崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

任東権先生別世

2012年11月27日 04時57分38秒 | エッセイ

 李杜鉉先生から日本茶を送ってくれて有難う、どうしても日本茶の味が忘れられないからと電話があった。そして任東権先生が亡くなられたと教えてくれた(写真)。国際電報で弔電を送ろうとしていろいろ工夫してもできず民俗苑社長にお願いした。任東権先生とは1960年代の初め頃からお付き合いさせていただいており、ソラボル大学学長室に伺って文化人類学会のことを相談したり先生の民俗学会の創立などにも参加した。また韓国文化人類学会の任宰先生宅で新年の挨拶時も一緒になることも多かった。当時私は学会常任理事であり先生とは会議などで頻繁に会った。先生は理事たちの意見を良く聞いた上調整してださった。

 先生は戦後韓国民俗学の一世代と言える。私は2世代、今は3,4世代が活躍している。民俗の研究がなぜ重要であるのかその意味も深く考えず戦前の価値観を踏襲して、戦前の植民地主義の研究を戦後にはナショナリズムに変身させて、いまその民族主義に乗っ取られているようである。私は前世代とは違って被差別巫集団の意識構造など社会的な問題を明らかにしようとして研究をしたがそれは後輩たちによって十分生かされているとは言えない。後輩たちに脱民族主義の意識の変化を期待している。