崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

今日は「しものせき映画祭」

2012年11月10日 07時21分54秒 | エッセイ

 今日はこの映画祭二日目、東亜大学で10時から私の解説で上映することになっている。しかし私は風を引いて持病の薬とかぜ薬を飲んで薬に酔った感じで、朦朧としており、声が正常ではない。二日間休んでもなかなか回復できない。演壇に立つのが観客に迷惑をかけることになるかと心配している。

 林権澤監督の「風の丘を越えて(原題は西便制)」は私の研究と密接なものである。被差別人のムーダンの神歌、旅芸能人のパンソリがオーバーラップする。そこには被差別者の恨(ハン)、断念、諦念などから素晴らしい芸が生まれる過程を描いた作品である。原題の「西便制」はパンソリの流派であるが、日本語の題目は「風の丘を越えて」となっている。韓国語の風とは神の威力、精力、病気など幅広く使われている。ここでは差別を越えて芸術化して行くことと解釈したい。