大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

書き終えて

2011年08月25日 16時50分56秒 | 日記
昨日 『僕と僕の母様』 の最終回を迎えました。



アップしたあとに読み返してみると あんなに何度も読み返したのに 「ああ、言葉が足りなかった」 「説明不足だった」 等と反省ばかりでした。

そのような中での最終回・・・。


155回ものお付き合いを頂きまして有難う御座いました。




最終回近くの1週間 gooブログの方から自動的に 有料でのアクセス解析体験がありました。

私は無料版なので アクセスは1週間前から各日毎の 閲覧数、訪問者数、ランキング を見ることしか出来ません。


アクセス解析体験で知ったのですが 

今、一桁の回を見て下さっている方がいらっしゃる。

携帯電話からも見て下さっている方がいらっしゃる。



素人のつたない小説を 読んで下さっている事に 改めて感謝の念が沸きました。



携帯電話で見て下さっているとは 思いもしなかったので とても気になりまして いったいどんな風に 表示されているのだろうかと 私も携帯で見てみました。

すると 最初の目次だけで 何度も何度も進めていかなくてはならなく 単に読もうとするだけで PCのようにスクロールするだけで終わらず 携帯電話で見て下さっている方には 大変お手を煩わせてしまっているようです。



初めての小説なのに ピッチを上げすぎたようで 今は少々お休みが欲しくなってきています。

書きたい内容のものはまだありますが 暫くは 小説をお休みしたいと思います。

また 日記の形で 時々アップさせて頂くかと思います。


もう一度     長い回数をお付き合い下さり 本当に有難う御座いました。


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最後になりますが


こちらで → ココをクリック   締切りましたのでリンクを外しました。

ペットに関する 法改正 の呼びかけがあります。 明後日27日が締め切りのようです。


リンク先には 保護犬 「いろは君」 の細かいことが連日書かれています。


繁殖犬はその用が終わると 『用済み』 と。

生まれてきた仔の身体の具合が悪いと 『用無し』 と。

どちらも行く先は 管理センターです。 そこで死を待つのです。

センターから救われた「いろは君」 も繁殖犬だったと思われるようですが その姿は とても輝ける命とは思えず フィラリアにもかかっていたようです。 変わった鳴き方をするようですが 声帯は切られていないようです。 ですが犬歯の先が切断されていたようです。

『用済み』 とされる前の生活が 容易に想像がつきます。


何度もリンク先に飛んで頂かなくてはなりませんが 実態の一例であります 「いろは君」 の様子を一度見て頂き この他にもまだまだ表立っていない 実態があることを分かって頂き ご賛同して頂けるようでしたら パブリックコメントのお願いを申し上げます。




こんな言葉は使いたくないのですが

『用済み』 『用無し』 と言われる命など無いのです。

皆同じ 素晴らしい命なのです。


こんなことが一日も早くなくなることを祈って止みません。



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僕と僕の母様 第155・最終回

2011年08月24日 11時31分59秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回
第91回第92回第93回第94回第95回第96回第97回第98回第99回第100回
第101回第102回第103回第104回第105回第106回第107回第108回第109回第110回
第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
第121回第122回第123回第124回第125回第126回第127回第128回第129回第130回
第131回第132回第133回第134回第135回第136回第137回第138回第139回第140回
第141回第142回第143回第144回第145回第146回第147回第148回第149回第150回

以降は カテゴリ 又は 最近記事より お入り下さるようお願い致します。

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僕と僕の母様 第155・最終回



母様と帰りの電車に乗っている時に 順平からメールが入った。

『卒業式終わったんだろう? みんなで先生を 殴りに行ったか?』

『行くわけないだろう。 それより そっちはどうなのさ』

『昨日、追認合格したから 明日一人で 卒業式だってさ』

『よかったじゃん、卒業できて』 このメールのやりとりを 母様が見ていて

「明日、病院に行く前に 行ってあげれば?」 そう言ってきた。

「そのつもりだったけど、切符代がもったいないから 止めとく」 とっくに定期が切れていて 今日も母様に 切符を買って貰っていたのだ。

「一人で可哀相に」 それなら切符代を くださいよ。

「そう言えば ブラスバンドが 演奏してたわね、上手じゃない」

「ああ、大分上手くなってたみたいだね」

「それだけ?」 何なの?

「それだけだよ」 他に何か?

「ふーん」 何が聞きたいんだ?



その日の夜夕飯が終わって 母様がおもむろに 袋を僕に手渡した。

「卒業おめでとう。 あ、でもこれは卒業のおめでとうじゃなくて お母さんの 大学進学の夢を 叶えてくれたから そのお礼。 でも半分ね。 今は半分の夢を 叶えてくれたんだから。 残りの半分は 四年で卒業してくれたら お母さんの 長い間待った夢を 陵也が叶えてくれた って言う事で その時に改めて ありがとうだわ。 だから今日は 半分ありがとうのお礼」 第一希望を 落としたことが 今でも心に 引っかかっているから 返事に困ってしまう。

とにかく 袋から中のものを 取り出した。 何なんだろう 固い箱に 入っているようだ。 包装紙を開けてみると 中にはお揃いの万年筆とシャーペンが 入っていた。 それも二本とも結構重い。

「大学生なんだし 万年筆ぐらい 持ってないとね」 思いもしなかった。  僕は無言だ。

「陵也も以前 万年筆が欲しいって 言ってたじゃない。 気に入らない?」 無言の僕に反応して 母様が聞いてきた。

「うん、欲しかった」 まるで棒読みで 呆然状態に近い顔で そう答えた。

「何? じゃあ、デザインが 気に入らないわけ? 細すぎた? 太いのはなー・・・お母さんが あんまり好きじゃないから 細いのにしたんだけど」 黒に近い紺色のようだが 殆ど黒。 そこに 分かるか分からないかくらいの 同じような色で 模様とも言えない 模様が入っている。

