崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

味文化

2012年11月21日 04時23分12秒 | エッセイ

 風邪で数日間味覚を失った。味は分かないが健康を回復するために食べた。それは習慣や薬、健康食のようなものであった。極端に言うならば栄養注射のようなものであった。味覚は食欲を高め、食事をスムースにすることによって、栄養を得て、エネルギーを得るものである。しかし味覚を失ってみると、味を考えない食事で栄養だけを考えての調理は簡単なように感じた。テレビの料理番組のように味を想定しているが画像の料理の美味しさを確かめることができないのと同じである。そこでは食べ物はまったく栄養学の対象になる。味覚を失った数日間は栄養を得るだけの期間であった。味覚を回復して味の文化に戻る。それが健康な状況である。味覚は幼児や動物も知っている。味文化とは人間文化であり、動物的なものでもある。(写真は10月21日アメリカ行きのカール機内食メニュー)