『僕と僕の母様』 目次
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第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
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僕と僕の母様 第143回
十月下旬。 とうとう一つ目の入試が 明日という日が やってきた。 第一希望の方だ。
「なんか二、三日前から 頭が痛いんだけど」 段々酷くなってきた。
「え? なんで早く言わないのよ それにこんな夜遅くに」 寝ようとしたのだが 頭が痛くて 寝られない時間だった。
母様は頭痛持ちだから その薬は必ず家にある。 しかしその薬を きついからと言って 僕には決して 飲ませないのだ。
「うわー、風邪薬きらしてる・・・待ってて コンビニに行って来る」 そう言ってすぐに バイクで出て行った。
帰ってきてすぐに コンビニの袋から 風邪に効くという 栄養ドリンクを取り出した。
「お母さん 飲んだことがないから 分からないけど 何もしないより ましなんじゃないかな。 それによく効くっていう話を 聞いたことがあるから 飲んですぐに寝なさい」 そう言われて 美味しくもない 変な味のする ドリンクを飲んで 僕はベッドに入った。
朝、母様の声で 起こされた。 あのドリンク剤が 効いたのか 僕は寝ていたようだ。
早い時間だ。
平日なので 母様はこの日 仕事がある。
「頭の痛いのどう?」
「まだ痛いけど ちょっとましかな」
「いける?」
「うん 大丈夫」 朝のトーストを 食べながら そんな会話をしていた。
トーストも食べ終わり 母様は僕の食べた後の 片付けをしている。 その洗い物の音を聞きながら 目はテレビをボーっと見ていた。
そろそろ時間か。
頭痛のせいか 単にいつもと同じなのか かったるい気持ちで 制服に着替え 前日に用意しておいた鞄を持って リビングを出ようとすると 僕の後ろに 母様がついてきて
「ちゃんと 行き方覚えてる?」 「取りあえず 最後の駅に着いたら 電話を入れて」 そう言われながら 僕は玄関に向かった。
いつもならここで 母様お得意の チアガールが あるんだろうけど どうもかなり心配しているようで それどころではないといった感じで 玄関の外まで出てきて
「分からなくなったら 駅員さんに聞くのよ」 「忘れないで電話してよ」 「頭痛くするんじゃないわよ」 等とずっと言っていて 何かを思いだしたように
「あ、そうじゃない 試験頑張るのよ。 これ言わないで どうするのよ」 僕のせい? それに好きで頭痛を 招いてるんじゃないし。
「はい、はい」 と返事をして 自転車に乗った。
長い時間 一人で電車に乗るのは初めてだし 見慣れない窓の外の風景、乗り慣れない電車、入試という緊張感、僕の頭痛は ピークに達した。
電車の中で 頭を抱えながらも 何とか人に聞くことなく 目的の駅に着いた。
駅前には 僕と同じような年齢の人間が うじゃうじゃ居る。 みんな受験生なのだろうか?
そんな沢山の人間から 隠れるように 母様に電話を入れた。
「今駅に着いたから。 後はスクールバスに 乗るだけだから」
「良かった。 ちゃんと お母さんが書いてた通りに 乗れたのね。 一時間以上は ゆっくり出来るだろうから 気持ちを落ち着かせて 頑張るのよ。 頭痛はどう?」 前日に 何時何分のこの電車に乗って 電鉄乗り換えの移動時間が 何分だから 次にこの電車に乗る といった事が書かれたメモを 渡されていたのだ。
このメモ通りに 行かなければ 一時間近く到着予定が 変わってくるらしいのだ。 そんなことになったら 試験ギリギリに ついてしまい 落ち着く時間もなくなる と言った具合だ。
「うん、何かましになってきた」 そう言われれば ましになってきた気がする。
「よかった じゃ、お母さんも もう仕事に行くから」
「うん、行ってらっしゃい」 そう言って お互いが電話を切った。
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「え? なんで早く言わないのよ それにこんな夜遅くに」 寝ようとしたのだが 頭が痛くて 寝られない時間だった。
母様は頭痛持ちだから その薬は必ず家にある。 しかしその薬を きついからと言って 僕には決して 飲ませないのだ。
「うわー、風邪薬きらしてる・・・待ってて コンビニに行って来る」 そう言ってすぐに バイクで出て行った。
帰ってきてすぐに コンビニの袋から 風邪に効くという 栄養ドリンクを取り出した。
「お母さん 飲んだことがないから 分からないけど 何もしないより ましなんじゃないかな。 それによく効くっていう話を 聞いたことがあるから 飲んですぐに寝なさい」 そう言われて 美味しくもない 変な味のする ドリンクを飲んで 僕はベッドに入った。
朝、母様の声で 起こされた。 あのドリンク剤が 効いたのか 僕は寝ていたようだ。
早い時間だ。
平日なので 母様はこの日 仕事がある。
「頭の痛いのどう?」
「まだ痛いけど ちょっとましかな」
「いける?」
「うん 大丈夫」 朝のトーストを 食べながら そんな会話をしていた。
トーストも食べ終わり 母様は僕の食べた後の 片付けをしている。 その洗い物の音を聞きながら 目はテレビをボーっと見ていた。
そろそろ時間か。
頭痛のせいか 単にいつもと同じなのか かったるい気持ちで 制服に着替え 前日に用意しておいた鞄を持って リビングを出ようとすると 僕の後ろに 母様がついてきて
「ちゃんと 行き方覚えてる?」 「取りあえず 最後の駅に着いたら 電話を入れて」 そう言われながら 僕は玄関に向かった。
いつもならここで 母様お得意の チアガールが あるんだろうけど どうもかなり心配しているようで それどころではないといった感じで 玄関の外まで出てきて
「分からなくなったら 駅員さんに聞くのよ」 「忘れないで電話してよ」 「頭痛くするんじゃないわよ」 等とずっと言っていて 何かを思いだしたように
「あ、そうじゃない 試験頑張るのよ。 これ言わないで どうするのよ」 僕のせい? それに好きで頭痛を 招いてるんじゃないし。
「はい、はい」 と返事をして 自転車に乗った。
長い時間 一人で電車に乗るのは初めてだし 見慣れない窓の外の風景、乗り慣れない電車、入試という緊張感、僕の頭痛は ピークに達した。
電車の中で 頭を抱えながらも 何とか人に聞くことなく 目的の駅に着いた。
駅前には 僕と同じような年齢の人間が うじゃうじゃ居る。 みんな受験生なのだろうか?
そんな沢山の人間から 隠れるように 母様に電話を入れた。
「今駅に着いたから。 後はスクールバスに 乗るだけだから」
「良かった。 ちゃんと お母さんが書いてた通りに 乗れたのね。 一時間以上は ゆっくり出来るだろうから 気持ちを落ち着かせて 頑張るのよ。 頭痛はどう?」 前日に 何時何分のこの電車に乗って 電鉄乗り換えの移動時間が 何分だから 次にこの電車に乗る といった事が書かれたメモを 渡されていたのだ。
このメモ通りに 行かなければ 一時間近く到着予定が 変わってくるらしいのだ。 そんなことになったら 試験ギリギリに ついてしまい 落ち着く時間もなくなる と言った具合だ。
「うん、何かましになってきた」 そう言われれば ましになってきた気がする。
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