「これくらいがよかった」 まだボーっとして 目の前に持ち上げて見ている。

「じゃ、何なの? 色がイヤなわけ?」 少し時間をおいて やっと我に返った。

「違うよ。 あんまりにも 予想をしてなかった展開だから ビックリしてただけ。 ありがとう」 お礼を言うのすら 忘れていた。

「気に入った?」 心配そうに僕を見ている。

「うん」 そう言って 何か書いてみようと 初めて持つ自分の万年筆の先を 新聞の上に置いてみた。

「あ、ダメよ そのままじゃ書けないわよ。 インクを入れなきゃ。 袋の中に 小さな包装紙が まだあるでしょ」 インク? 袋の中を見てみると 確かにまだ何かあった。

「これ?」 それを取り出して 母様に渡すと 包装紙を開けて 中からインクとやらを出して

「いい? こうやって ここを開けて このインクを差し込むの。 それからやっと書けるわけだけど すぐにインクが 出てこないから イライラして 無理に書こうとすると 先が痛むからね」 万年筆とやらは 少し時間がかかるようだ。

「はい、もう書けるわよ。 あんまり長い間使わなかったら インクが固まって また書けなくなるけど 水なんかで先を濡らすと 書けるからね」 その説明を受けながら 新聞の端に クルクルと円を 描くように 螺旋を書いていった。

「気に入った ありがとう」 もう一度そう言った。



今日一晩寝て起きると 明日から入院だ。 そして手術。

正太には 手術のことを 言ってあるが 順平には言っていない。 それに正太にも 来ないでいいからと 伝えてある。
 
手術跡のギブスをしたまま 四月からは大学生としての 僕が始まる。

いったいどういう風に 僕がなっていくのか 想像もつかない。

取りあえず 母様が引いた 幾つかの路線の内の一つを 自分で選んだんだから その線路の上を 歩いていくのだろう。

母様は「高校生じゃないんだから 自由にやりなさい。 毎日家に帰ってくる必要も ないわよ」 と言うが この先この母様を 僕はどう理解していくのだろうか。

とにかく


頑張れ僕!




       完







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僕と僕の母様 第154回

2011年08月23日 14時00分01秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回
第91回第92回第93回第94回第95回第96回第97回第98回第99回第100回
第101回第102回第103回第104回第105回第106回第107回第108回第109回第110回
第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
第121回第122回第123回第124回第125回第126回第127回第128回第129回第130回
第131回第132回第133回第134回第135回第136回第137回第138回第139回第140回
第141回第142回第143回第144回第145回第146回第147回第148回第149回第150回

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僕と僕の母様 第154回



卒業式 

仕事を休んでいる母様と 朝早く家を出て 学校に向かった。 

この日も順平は欠席だ。 この三年間、ここぞという日に 欠席することを 貫き通したようだ。 早い話、結局追認が 卒業式までに間に合わなかったのだ。 何と言っても 電子回路以外にも 追認があるのだから 簡単には無理だったんだろう。

学校に入り 体育館での卒業式。 

母様は そのまま体育館へ 僕は教室へと向かった。 

教室では相変わらず みんな騒いでいる。 先生も声を荒げながら 今日の進行を もう一度全員に確認させようとしているが 誰一人として聞いていない。 あ、クラスで一番頭のいい奴だけは ちゃんと前を向いて 聞いていた。

ざっと 教室を見回したのだが 欠席は順平だけだ。 意外とみんな 試験をちゃんと クリアー出来ていたようだ。

式の準備をするようにと 放送が鳴った。 僕たちは教室の廊下に 2列に並び 体育館めがけて移動して行くのだが その道中もウルサイ、ウルサイ。

しかし体育館の前に整列しだした途端 ピタッと私語が無くなった。 生活指導の怖い先生や 体育の先生が いるわけでもない。 どうしたんだろう。 キョロキョロと見渡すと どうしてだか みんな下を向いて 神妙な顔をしている。

もしかしたら 卒業式ということに 今気付いたのか? いくら何でも そんなことは無いだろう。 急に緊張してきたか、コイツ等にはあり得ないだろうが 悲しみという感情が 出てきたのか? どちらにしても 僕にはこの3年間で コイツ等の頭の中は 理解できなかった。 

