大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第85回

2011年05月17日 14時00分44秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第85回



次の日 職員室に行こうか どうしようかと迷いながら 順平と廊下を歩いていると 前から走ってくる 工業の教科担任とすれ違った。 その途端後ろから

「あ、おい」 と言う声が聞こえたから 振り返ってみると 僕の方を指さしている。

「僕?」 僕は自分の鼻を指さしながら 聞いた。

「そうだよ、お前だよ。 お前何やってんだよ 早く危険物の本を 取りに来いよ。 お前の一冊が邪魔なんだよ」

「えっ、参考書来てるんですか?」 聞いてないぞ。

「とっくに来てるよ」

「いや、うちの担任から 何も聞いてなかったし」 あの担任 どうしてくれよう。

「当たり前だろう、お前ん所の担任の先生は 工業の教科担任じゃないんだから 知ってるわけないだろう」 確かにうちの担任は 国語の先生だ。

「えっ、じゃあ誰が 僕に教えてくれるはずだったんですか」 その先生に 文句を言ってやろう。

「俺だよ」 ・・・は? ・・・何だと 今何と言った?

「最初は覚えてたんだけどな めったにお前に会わないから 忘れてた。 うちのクラスの奴らには すぐに渡したんだけどな。 ははは」 確かに この先生の授業は 三週間に一度しか 受けることがないのだが それが何の言い訳になるんだ。

「それって何時ですか」 ふてくされるように聞いた。

「申し込みの後すぐだよ いかに長い間 お前の一冊だけが 邪魔だったか分かるだろう。 今日中に取りに来いよ」 呆れたような 怒ったような言い方で どこかに走って行った。

開いた口が ふさがらないと言うのは こういう時の事を 言うのだろう。

しかし怒っていても 呆れていても 仕方のないことで その日の放課後 職員室に取りに行った。 その時に またまたその先生は

「お前早く来いよ。 遅いんだよ」 とぬかした。



家に帰って 母様に言われる前に

「今日ちゃんと 参考書貰ってきたからね」 そう言いながら いつも通り着替えを始めた。

「そう、でも勉強する暇がないわね」

「そんな問題じゃないよ 聞いてよ」 そう言って 今日のこの参考書にまつわる話をすると

「その先生って もしかして若造?」 と聞いてきた。

若造というのは 青二才と言う意味や 名前とかっていうものではない。

母様の付けた この先生のあだ名だ。

僕はこの先生の話を 何度か母様に 聞かしていていたのだが 母様は名前を覚えるのが 不得意のようで あだ名になると 何とか覚えてくれるのだ。

そして大抵母様は 先生達の話を聞くときに「その先生って 何歳くらいなの」 と聞く。

この若造の時も そう聞かれたから

「うちの教科担任の中では 一番若いかな、ああでも 学校でも一番若いんじゃないかな」 そう言ったのがきっかけで 母様はその時から この先生のことを 若造と呼ぶようになったのだ。





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