『僕と僕の母様』 目次
第 1 回・第 2 回・第 3 回・第 4回・第 5 回・第 6 回・第 7回・第 8 回・第 9 回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
第51回・第52回・第53回・第54回・第55回・第56回・第57回・第58回・第59回・第60回
第61回・第62回・第63回・第64回・第65回・第66回・第67回・第68回・第69回・第70回
第71回・第72回・第73回・第74回・第75回・第76回・第77回・第78回・第79回・第80回
第81回・第82回・第83回・第84回・第85回・第86回・第87回・第88回・第89回・第90回
第91回・第92回・第93回・第94回・第95回
以降は カテゴリ 又は 最近記事より お入り下さるようお願い致します。
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僕と僕の母様 第96回
腹を括って言おう。
「先月、部活辞めたから」
「はあ?」
「だから在籍してない一ヶ月分は 払わなくていいから」
「辞めたって、何で辞めたのよ」 母様の黒魔術の効力が なくなったんじゃない? とでも言いたかったが
「お母さんに言っても 分からないから言わない」 イヤなことから逃げない母様に イヤな奴がいるから部活を辞めた なんて言っても 僕が言いたいほどは 伝わらないだろう。
「そんな理由ないでしょ」
「理由じゃない、言わないだけ。 それに殆どの人が 部費なんて払ってないんだよ。 毎回払ってる人は そんなにいないんだよ。 その三分の二も払わなくても いいくらいだよ」 そう言って逃げるように 僕は二階に上がって行った。
この時に 部費の話は関係なかったが
「払わなくてもいいけど 一応見せとく」 と言って いつも請求書を見せていたのだ。 そうすると
「きちっとする事はしなきゃ駄目でしょ」 そう言って 母様は毎回お金をくれていたのだけれど 毎回部費の請求を見せるのは 気が咎めていた。
話を逸らせたい気持ちも もちろんあったが 咎めていた気持ちも 一気に出たみたいだった。
この事がなければ 僕はいつ母様に 部活を辞めたって 言えただろう。
毎日学校の帰りに 商店街なんかで 遊んで帰ってきてたから 母様は全然部活を辞めたことに 気づいていなかった。
このまま言わないわけには いかないと思いながらも 言えないでいたのだが そう言う意味で部費に感謝だ。
部活を辞めてからは いっさい部室にも行かなくなったし メンバーとも会わなくなった。
母様もあれから何度か 理由を聞いてきたが その度に「言っても分かんないから 言わない」 の一点張りを通したせいか もう何も聞いてこなくなった。
サックスを吹きたいという気持ちは 時々起こるが 燃えるように思うほどではなかった。
それだからこそ 簡単に見切りを つけられたのだろうと思う。
この頃からだっただろうか 朝、「行ってきますと」 家を出る振りをして 母様が仕事に出たであろう 時間を見計らって Uターンをして家に戻り テレビゲームなんかをやりだした。
時々正太も一緒だった。
特に体育が 一時間目の日なんかは 体育をしたくないが為に 必ずと言っていいほど 家で時間を潰してから 遅刻という形で 二時間目や三時間目から 学校に行っていた。
それがある日 朝、正太から携帯に連絡が入り 今日も二人で ちょっとサボろうか ということになり 近くのコンビニで 待ち合わせて時間を潰し 母様が家を出たであろう時間になってから 二人して僕の家を目指しながら 自転車をこいでいた。
車が行き来するには 軽自動車同士がやっとという幅の道を 正太と横に並びながら 自転車をこいでいた。
すると「こらー!」 という声が 前から聞こえた。
正太の方を見て 喋りながら自転車をこいでいたが バイクの音がしたので 二人ともバイクの邪魔にならないように 自転車をくっつくようにして 走らせていたが 横並びに自転車をこいでいるので 怒られたのかと、とっさに前を見た。
その僕の目に映ったのは メットの下に 般若の面をした母様が バイクに乗りながら 僕を睨んでいる。
一瞬「ヤバイ」 と思ったがどうしようもない。
最後まで読んで頂きまして有難う御座います。
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「そんな理由ないでしょ」
「理由じゃない、言わないだけ。 それに殆どの人が 部費なんて払ってないんだよ。 毎回払ってる人は そんなにいないんだよ。 その三分の二も払わなくても いいくらいだよ」 そう言って逃げるように 僕は二階に上がって行った。
この時に 部費の話は関係なかったが
「払わなくてもいいけど 一応見せとく」 と言って いつも請求書を見せていたのだ。 そうすると
「きちっとする事はしなきゃ駄目でしょ」 そう言って 母様は毎回お金をくれていたのだけれど 毎回部費の請求を見せるのは 気が咎めていた。
話を逸らせたい気持ちも もちろんあったが 咎めていた気持ちも 一気に出たみたいだった。
この事がなければ 僕はいつ母様に 部活を辞めたって 言えただろう。
毎日学校の帰りに 商店街なんかで 遊んで帰ってきてたから 母様は全然部活を辞めたことに 気づいていなかった。
このまま言わないわけには いかないと思いながらも 言えないでいたのだが そう言う意味で部費に感謝だ。
部活を辞めてからは いっさい部室にも行かなくなったし メンバーとも会わなくなった。
母様もあれから何度か 理由を聞いてきたが その度に「言っても分かんないから 言わない」 の一点張りを通したせいか もう何も聞いてこなくなった。
サックスを吹きたいという気持ちは 時々起こるが 燃えるように思うほどではなかった。
それだからこそ 簡単に見切りを つけられたのだろうと思う。
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時々正太も一緒だった。
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それがある日 朝、正太から携帯に連絡が入り 今日も二人で ちょっとサボろうか ということになり 近くのコンビニで 待ち合わせて時間を潰し 母様が家を出たであろう時間になってから 二人して僕の家を目指しながら 自転車をこいでいた。
車が行き来するには 軽自動車同士がやっとという幅の道を 正太と横に並びながら 自転車をこいでいた。
すると「こらー!」 という声が 前から聞こえた。
正太の方を見て 喋りながら自転車をこいでいたが バイクの音がしたので 二人ともバイクの邪魔にならないように 自転車をくっつくようにして 走らせていたが 横並びに自転車をこいでいるので 怒られたのかと、とっさに前を見た。
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