式なんて決まりきったもの。 中学の卒業式と同じように 小難しい話を 小難しい顔をした大人が 話しているだけだ。

そして 名前を呼ばれると 返事をし起立。 卒業証書をクラス代表が受ける。 これだけのことを 何度練習したことか。

式が終わって 体育館を出る時に 出入り口で ブラバンが演奏をしていた。 知った顔があったが 目も合わせずに 体育館を出ていった。

僕自身は 何の感動もない卒業式だったが これで高校生が終わるのだ。

体育館を出て そのまま教室に行かなくてはならないが 帰りのことを 母様と話していない 母様が心配だ。

皆でゾロゾロと 教室へ向かう途中に それに気付いた。 僕はUターンをして 体育館に戻り 母様を捜した。 

まだ保護者で ごった返している中に 母様を見つけた。 案の定、母様も僕を探していた。

「お母さん」 大きな声を出すのは 恥ずかしい。 母様の近くに行き 母様を呼び止めた。

「あ、陵ちゃん。 お母さんどうすればいいの?」 やっぱりな。 約束というものをしないと 融通が利かないのだ。

「僕はこれから教室に帰って ホームルームがあるんだけど お母さんはどうする?」 帰っていいよ。

「お母さんもついて行く。 先生にもご挨拶したいし」 そう言うと思った。 ご挨拶一番の 母様だもんな。

二人で人の波の間をくぐり 教室に向かって 歩いて行った。 

僕は少し母様から離れるように 歩きたかったのだが 母様は腕でも組もうかというほど 至近距離に来る。 頼む 誰も気付かないでくれ。

教室に着き 母様を後ろのドアから 入るように促し 僕は前のドアから 入って行った。

教室では さっきの神妙な顔は無く また皆で大騒ぎだ。

チラッと母様の顔を見た。 目が点になっていた。

先生が入ってきて 教室の後ろに並んでいる 数人の保護者へ挨拶をし 今度は僕たちに 話をしだしたが みんな全くと言っていいほど 聞いていない。 いつもの図だ。

ヤツラの声で 先生が何を言っているのか 聞き取れなかったが どうも話が終わったようだ。 卒業証書も貰って 色んなプリントも貰い もう一度先生が 保護者に挨拶をして これで終わりのようだ。

あっけに取られている母様を横目に 僕も帰る準備をしだした。 準備が終わって母様の方を見ると 母様がいない。 何処へ行ったんだ 廊下に出てみると そこに先生と話している母様がいた。 

何かいらないことを 言っているのか心配になり 僕は母様の横に立ち 話を聞いた。

「先生、あの いつもこんな風だったんですか?」 まだ目が点になってるよ。

「ああ、賑やかでしょう」 先生は満足といった顔で答えている。

「三年間こんなですか?」 信じられないといった感じだ。

「はい、可愛い奴等です」 本当かい?

「三年間も申し訳ありません。 何と言っていいのか 大変お世話になりました」 ひたすらに頭を下げていた。


駅までの道々で 母様が言うには 教師が話している時に 生徒が後ろを向いたり ギャーギャーと騒いでるなんて事が 信じられなかったらしい。 そして 母様とあと一人の保護者が 挨拶しただけで 他の保護者は 知らない顔で帰っていたり それ以前に ホームルームにも来ないということが 信じられないといった 感じであった。

駅に着き 電車に乗った。





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僕と僕の母様 第153回

2011年08月22日 17時34分49秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回
第91回第92回第93回第94回第95回第96回第97回第98回第99回第100回
第101回第102回第103回第104回第105回第106回第107回第108回第109回第110回
第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
第121回第122回第123回第124回第125回第126回第127回第128回第129回第130回
第131回第132回第133回第134回第135回第136回第137回第138回第139回第140回
第141回第142回第143回第144回第145回第146回第147回第148回第149回第150回

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僕と僕の母様 第153回



「・・・今知った。 ・・・って、本当にいたの?」 疑いの目で見てみた。

「なんだよー その目は いたに決まってるじゃないか だからこの会話を 言ってるんじゃないか」

「誰かに聞いたとか?」 本当か?

「お前のことは 面接の時から三年間 きっちり覚えてるよ。 入学式の時も しっかりと見たよ」 薬指に光る指輪を キラキラさせて 僕を何度も指差した。

「へー、そうなんだ」 この若造は 見かけによらず っていうところが あるみたいだ。

きっと 僕だけではないだろう。 生徒一人一人を 自分の目で 見ているのだろう。 ちょっと見直した。

その後も 順平やランボーと 他の先生だったら 知らないこと、知っていても 気にも止めないから 忘れていることを チャイムが鳴っても それを無視するかのように 延々と喋っていたのだ。

そして そのまま時間が過ぎ とうとう完全下校の時間に なってしまった。



若造がキラキラさせていた その指輪

電子回路 最後の授業の日のことだ。

何人かが 教卓にいる 先生の周りを取り囲んで 話をしていた。 すると 急に大きな声で

「あ、先生結婚したの?」 左手の薬指に 指輪をしているのを見て 一人の奴がそう言った。

「俺知ってる。 音楽の先生だろ」 え、音楽って?

「音楽って あの女の先生だよな。 そう言えば 最近見ないよな」 え、あのブラバンの時の 先生のこと? 

「うそー、いつしたのさ」 そうだよいつだよ。

「うるさいなー ほっとけよ」 照れてる。 そういえば 女の先生を いつからか 見なくなっていたが そう言うことだったのか。 

へぇーそうなんだ。 あのブラバンの女の先生と 結婚したんだ。 あの先生とは よく話をしたが そんなことは 聞いた事がなかった。 まぁ、生徒にそんな話を するわけも無いが。

そしてついでに言うと その会話には 続きがあって


「まあ、まあ そんなに照れることは ないじゃん。 それよか 僕等生徒 みんな可愛かったでしょ」 順平が言った。

「ああ、本当にお前達は 可愛かったよ。・・・アイツ以外はな」 僕と目があった!

「何でですかー?」 何でだよ!

「お前は本当にな・・・腹立つ」 蹴ってやろうか。

そうなんだ。 蹴ってやろうか・・・。 

他の先生に そんなことを言われると 蹴ってやろうかなんて思えない どちらかといえば 落ち込んだり、何が原因なんだろうと 考え込んだりしてしまうのに この若造には 蹴ってやろうかで 済んでしまうのだ。 何なんだろうか。



家に帰って 補習授業で 若造と話したことを 母様に話したのだが 母様は他のお母さんと やはり感性が違うのか 予想してない返事をしてきた。

「ふーん、嬉しいわね」 それが第一声?

