大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第55回

2011年04月05日 14時07分55秒 | 小説






                       日の元 大和の民が 一つの大きな和になりますように






僕と僕の母様 第55回



会場に近づいていくと女の顧問の先生がいた。

「おそーい、長い時間 一人で待ってたのよ、みんな遅いから 寂しくなってきたじゃない」 そう言って右の方を指さすと

「あっちで先生達が待ってるわよ。 早く行こう」 楽器を運んでくれた先生達は 既に会場に到着していたようだ。

みんなで楽器を車から降ろす。 部長も気持ちが慌ててきたようで 僕達をせかす。 せかされた僕は 段々と指が堅くなってきた。

部長は先生と手続きに行くと言って その場からいなくなった。

女子先輩達の指示に従って、それぞれが自分の楽器を持って移動する。

「この辺で待ってれば良いかなぁ」 「良いんじゃない」 女子先輩達の会話だ。

「じゃあ、ここで練習しよう」 僕と同級生フルートの方を見て そう言った。

「え? ここでするんですか?」 思わず聞いてしまった。

「そうよ。 少しでも音出さなきゃ」 そうなんだ。 会場の外で・・・でもそういえば 他の学校の生徒達も 音を出している。 周りを見る余裕もなかったのが 今更分かった。

部長がいなくても 女子先輩達が 引っ張っていってくれる。 僕が三年生になったら そんな風に出来るだろうか。

僕は何を考えてるんだ こんなことを考えている場合じゃない。 練習をしなくては。

本当は基礎からやりたかったが 基礎なんてやっている時間はないだろうと思い 仕方なく演奏の方の練習を始めた。

そのうちに部長が先生と帰ってきた。 部長も楽器を始めだした。

先生が個々に注意をして回っていた。 そして暫くして

「よーし、それじゃあ会場に入るぞ。」 そして僕と同級生フルートの方を見て

「いいか、よくステージを見ておくんだぞ」 そう言った。

入り口から会場に入っていく。 会場の扉の前には 男の人が立っていた。 

ああ、ピアノの発表会と同じだ。 演奏の途中に 入って行かないよう この人がタイミングを見て 誘導してくれるんだ。

少ししてその男の人が どうぞといった感じで 扉の方に手を流した。

ちょうどこれから 演奏が始まるようだ。

僕たちは 重い防音扉を開けて 中に入った。 大きなステージだ ここでやるのか。 

満席というわけではないが、結構な人数が入っている。 

先生に誘導されて席に着く。 暫くは ここで他の学校の演奏を 聴いているらしい。

僕たちが席について 暫くしてから これから演奏をする生徒達が ステージに上がってきた。

ゾロゾロとすごい人数だ。 演奏を聴くその前に人数の違いに 何よりも驚いた。 ステージいっぱいに 広がっているかのように見えた。 そして着席する、いったい何人いるんだ。

全部の学校が こんな人数だったら 僕たちの学校は あまりにも浮いてしまうではないか。 僕達がステージに上がると ステージ上がガラガラになってしまう。 ああ、ある意味恥ずかしくて 出たくない。

演奏が始まった。 ・・・すごい・・・音の重圧感が全然違う。 それに上手い。 見た目もさることながら 演奏の内容も僕達の比ではない。 まるで幼稚園の合奏と プロの演奏の違いだ。

みんなはどう思っているのだろうか。 あいにくと僕の横に座っているのは 同級生フルートではなくて 同級生出場しない部員だ。 コイツに聞いても無駄だろう。

刻々と時間はたっていく。 幾つかの学校の演奏を聴いた。 先生が小さな声で

「この演奏が終わったら出るぞ」 そう言った。

その時が来たのか・・・。






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