崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ちょっと昔の下関展

2011年01月24日 06時24分49秒 | エッセイ
 下関のにししんギャラリーで開いている北條秀一氏所蔵展「ちょっと昔の下関展」をみた。北條秀一氏(61)は三菱工業に勤めながら明治~昭和の資料400点を約40年をかけて収集したという。現在菊川町民俗資料収集保存委員会の委員をしている方である。旧山陽ホテルや鉄道の写真、関釜連絡船などの多くの写真が展示されている。明治~昭和の下関の歴史が身近に感じられる。私にとって面白いことは骨董品的に貴重なものではなく、絵葉書や新聞記事など参考資料が多く、学者の資料収集のような点である。千人針の実物を初めて見た。それについて北條氏に収集動機を聞いた。出版なども考えているようである。戦前運航されていた下関と麗水間の関麗連絡船の開通に関するものなど私が植民地調査でよく耳にしたものもあった。麗水EXPOが開かれる予定都市の古い長閑な風景写真は発展の嬉しさより寂しさを感じた。
 解体される旧山陽ホテルの写真が多かった。近代的歴史を持っている建築であり、保存も考えたようであるが解体破壊されることになった。国鉄からJRの所有になって、下関にとって意味のある文化財である。文化財を破壊して新しく建てて利用するか、保存して利用するかは長期間のスパンから考えて欲しかった。私は馬が餌を多く食べるので食肉用にするか、乗馬や運搬などに利用するかのどちらかを選ぶか、マービン・ハリスの論文を思い出す。(写真は北條氏)