「なんで?」 わけが分からない。

「それって言うのは 先生が陵也のことを キチンと覚えていてくれてる って事じゃない。 良いにしても 悪いにしても 自分の名前と自分の顔を 覚えて貰うっていうのは 嬉しい事よ。 陵也は今までの学生生活の中で そんなことなかったでしょ? 今、中学の時の 担任の先生に逢っても 陵也のことは 覚えてないはずよ」 ああ、そういうこと。

「まあ、そう言われれば そうだな」 確かに こっちが覚えていても 相手に覚えて貰っていないというのは 寂しいことだ。

「やっぱり若造って いい先生じゃない。 こんな影の薄い陵也を 覚えてくれてるなんてね」 それが親の言うこと?

「そこまで言わなくても・・・」 どうせ僕の事なんて 誰も覚えてないよ。



二日後、見事僕とランボーは 追認テストで合格した。 順平は落ちた。

システム的には ギリギリ卒業式まで 何度か追認を してくれるらしいが 卒業式までには 何とか間に合ってほしいものだ。
 





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僕と僕の母様 第152回

2011年08月19日 11時10分43秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回
第91回第92回第93回第94回第95回第96回第97回第98回第99回第100回
第101回第102回第103回第104回第105回第106回第107回第108回第109回第110回
第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
第121回第122回第123回第124回第125回第126回第127回第128回第129回第130回
第131回第132回第133回第134回第135回第136回第137回第138回第139回第140回
第141回第142回第143回第144回第145回第146回第147回第148回第149回第150回

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僕と僕の母様 第152回



「チャイムなるまで暇だよな。 なんか面白い話し しないか?」 そう言う若造に 追認のエキスパート順平が つっこんだ

「先生、補習授業 きちんとやらなくて良いの? そんなので 本当に僕達合格させてくれるの?」 さすがエキスパート 他の補習を沢山受けてるから このやり方は 僕以上に疑問を持つだろう。

「お前達に 数時間の授業をして 今までのことが 分かるわけ?」 あ、失礼な 何て事を言うんだ。

「それは 無理に決まってるじゃん」 順平とランボーが 当たり前のように 返事をした。 聞かれると 失礼なと思うが 返事となると 確かに僕もそう思う。

「だろう、今までの結果が これなんだから ちょっとの補習時間で教えたって 無理なことじゃないか。 それよりかは まだ他のことをする方が いいじゃないか」 頭の後ろに両手を回して 手のひら同士を組んだ。

「他の事って?」 意味が分からないといった風に 順平が聞いた。 順平だけじゃない 僕も分からないし きっとランボーも 分かっていないだろう。

「そうだな 例えば お前ら三人共 もう進学、就職は 決定してるんだし 卒業も近いんだから 何の心配も ないわけだよな だったら 補習を受けてるつもりで 全身全霊を込めて遊ぶとか、学校の掃除をボランティアでするとか、色々あるじゃないか。 あ、俺 掃除は付き合いたくないから 今日掃除はやんないよ 掃除なんかより 今日に至っては 良い時間じゃないか、なかなか教師と 生徒が面と向かって長い時間 話なんかしないぞ。 ・・・あ、そう言えば お前思い出すなあ」 そう言って僕の方を見て 指差した。

「本当にお前は あの面接で 落としてやろうと思ったよ」 面接って?

「面接って もしかしたら 入試の面接って事?」 それ以外思い当たらない。

「おう、何をトンチンカンな事を 言ってるんだと思ってな。 まあ、例年そういう奴が いるけどな」 なんだ? 何のことだ?

「僕何言ったっけ?」 思い出したのは 母様に言われたことだけった。

「お前あんな事言っといて 覚えてないわけ? あきれた奴だな。 俺がこの学校を 受けた理由を 聞いただろう、そしたら お前なんて言った? 『叔父と叔母が コンピューター関係の仕事をしているので それを見て 僕もやってみたいと思ったからです』 って言ただろう。 この学校は パソコンやコンピューターを 教える学校じゃないって言うの」 覚えてる 確かにそう言った。
 
唯一僕が 面接で言ったなかで 覚えていることだ。 

母様に この質問は必ず出るから そう言うのよ、って何度か 練習させられたのだ。 しかしこの学校の 授業を受けてみて パソコンなんて 授業はなかったのだ。

若造の言いたいことは 分かった。 それに僕自身も 一年の時母様に

「お母さん、授業ではパソコンとかって やらないよ。 ちょっとかじったことはするけど 直接的なことは あまり習わないみたいだ。」

「あら、そうなの? てっきり パソコンのことばかり 習うのかなって思ってた。 中学の先生も パソコンのことを言ったら『それじゃあ、この学校が良いですね』 って言ったのにね。 じゃあ、何の授業をしてるの?」 そう聞かれて僕は 色々説明したが 母様はチンプンカンプンだったようで その事を思い出した。

「あはは、そう言えば そんな事を 言ったような気が・・・でも それで面接を 落とすって事はないよ。 っていうか 先生あの時いたの?」 そう言って笑いながら 聞いてみた。

「え、お前三年間俺に習ってて 気がつかなかったわけ?」 鳩が豆鉄砲を 食らったような顔って きっとこんな感じだろう。





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僕と僕の母様 第151回

2011年08月18日 15時05分31秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回href="http://blog.goo.ne.jp/daifuku-risu/e/7f8a1fd7496f514bd5b58e7042cdcc23">第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
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僕と僕の母様 第151回



