ連軍に暴行される目撃証言には心痛くした。最近私は魚釣りの映像さえ見るのが辛い。自ら心が弱くなって社会生活さえ支障が生じるのではないかと心配することもある。しかし考えると逞しい男たちによって戦争が起きたのではないだろうか。戦前「不逞00人」という差別のことばがあった。孟子の言葉「惻隠之心」といえる。いま日本は逞しく防衛政策をとっている。隣国の脅威が刺激になっている。中国は大国主義をやめるべきである。帝国の滅亡は決まっている歴史の教訓がある。私の臆病のような弱い心を誤解してはいけない。平和は弱く強い心から成り立つものである。