大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第114回

2011年06月27日 13時44分14秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第114回




「でも怪我しちゃうと 大変だしな それはどうだろうかなぁ」 そうだろ、そうだろ。

「先生、僕もそれやってみたい」 お前もか?

「絶対楽しいだろうな、僕もやりたい」 お前も?

「僕もやりたい、先生お願いやらして」 全員かぁ?

「うーん・・・怪我しないように 無理しないようにやれる?」 風向きがおかしいぞ。

「はい、無理はしたくても 出来ませんから」 じゃあ、やめようよ。 僕から見ても 充分危ないぞ。

「・・・よし、やってみようか」 嘘だろう、クビになっても 知らないぞ。

こんな感じで 残りの時間は リフトに乗っては滑り降りて そしてまたリフトに乗って ということを繰り返していたが やっぱり止まらずに ずっと滑り降りてくるということは 時間的に言っても 無駄がないためか 中身の濃い時間が送れた。

そうなると 時間の経つのが早く感じられて あっという間に 終わりの時間になってしまった。

生徒全員で ゲレンデの隅に集合し 各班毎に インストラクターさんから 一人ずつに修了証を貰った。

後は学校の先生からの話があり 終了の挨拶があってから バタバタと全員民宿に帰った。



民宿の中でも 先生に時間を急かされながら 帰り支度だ。

自由時間に 沢山お土産を買っていた奴達なんかは 来たときよりも 荷物が増えているわけだから 四苦八苦しながら 荷物を鞄に詰めている。

僕はというと お土産といっても 小さなお饅頭の箱が三つだけだ。 一つは正太に 本当はストラップとかを 買いたかったのだが コレと言って気に入る物がなかったから お饅頭にしたのだ。 そして後の二つは家の分だ。

だから鞄に詰めるのも 簡単なものだった。

先生がみんなに「準備出来たか? 出来た者から玄関に 降りてこい」 と叫んでいる。

僕は一番に降りて行った。 それからゾロゾロと 何人かが降りてきたが なかなかみんな集まらない。 僕は退屈になって 何気なく食堂に入って行こうとした。 すると食堂で 例のヤンキーの塊が 娘さんに何かを渡していた。 どうも携帯ストラップみたいな感じだ。 そしてメモも 渡していたようだった。 きっと自分のアドレスでも書いて 渡していたのだろう。 相手は子供さんまでいるのに 諦めの悪いヤツだ。 

そんな光景を見ているうちに 何とか全員集まったようで 民宿の玄関を出て 全員でおばさん達に挨拶だ。

来たときのように みんな声をそろえて「お世話になりました」 と言っていた。

おばさんも「元気でね、またおいでね」 そう言いながら ビニール袋に入れたお米を

「私の実家で お米を作っているんだけど そのお米。 少しずつだけど 家に帰って食べてちょうだい」 そう言って一人ずつに 配ってくれた。

「ありがとうございます」 またみんなの大合唱だ。

おばさん達の見送りを受けながら 待っていたバスに乗り込んで 僕達は帰路に就いた。





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