「赤点が追認? わけ分かんないんだけど」 あ、そうか このシステムを 知らないんだ。

三学期の赤点 イコール追認ということを 説明した。

「それって 卒業はどうなるのよ」 少々頭の中が 混乱しているようだ。

「追認に合格したら 卒業できるんだよ。 ま、不合格なんて あり得ないし 確実に合格だよ」 余裕で答えた。

「絶対なんでしょうね! 赤点すら許せないのに 留年なんかしたら 許さないからね」 思いっきり睨んでる。

「大丈夫、大丈夫。 第一学校は 留年させるために あるんじゃないんだから 卒業させるために あるんだから。 その為の一つの方法が 追認テストで そうやって全員を 卒業させてくれるわけよ」 順平の言葉を借りて そう言った。

「お母さんは そんな心配なく それどころじゃないわよ、そんなことを 考えることもなく 学校に行ってたから そんなことを言ってる人間が 信じられないわ」 さっきの睨み顔が 呆れ顔に変わって言われた。

「言ってみれば お母さんは 僕が言うまで こういうことを 知らなかったわけだ。 うーん、僕もお母さんに こうやって 物事を教えられる人間に なったわけだ。 成長したなー」 叩かれた。

「第一、赤点ってこと お母さんも口に出して言うけど その赤点っていうものが もう一つ分からない」 今度は投げるように言った。

「え、赤点って知らないの?」 この母様は 学校時代を どう過ごしてきたんだ。 こっちが呆れてしまう。 

「成績表に ○マークがついてるのは 赤点ですって 毎回書かれてあるから 分かるだけで いい成績じゃないっていうのも 知ってるし、自慢になる物じゃない って言うのは 分かってるわよ。 だから 自慢するんじゃないわよ」

「そんなんじゃあ お母さんは まだ良く分かってないな。 では、僕が赤点についての説明を 詳しくしてあげよう」 10発ほど頭を叩かれた。

会話の間 無事に僕の口から 女言葉は出なかった。


追認のための 補習授業は若造だ。

三学期の期末が終わったあとは 卒業式の練習以外は 完全に学校は休みだ。

なので 補習授業のためだけに わざわざ学校に 行かなくてはならない。 しまったな こんなかったるい事になるとは 僕の計算にはなかった。

僕と追認のエキスパートの順平と 一年の時の遠足で 匍匐前進をしていたランボーの 合計して三人の授業だ。 以外に 例のヤンキーの塊がいない。

見事な顔合わせだが 僕がこのメンバーの中に 入ったということは 僕はかなりのバカのようだ。 ちょっと情けない。

補習授業一日目に 若造がプリントを配り

「このプリントと 同じ問題を 追認で出すから プリント丸暗記を 家でしてくること 分かったな。 それと 通常の補習と違って 今日一日で 補習を終わらすから そうだな 二日後、俺暇だから その日に追認テストをする。 それだけです。 今日の補習は これまで」 は? プリントを配って それでおしまい? 補習授業というのは「補習」 の次に「授業」 と言う文字が 付いているのだぞ 手抜きか?

「と言っても チャイムが鳴るまでは 帰すわけに行かないしなぁ」 若造は何か 独り言を呟いていたが プリントを見ると これもまたすごい。

テスト形式の プリントなのだ。 いや、そう言うより テストそのものなのだ。

そして回答を書く欄に 既に回答が書かれてある。 つまり問題を把握しなくても 一番の答えは何々、二番の答えは何々、という風に覚えれば それで良いのだ。

疑う余地なく完全な手抜きだ。





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僕と僕の母様 第150回

2011年08月17日 12時57分32秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
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僕と僕の母様 第150回



僕の計算の中では 電子回路は いつ赤点になっても おかしくないのだ。 この一つだけは 体育のように 何とかなるものではない。 全く分からないのだ。

一年の時から 何とか赤点を逃れる といった点数だけに その積み重ねで 完全に全く分からない状態だ。

ただ、相手が若造だけに 赤点に対しての 緊張はそんなにない。

そして体育の計算ミスと違って この電子回路の計算は 見事に的中した。

一学期の成績が 見事なものだった。 中間で5点、期末で0点、評定「1」 だ。 しかしこの時には これでは評価で 赤点になってしまうと思う 焦る気持ちがあったから 二学期に頑張って 中間で79点を マークした。 これで二学期は 期末が0点でも 平均が30点以上なので 評定が確実に「2」 だ。 頑張る必要のない期末で6点。 赤点は免れた。

だがその後の授業が 今まで以上に全く分からない。 頑張ろうに頑張れない とうとうこの時に 三学期にどれだけ勉強しようが 絶対に分からないと思い 赤点で評価「1」 を覚悟したのだ。 母様にも赤点と評価「1」 を宣言をしておいた。 何故なら

「赤点は取るなって 言ったじゃないの。 何なのこの点数は」 一学期の点数表と通知票が 学校から母様宛に 送られてきた時に 鬼の形相で言われた。 

早い話が テストの結果を見せなくても 母様にバレるという仕組みである。

「二学期に盛り返すよ。 それに最終的には 三学期で赤点を取らなきゃ 追認にはならないんだから 大丈夫だよ」 その時には そう言ったものの 二学期は中間、期末合わせての評定になるので あくまでも「2」 で終わったのだが しっかり三学期には 評価で「1」 になりそうなのである。 この評価で追認をし 不合格なら 留年が決まってしまうのだ。 だから二学期の点数表と 通知票が送られてきたときに 母様に宣言をしておいたのである。

