崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

堀麗子『終着駅おぼろ』

2015年07月10日 04時40分51秒 | 旅行
下関の豊浦町宇賀の海辺の村に住んでいる堀麗子氏(88歳)からの郵便物、車椅子生活の様子を伺ってご無沙汰中、俳句集『終着駅おぼろ』が届いた。「浜おもとにわかに沖の暗くなり 風車群連なる丘の大夕焼 黄落の中にとどまり車椅子」「夜もすがら玄界灘に北風すさぶ」など思い考え感じたことや幼い時に住んでいた巨文島などを綴っている。二人の有名画家を生み育てた母親、その一人の孫女から先日朗報が届いた。韓国大邱の大学に勤めた堀まどか氏が大阪市立大学に転勤することになったこと、昨日引っ越しを終えたという電話を受けた。その娘も国際学校を卒業して中学生になる好機に移動、私はただ嬉しくなった。下関で4代の付き合い、そこには植民地、戦後の歴史が底流する。しかしそれを越えて美しい付き合いである。
 東亜大学国際交流学科のビジネスコース開設記念講演会で住友重機械工業会社の相談役の日納義郎氏の「グローバリゼイションの現状」を拝聴した(写真)。ロバート・ライシュ著『The Work of Nations』を理解するという内容。アメリカが先進した技術による商品を世界に売るような国際化が日本からのブーメラン状態などを受け壁にぶつかり、本当の国際化の商品を作っていく過程を分かりやすく説明された。昨日は読書会を中止して参加した甲斐が十分にあった。特に抽象化能力、体系的な思考、共同作業などを重視するアメリカの教育に至るところには感動した。さらにアメリカ人がイギリス人を、イギリス人はインド人を、インド人はシンガポール人を、シンガポール人は中国人を利用する英語から中国語への協力の拡大を語った。私は植民地時代に大英帝国がインド人をアフリカへ移住させ、開発した植民地的移住式の連続とも考えた。充実した勉強会であった。