崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

私の最後の希望

2009年06月27日 05時19分14秒 | エッセイ
 数年ほど前に北朝鮮の金日成大学で教えたいという希望を伝えたことがある。それが本当に当局まで伝わったかどうかは返事がないのでわからない。四度目の訪問を希望したがそれも返事がない。大学を数多く変えながら生きてきた者として、なにかの役職で最後を飾るのは望ましくない。周りや弟子たちの中からは反対されたが機会があれば金日成大学で学生たちに世界事情などを講義して井の中の蛙のような彼らの視野を広げてあげたい気持ちは強い。しかしそれは朝鮮総連や北朝鮮側が応じてくれないので虚言になってしまった。
 イランで激しいデモが起きているのをみて、私はイランの民主化に期待している。中国や北朝鮮ではそのようなデモはありえない現象であるからである。私が訪問した印象としては北朝鮮ではそのような現象は絶対的に不可能であろうと思っている。その国には「初戦撲殺」という標語が多い。反政府の運動は起りそうな種を初期段階で潰すという意味である。それが極端になると人の考え方まで遡って監視し、「撲殺」するのである。安定した独裁政権だから「金氏朝鮮」から「李氏朝鮮」や「徳川幕府」などのような方向へと進むようである。中国の共産党の一党独裁と自民党長期政権とは似て異なる点があるが政権の執権者はみな長い執権に執着するのが普遍的な真理でもある。