「中間は頑張ったからそれで 二学期の赤点は逃れたけど その後の授業が全く分からない。 したがって三学期の電子回路は 赤点決定ですので そこの所の覚悟をよろしく」 開き直りに 威張って言ってみた。

「バカじゃない!」 怒ってます。



二学期も終わり 年が明けた。

指の関節は 一向に良くならず 何かを持とうとすると 激痛、そしてすぐに外れる。 旅行の話も お流れになってしまって いい幕開けではない 年始めだ。

遊び相手の正太は まだ受験を控えている。 遊びに誘うことは出来ない。 バイトだけの一日を過ごしていた 冬休みだった。

そして 冬休みなんて 短いものだ。 すぐに学校が始まった。

まだ 就職の決まらないやつが 何人かいたが 殆どはもう決まっていた。 授業も2学期の終わりのように あってない様なもの それだけに お気楽な学校生活だ。

バイトはずっと続けていた。 年末年始も休みなしで働いた。 最初入ったときに マネージャーから 年末年始と5月の連休は 必ず入って欲しいと 言われていたのだ。 既婚のパートさん達だけなので みんな家庭の都合で 大型の連休は なかなか出勤が 出来ないらしい。 でもそのお陰で 指の痛みは置いといて お給料が沢山入ってきた。

それに店長代理は 好きにはなれなかったが マネージャーと居るのが 相変わらず とても楽しかった。 

店長代理とマネージャーは 午前から深夜にかけて 交互に出勤してきて 重なるということはなかった。 だから 僕の時間帯が マネージャーの日は 良かったのだが 店長代理の日は 面白くない時間だった。

だが 毎回と言っていいほどの 仕事あとの マネージャーとの話が 楽しくもあった。 マネージャーも 自分が休みにもかかわらず わざわざ 僕の上がるのに 時間を合わせて お店までやって来たりと 少し馴れすぎて 敬語という言葉の壁を 忘れてしまっている時が 時々あったほどだ。

だが そんな楽しさと裏腹に 指の痛みは酷くなる一方だ。

もう限界か 鍋も丼も何も 片手で持てない。 何とか左手でカバーをしながら 持ったりはしていたのだが お皿を洗うことさえ まともに出来なくなってきていた。

丁度そんなときに マネージャーから 2月いっぱいで 移動になるという話を聞いた。 そして今の店長代理が 店長代理兼マネージャーに なるというのだ。

あの好きになれない店長代理と これから毎日一緒だなんて 面白くも楽しくもない。

痛みのことも 勿論あったが マネージャーの 移動の話を切っ掛けに とうとう2月 僕はアルバイトを辞めた。  結局三ヶ月ほどしか働かなかったが、お金はそこそこ貯まったので 原付免許は ギブスが取れてから 正太と取りに行くことにした。



その頃学校はというと 期末テストに突入だった。

そしてとうとう 三学期の電子回路のテストで とんでもない点を打ちだした。 僕はしっかりと 追認テストを 受けなくてはならなくなった。 その報告が 学校から母様に 手紙で知らせてきた。

「ちょっと、この手紙は何よ」 僕に手紙を 突き出してきた。

「ああ、それ。 追認のお知らせじゃない?」 当たり前のように 答えた僕に向かって

「はぁ?! 何言ってんの? 追認って どういう事よ、何なのよ」 ちゃんと前に宣言したのに 覚えてないわけだ。

「言ったじゃない、三学期は赤点になるって」 話した事は 覚えておいてよ。

「聞いたわよ、だから何なのよ」 覚えてるんだ・・・でも何なのよって 何なのよ。 こっちが聞きたいわよ。 あ、女言葉を 心で言ってしまった。 うっかり口から出ないように 気をつけよう。

「赤点だから 追認じゃないか」 母様は何を聞きたいんだ?






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僕と僕の母様 第149回

2011年08月16日 02時03分43秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第149回



結局様子が 分からないから 取りあえず 旅行のことは おいといて すぐに 病院へ行くことになった。

翌週の月曜日に 学校を休んで 大きな病院へ向かった。

この病院は以前にも 行った事がある病院だ。 診察内容によって 細かく曜日が決まっている。 母様が電話をして 聞いてみると 外来の手足の外科は 月曜日なのだそうだ。

そしてこの病院は そう簡単に 順番は廻ってこないから 朝早くに受付を済ませても お昼過ぎの 順番になってしまう。

朝8時、僕が先に 一人で電車に乗って 病院へ行き 受付を済ませ 母様が午前中の仕事を終えて 原付をブッ飛ばしで やってくるという予定だ。

受付を済ませて 何時間もを潰してから 診察室の前で 母様が来るのを 座って待っていた。 

母様から聞いていた 1時30分頃に病院に着く という時間を過ぎたのに なかなか母様が来ない。

そしてとうとう 僕の名前が呼ばれたが 母様はまだ来ない。

看護婦さんに 事情を説明して 最後に回して貰った。 何人かが呼ばれた後に また僕が呼ばれたのだが 母様はまだだ。 どうしようと思っているところに やっと母様がやって来た。

「ゴメン、道が凄く混んでた」 息を上げて走ってきた。

「そんなこといいから 早く、今呼ばれたから」 そう言ってすぐに 診察室に入った。

診断結果は 靱帯が切れているか 伸びきって 使い物にならないかの どちらかだと言う。

一度開いてみてからでないと そこの所は 良く分からないが 不便がないなら このままで良いんじゃないかと 医者は言うのだが とんでもない 不便の固まりだ。

もし手術をするならと 手術の話も聞いて 取りあえず その日は帰って 家で話し合ってくれ とのことだった。 そして その家での話し合いの結果を 報告するに当たり 次回の予約をして帰るようにと言われた。 

