崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「風の丘を越えて(西便制)」

2011年01月03日 06時58分43秒 | エッセイ
 下関映画祭への推薦作品を考えている。韓国や韓国の映画やドラマが好きな淑女たちが訪ねてきたのでパンソリ(湖南地域の民謡)の旅芸能人と恨をテーマにしている1993年の韓国映画李清俊原作、林權澤監督の「西便制」(日本題は「風の丘を越えて」113分)を見せた。日本語の字幕がないので私の解説と家内の通訳で進行した。「西便制」はパンソリの一つの流派であり、全羅道地域で歌われるものを指す。1960年代伝統芸能・パンソリにたずさわる家族の、情愛と芸道に関する物語、その奥底に「恨(ハン)」が横たわっている。
 私はその地域の被差別集団の巫女とパンソリの調査、そして慶尚道の地域の巫集団の調査をした話などもまじえて話した。彼女たちの質問に答えて韓国のシャーマンの映像を見せながら私のシャーマン研究の回顧のようになった。日本のイタコ、ユタなどへも触れることになり、年初講義のようになった。今年日本宗教史の講義の前の初戦のようであった。友人の朴仙容氏の提案のように新年には「私塾」をも作れそうである。著作集第3巻は「シャーマニズムとキリスト教の混用」をテーマにしている。