第1作 『僕と僕の母様』 全155回 目次ページ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
『彼女達』
第 1回・第 2回・第 3回・第 4回・第 5回・第 6回・第 7回・第 8回・第 9回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
彼女達 第21回
「私もよ、じゃあ秋美のところにかけてみるわね」 携帯のボタンを押し 耳に当てながら
「出るかな?」 真紗絵の顔に負けず劣らずの表情だ。 それと同時に心の中は(良かったさっき舞ちゃんを叱った時の暗い感じが抜けてる) そう感じていた志乃であった。
「あそこの家は昔からの家だから そう簡単に引越ししないでしょうから 電話番号も変わってないはずよ」 真紗絵がそういった途端
「あ、もしもし」 志乃が話し出した。
「あ、そうなんですか。 ・・・お願いします」 そう言いながら 書く真似をしだした。
「あ、メモとペン」 あわてて真紗絵が鞄から メモとペンを取り出し志乃に渡した。
すぐに志乃がメモを書き
「はい、分かりました。 有難うございました」 携帯を切った志乃が続けて言った。
「秋美ちゃん結婚してるんだってー」
「え! うっそー 鉄の箱から出られたんだー!」 二人で大笑いだ。
その二人を驚いた目で見ている舞。
「あ、ごめんごめん 舞ちゃん驚いちゃうよね。 大きな声出してゴメンね」
「舞は大きな声は何ともないわよね」 真紗絵が言うと
「うん。 ママの怒る声のほうが大きい」
「なんてこと言うのよ」 今度は冗談めいて反応した真紗絵。 それに安心をして志乃がチャチャを入れる。
「あ、そうなんだー ママ恐いんだー」 また大声で笑う二人であった。
あまりのこの空間の幸せに 昔の心が騒ぎ出し
「ねぇ、秋美ちゃんの所に電話していい?」 志乃が言い出した。
「勿論いいわよ。 してほしいくらいよ」 志乃はすぐに携帯で さっき教えてもらった電話番号にかけた。
「今日は日曜日だから 出かけてるかしら?」 また携帯を耳に当てながら 志乃が言った。
「そうねぇ、もしかしたら 家族でお出掛けかしら」 コール音が8回鳴った。
「出ないわねぇ」 するとその時
「もしもし」 と電話に出る女性の声。
懐かしい声だ。 電話に出たのが秋美であることは すぐに分かった志乃だが 万が一違ってはと思い
「もしもし そちらに秋美さんは いらっしゃるでしょうか」
「秋美は私ですが」
「秋美ちゃん?」 志乃が真紗絵にOKサインを出した。
「そうですけど あの、どちら様でしょうか?」 訝しげに返事をしてきた。
「私よ! 志乃よ」
「え・・・志乃って」
「高校の時一緒だった志乃よ」 嬉しさが志乃の心一杯に広がる。
「うそ! 志乃ちゃん、志乃ちゃんなの!」 電話の向こうで秋美の驚く声が 真紗絵にも聞こえてきた。
「そうよ、嘘じゃないわよ! 今ね偶然 真紗絵と逢って・・・」 ここまで言うと また電話の向こうで 驚いている秋美の声がした。
「ねぇ、秋美ちゃんの家って何処なの? 秋美ちゃんの実家から遠いの? ・・・え? 私の実家と同じ市なの? 信じられない。 そんなに近くにいたの?」 話を聞いていた真紗絵が 電話を代わってと催促をしだした。
「今 真紗絵に代わるわね」 携帯を真紗絵に渡すと 真紗絵の喜ぶ声と 電話の向こうの秋美の驚きの声がする。
その二人の声を聞いているだけで 幸せになってきた志乃。
暫く真紗絵が話して
「ちょっと待ってね」 そう言って今度は志乃の方に話しかけてきた。
「ねぇ、今日まだ時間ある?」
「お一人様だから 何時まででも大丈夫よ」
「今から秋美と逢わない?」
「逢いたい!」
「じゃ、決定ね」 そう言ってまた携帯で秋美と話し出した。
一通り話し終え 携帯を切った真紗絵が
「私、車で来てるんだけど 志乃は?」
「私は電車で来たの」
「じゃあ うちの車で秋美と待ち合わせ場所に行きましょう。 1時間ちょっと位で着くはずよ」
「わぁ! 楽しみ」
そうして三人、10年振り位にあったのだが話は尽きない。
秋美は無理矢理の結婚で 無表情な結婚生活を送っていた時だ。
真紗絵は離婚話を考えていた時、志乃は不倫で悩んでいた時。
よくもまぁ、こんなタイミングで逢うものだ。
こんなタイミングだからこそ良かったのか 見栄を張る必要の無い友、何も飾る必要なく話せたのか。
この日をきっかけに ずっと続いている友達関係。
後に真紗絵は離婚をし
志乃は不倫相手と綺麗サッパリ別れ
秋美は優しい旦那様に 送り迎えをしてもらい 時々三人で会っている。
それぞれの道を歩んではいるが この空間だけは いつまでも変わらない友達付き合い。
高校の友は一生の友と言うが 卒業をするほんの少し前に 親しくなっただけの三人。
長い時間一緒に居たから良いとは限らない。 時間に縛られて友を作るのではない。
誰も 何処にどんなきっかけがあるのかは分からない。 そしてそれは人に限ったことではない。