看護婦さんが 医者の予定表を見ながら 

「外来扱いに しないようにと 先生が仰っていたので 月曜日以外でも 大丈夫ですよ」 と言って 直近で空いている 3日後の予約を 取ってくれた。

家に帰り 夕飯を食べながら 母様と話した。

「お母さんも 右手の親指の靱帯が ダメになっちゃてるし その痛みのすごさは 分かるけど だんだん痛みは なくなってくるし 慣れてもくるわよ。 それに 骨もある程度固まってくるのか 分からないけど 必要以上に グニャって ならなくもなるわよ」 母様は原付で転けて その時にブレーキにかけていた親指が 変な風に曲がったらしいのだ。

一ヶ月経っても 痛みは引かないし 腫れも酷くなる一方だったらしく その時にようやく 病院へ行ったそうなのだが 医者からは 僕と全く同じ事を 言われたらしい。 僕のように 骨が外れるような事は 無かったらしいのだが 物を持とうにも 全然力が入らなく 指が変な方へ 曲がろうとする。 勿論、痛みもある。 その不便さや 痛みを我慢して 仕事をしていたらしいのだが 商品の品出しでは 持つに持てなく かなり不便だったらしい。 そして母様は 不便だけれど 手術を選ばなかったらしいのだ。

この痛みを よく一ヶ月も 我慢していたものだ。 僕には無理だ。

「どうするかは 陵也の身体なんだから 陵也が決めるといいわ」 そう言われても・・・。

この痛みを 何ヶ月も耐えたくないし もしかして一生かもしれないし 手術もイヤだし・・・それに 医者の言う手術っていうのが 二つの方法があって

一つは 普通は手首に 靱帯があるらしいのだが 僕にはその靱帯が 無いらしい。 時々そういう人が いるらしい。 そういう人は 足首から靱帯を切り取って それを使い物にならなくなった 指の靭帯として 付けるのだという。
ただ、それが上手くいかない時があるらしく そうなれば 生活上不便にはなるが もう一度手術をして 釘のようなもので 完全に指が外れないように 骨を固めてしまおうと言うのだ。 

早い話、関節を動かなく 固定するのだから 伸ばすことも 曲げることも 出来なくなるのだそうだ。 だがこれで 関節が外れることは 無いということだ。

一度手術して それでダメだったら もう一度手術なんて 簡単に言ってくれるが こっちとしては 大変なことだ。

もう一つが 切れている靭帯なら 駄目だけれど 伸びきっている靱帯なら それを短くするらしい。 しかし それもやってみないと 具合が分からないらしい。

それだったら 一度の手術で終わりたい。 僕の頭の中で 一足飛びに 骨を固める手術を選択した。

そして予約しておいた日に 最初に行った時のように 僕は電車で病院へ行き 母様は仕事を終えて 原付で病院へ来た。 今回は遅い時間の 予約をしておいたから そんなに急ぐ必要は無い。 

母様が 待合にやって来た。 間もなく僕の名前が呼ばれた。

診察室に入り 医者が 家での話し合いの結果は どうかと尋ねると 母様が 骨を固める手術を 希望すると言った。 

だが医者は すぐには 受け入れなかった。 固定してしまえば 全く関節が動かなくなる。 あとで後悔しても 元には戻らないのだから 一度開いてみてからに してみないか と言うのだ。

何度も手術をしたくない。 その気持ちにブレは無い。 僕は言い切った。 母様も「息子の身体ですから 息子が決めたことで 進めて頂きたい」 と後押しをしてくれた。

医者も 家で話し合った結果だけに 言い切る僕を 説き伏せることは 出来ないのであろう 仕方が無いといった感じで 学校を休むことのないよう 配慮してくれて 卒業式を終えてから 手術をしよう ということになった。

その間は この激痛と 不便の固まりに 付き合わなくては いけないのだ。

そして ギブスを三ヶ月は 付けていないと いけないらしい。 前回はそんな事 聞かなかったぞ。

診察が終わって 会計の待合で 待っている時に「ごめん 三ヵ月もギブスを 付けなきゃなんないなんて 行けないね。 旅行お流れだね」 悪いな。

「仕方ないじゃないの。 それより あっちの大学落ちてて正解ね。 こんなんじゃあ、ピアノどころじゃないもんね」 あっさりと言ってのけてくれた。




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僕と僕の母様 第148回

2011年08月12日 18時02分12秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第148回



日曜日に 求人募集のチラシが よく入るのだが 気になる所があった。

2学期も もう少しで 終わろうかとする 11月の終わりに その一つに 電話をして 面接をお願いした。

生まれて初めて書く 履歴書だった。 それを持って 面接に行き 見事雇って貰えることになった。

うどん屋さんで チェーン店に なっているらしい。

殆どが パートさんで 僕が一番若い。

学校が終わって 駅を降りた家までの帰り道に あるのだが 午後7時から入るので 一度家に帰って ご飯を食べて そして出直す といった感じだ。

夜は0時閉店なので 深夜1時までの仕事だ。

仕事自体は 楽しいわけではないし 鍋なんかで よく火傷もする。 それに 話しかけてくるのは 母様よりかは若いのは確かだが みんなおばさんだ。 20代30代の おばさんの話には のっていけない。

唯一 楽しみと見いだせるのが やっと叶った念願の アルバイトということと マネージャーが 24歳の男の人なのだが この人との会話だ。 

僕がバイトに入ってすぐに 僕を気に入ってくれたようで 閉店後二人でよく話し、数週間後には 彼女とのデートにも 何度か付き合わされた。 そして その彼女にも 気に入られてしまった。

