崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「東アジアの中の韓国」

2012年11月03日 05時06分09秒 | エッセイ

 浙江工商大学本館9階の会議室で9時から5時半まで「東アジアの中の韓国」という国際学会が行われた。この会は広島大学に留学した金俊氏が2か月前延辺大学から赴任して実行されたものである。私は全体の基調講演として頼まれて原稿を送って記載されているが論文発表のようになって異様な感がした。それは日中関係の悪化によって日本から来た人が基調講演をすることは無理であるという調停の結果であるということを後から知った。この杭州地域は日本の侵略と植民地に反抗した韓国の愛国運動者が多かった歴史を持っていることが分かった。一方では現在日本との企業の協力が盛んな地域でもあり、中国では豊かな地域と言われ、日本への感情は非常にアンビバランスであるという。観光用の大型ショーも今は日本語の字幕も消しているという。私は日本からの唯一の参加者として目立つし、異様な存在にもなっているようである。

 会議は副総長の戴文戦氏の開会宣言の挨拶と記念写真撮影から始まって、中国国際問題研究所の研究員(教授)の姜ヨウ春氏は経済成長から見た日本の衰退と中国や韓国の成長を紹介し、目下、領土問題で膠着して東アジア共同体の推進は困難な状況であると通訳を通して発表された。特に日中関係が悪くて韓国が徳を得ている現象にも触れた。しかし延辺大学の方浩範氏の学生へのアンケート調査では「日本が好き」という結果になっている。今調査をしたらその結果はどうであろうか、と疑問を投げた。しかし私は経済成長で社会の発展を測ること自体の問題点、それより生活の質を高める努力をすべきだと言い、また「日本はまだまだ十分先進国であり、中国や韓国は日本をモデルにすべきだ」と主張した。これに黄有福氏は日本がドイツの首相のように本気で戦争の加害者としての反省と謝罪が十分行われなければ共同体は無理であると日本を強く非難した。会議参加者は中国の朝鮮族、韓国人など金俊氏の人脈と人徳によって成功させたことになる。それは本会議では十分議論され、夕食会と二次会につづいて評価された。私が東亜大学に赴任して2カ月ほどで日本映像民俗学会の全国大会を主宰して教員たちの協力を得られず主催者としての挨拶もできなかったことなど苦労したこととは非常に対照的に金俊君は成功させたことにはほんとうに驚いた。今日は西湖を回って日本に帰国する。