ただ言えることは 彼女達の人生のページには これからも友という文字が 深く刻まれていくのであろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/clover.gif)
『彼女達』
第 1回・第 2回・第 3回・第 4回・第 5回・第 6回・第 7回・第 8回・第 9回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
彼女達 第21回
「私もよ、じゃあ秋美のところにかけてみるわね」 携帯のボタンを押し 耳に当てながら
「出るかな?」 真紗絵の顔に負けず劣らずの表情だ。 それと同時に心の中は(良かったさっき舞ちゃんを叱った時の暗い感じが抜けてる) そう感じていた志乃であった。
「あそこの家は昔からの家だから そう簡単に引越ししないでしょうから 電話番号も変わってないはずよ」 真紗絵がそういった途端
「あ、もしもし」 志乃が話し出した。
「あ、そうなんですか。 ・・・お願いします」 そう言いながら 書く真似をしだした。
「あ、メモとペン」 あわてて真紗絵が鞄から メモとペンを取り出し志乃に渡した。
すぐに志乃がメモを書き
「はい、分かりました。 有難うございました」 携帯を切った志乃が続けて言った。
「秋美ちゃん結婚してるんだってー」
「え! うっそー 鉄の箱から出られたんだー!」 二人で大笑いだ。
その二人を驚いた目で見ている舞。
「あ、ごめんごめん 舞ちゃん驚いちゃうよね。 大きな声出してゴメンね」
「舞は大きな声は何ともないわよね」 真紗絵が言うと
「うん。 ママの怒る声のほうが大きい」
「なんてこと言うのよ」 今度は冗談めいて反応した真紗絵。 それに安心をして志乃がチャチャを入れる。
「あ、そうなんだー ママ恐いんだー」 また大声で笑う二人であった。
あまりのこの空間の幸せに 昔の心が騒ぎ出し
「ねぇ、秋美ちゃんの所に電話していい?」 志乃が言い出した。
「勿論いいわよ。 してほしいくらいよ」 志乃はすぐに携帯で さっき教えてもらった電話番号にかけた。
「今日は日曜日だから 出かけてるかしら?」 また携帯を耳に当てながら 志乃が言った。
「そうねぇ、もしかしたら 家族でお出掛けかしら」 コール音が8回鳴った。
「出ないわねぇ」 するとその時
「もしもし」 と電話に出る女性の声。
懐かしい声だ。 電話に出たのが秋美であることは すぐに分かった志乃だが 万が一違ってはと思い
「もしもし そちらに秋美さんは いらっしゃるでしょうか」
「秋美は私ですが」
「秋美ちゃん?」 志乃が真紗絵にOKサインを出した。
「そうですけど あの、どちら様でしょうか?」 訝しげに返事をしてきた。
「私よ! 志乃よ」
「え・・・志乃って」
「高校の時一緒だった志乃よ」 嬉しさが志乃の心一杯に広がる。
「うそ! 志乃ちゃん、志乃ちゃんなの!」 電話の向こうで秋美の驚く声が 真紗絵にも聞こえてきた。
「そうよ、嘘じゃないわよ! 今ね偶然 真紗絵と逢って・・・」 ここまで言うと また電話の向こうで 驚いている秋美の声がした。
「ねぇ、秋美ちゃんの家って何処なの? 秋美ちゃんの実家から遠いの? ・・・え? 私の実家と同じ市なの? 信じられない。 そんなに近くにいたの?」 話を聞いていた真紗絵が 電話を代わってと催促をしだした。
「今 真紗絵に代わるわね」 携帯を真紗絵に渡すと 真紗絵の喜ぶ声と 電話の向こうの秋美の驚きの声がする。
その二人の声を聞いているだけで 幸せになってきた志乃。
暫く真紗絵が話して
「ちょっと待ってね」 そう言って今度は志乃の方に話しかけてきた。
「ねぇ、今日まだ時間ある?」
「お一人様だから 何時まででも大丈夫よ」
「今から秋美と逢わない?」
「逢いたい!」
「じゃ、決定ね」 そう言ってまた携帯で秋美と話し出した。
一通り話し終え 携帯を切った真紗絵が
「私、車で来てるんだけど 志乃は?」
「私は電車で来たの」
「じゃあ うちの車で秋美と待ち合わせ場所に行きましょう。 1時間ちょっと位で着くはずよ」
「わぁ! 楽しみ」
そうして三人、10年振り位にあったのだが話は尽きない。
秋美は無理矢理の結婚で 無表情な結婚生活を送っていた時だ。
真紗絵は離婚話を考えていた時、志乃は不倫で悩んでいた時。
よくもまぁ、こんなタイミングで逢うものだ。
こんなタイミングだからこそ良かったのか 見栄を張る必要の無い友、何も飾る必要なく話せたのか。
この日をきっかけに ずっと続いている友達関係。
後に真紗絵は離婚をし
志乃は不倫相手と綺麗サッパリ別れ
秋美は優しい旦那様に 送り迎えをしてもらい 時々三人で会っている。
それぞれの道を歩んではいるが この空間だけは いつまでも変わらない友達付き合い。
高校の友は一生の友と言うが 卒業をするほんの少し前に 親しくなっただけの三人。
長い時間一緒に居たから良いとは限らない。 時間に縛られて友を作るのではない。
誰も 何処にどんなきっかけがあるのかは分からない。 そしてそれは人に限ったことではない。
ただ言えることは 彼女達の人生のページには これからも友という文字が 深く刻まれていくのであろう。