母様には 毎日帰りが遅いと 怒られていた。 母様は 寝ないで 起きて待っていたのだ。

「起きてなくていいって言ってるでしょ」 起きていられると こっちが気を使ってしまう。

「高校生が 帰ってこないのに 先に寝る親がありますか」 母様はそう言うけど ウトウトしているみたいで 言ってしまえば 寝ぼけ眼で 帰ってきた僕に「おかえり」 ということが 多くなってきたのだ。



ある日 母様が急に

「ねぇ、来年の五月の連休でもいいから 旅行に行かない?」 唐突だ。

「え、急に何を 言い出すの?」

「試験も合格したし、大学生になったら もう旅行なんて 行けないじゃない」

「いいけど お母さんは 何処に行きたいの?」

「うーん・・・一応、お母さんが 行ってみたいのは ニュージーランドとか オーストラリア方面かな」

「はあ? 旅行って海外のこと?!」 いったい 何を言い出すんだ。

「うん、お母さん 海外に行ったことないし 陵也も 行ったことないじゃない? 男がこの時代において 大学生にも なろうかという年齢で 海外に行ったことない って言うのは ちょっと 恥ずかしいじゃない。 友達に誘われたときに「僕初めてです」 って言うのも なんだかね。 まあ、相手が 正太君なら そんなことも 無いでしょうけど。 それに もしこのままチャンスがなくて 結婚でもして 新婚旅行が海外で お嫁さんに 頼るっていうのも 考え物じゃない」

「まあ、そう言われれば」

「行きたくない?」

「いやいや、行きたいに 決まってるじゃん。 それより この家に そんなお金が あるのかなって思って」

「だって、もう一生 こんな事は ないんだから それにお金かけて 一ヶ月間 ご飯食べないでも いいじゃない」

「行く前に 死んじゃうよ。 それと 五月はちょっと無理。 絶対に バイトに来て って言われてる」

「そうか じゃ、卒業式が終わってからに しようか。 3月とかでも 大丈夫?」

「それなら良いけど。 お母さんの 仕事の方はいいの?」

「うん、店長に相談してみる。 じゃ、今度旅行会社に行って パンフレット取ってくるね」 そんな楽しみが せっかくあったのに 話はひっくり返ってしまった。



何日かして 母様がパンフレットを持って 帰ってきた。

「今日、お店の方に 休みを貰えるよう頼んだら いいって言ってくれたから 絶対に行こうね」 ノリノリだ。

「うん・・・あの 話が違うんだけど」 言いにくいな・・・。

「何?」

「えっと 右手の指の骨が 外れるんだ。 何度か外れては 戻すんだけど 激痛で・・・ペットボトルを 持っただけで外れる」

「どこ? いつからだったの?」 慌てて僕の手を 取って見た。

「二週間ほど 前からかな」

「何で今頃言うのよ。 もっと早くに 言わないの!」 かなり心配している。






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僕と僕の母様 第147回

2011年08月11日 16時50分07秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第147回



少しして 順平も何とか 合格が決まったようなのだが クラスで一番の 頭の良い奴が 結局あの三者懇談で 大学進学を諦めたらしく 専門学校を 受験したそうだ。

進学組みの最後になったが 奴も目出たく 受かったので これで進学組は 三人とも決定だ。

後は就職組なのだが これがなかなか 決まらないらしい。 いつも何人かが 先生にしがみついて

「先生何とかしてよ~」 と泣きついている。

「お前達は 受ける所、受ける所 全部滑ってきて 何をやってるんだ」 先生も大変なようだ。 

今日のホームルームの後なんかには

「先生、昨日僕の受けたところ 結果どうだって?」 こいつは 多分、初めて受けたのだろう。

「お前、昨日の今日で 分かるわけないだろうが まだ分からないよ」 教壇の机の上で 先生の持ってきていた資料を トントンと整えながら そう返事をして ドアの方に向かって 歩き出そうとすると 後ろから

「そんなこと言わないで 教えてよ、先生~」 しがみついて離れない。 最初は先生の 腕に手を回していたのだが

「うっとうしい、離れろ」 そう言って 先生が払いのけ、もう一度 教室を出て行こうとすると 今度は後ろから お腹に手を回し しがみつくのだが それさえも無視して 先生が歩き出すものだから そのままズルズルと 引っ張られていく。 

何歩も歩かないうちに「歩けないだろが。 ああ、重たい いい加減に離さんか!」 まるでマンガだ。

先生より背の高い ガタイのいい奴らが 毎日こうやって 先生にまとわりついているのだ。 そう思うと 進学組は気楽なもんだ。

これでセンターを受けるとか 一般入試を受けるとかって言うなら まだまだ気は抜けないが 僕も順平も 一般入試より早く決まる 推薦入試だ。 早く決まって良かった。 

それに学校自体も 取りあえず 行ってるという感じで 授業なんて あって無いようなものだ。 毎日が遊びのようなものなのだ。 体育以外は・・・。

でもその体育も 先生が生徒を 今疲れさせてはいけないと考えたのか そんなにきつい内容のものでは なくなった。 それに体育の先生自身も クラス担任を持っているので そっちに忙しいらしく

「お前達、グラウンドを 走っとけよ」 と言って よくいなくなるので ゾロゾロとみんなで グラウンドの散歩 といった感じなのだ。

だから 体育を欠席さえしなければ 赤点はなくなるであろう。 大学のことでは 天に見放されたが 赤点の事では 見放されなかったようだ。







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